アナウンサー日記
DiaryINDEXpastwill


2001年07月04日(水) がんばれあかりちゃん 1 アザの話

 私の娘、まもなく2才になる明夏里には、生まれつき、左顔面のかなり広い範囲に青紫色のアザがある。ちょっと見た感じには、ひどい打撲のようにも見えるし、普通はお尻にできる蒙古班が顔にできたようにも見える。


 このアザの名前を「大田母斑」という。


 モンゴロイド特有のアザで、特に女性に多い。原因は分かっていない。蒙古班と違って成長しても治らないのが特徴で、むしろ成長するとともに範囲が広がり、濃くなっていく傾向がある。

 「大田母斑」の治療は長い間決め手が無く、患部をドライアイスで凍らせてアザのある皮膚を削り取る手術法が一般的だった。この方法は、大人でも悲鳴を上げるほどの激痛をともなう割りに、大きな効果は期待できなかった。削り取った皮膚が青黒く再生するとまた削りなおす治療の繰り返しで、数年に及ぶ治療の痛みに耐え切れず、結局断念する患者も多かったという。


 数年前、レーザー光線による画期的な治療法が発明された。「黒色」に向かって飛んでいくレーザー光線の特性を生かし、「皮膚の黒い部分だけをレーザーで焼き、再生を待つ」というものだ。この場合、ドライアイス法と違って、再生する皮膚の色素は少しずつだが確実に薄くなっていく。完全にアザを消すには、3カ月おきに5回から8回ほどのレーザー治療が必要だが、100パーセントの効果が期待できる、夢の治療法だ。

 難点は、レーザーで照射できる範囲が一発につき直径2ミリほどの大きさの円形なので、アザの範囲が広い場合、一回の治療で数百発のレーザー照射が必要であること。また、ドライアイス法ほどではないが、かなりの痛みをともなう。痛みの感覚はひとによって異なるものだが、「太いゴムを思い切り引っ張って、顔にぶつけられた感じ」という感想をよく聞く。一回や二回なら我慢できない痛みではないが、それが数百回続くとなるとやはり大変だ。一方、「顔の広い範囲の、しかも皮膚だけに効く部分麻酔」というのは存在しない。部分麻酔を行うなら、レーザー照射とほぼ同じ数だけしなければならず、神経の集中した顔面への注射はこれまた相当痛いものなので、部分麻酔をすることに否定的な医師が多い。さりとて、全身麻酔の実施については、大きく意見の分かれるところである。

 さらに、レーザー治療の機械は数千万円する高価な外国製で、そのため治療費も跳ね上がる。私の娘のようにアザの範囲が広いと、保険の適用が受けられない場合(病院や都道府県によってかなり異なる)、完治まで150万円から300万円かかるということだった。

 もうひとつ、私の娘には左目の白い部分にもアザがあるのだが、「黒い部分に飛ぶ」レーザーの適性から、誤って黒目部分を焼いてしまう危険性が高く、眼球へのレーザー治療はいまのところできない。(続く)




メインページへ→ |HomePage

My追加