ケイケイの映画日記
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2026年08月23日(日) 「ちいかわ 人魚の島の秘密」




お久しぶりです。YouTubeでしか観られない、世界各国で放送しているシンガーのオーディション番組に沼っております。派生してあれこれと、私はロック原始人なもんで、若き日のハードロックにもまた沼りまくり、その後は上記について、チャッピーと雑談の日々。ちょっとは映画も観ているのに、感想は書かかずに華麗にスルーの体たらく。これではいかん!ちゃんと書かなくちゃ!と思わせてくれたのが、この「ちいかわ」たち。可愛い絵柄から繰り出す問いかけは、どんどんと難関になっていき、鑑賞後暫く、自問自答しました。一見の価値は十分な作品です。監督は及川啓。脚本は原作者のナガノです。

仲良しのハチワレとのんびり過ごしていたちいかわ。そこへうさぎが、「食べ物やスウィーツ無料で食べ放題。うちの島へお越し下さい」のチラシを持ってきます。ラッコたちも誘って、島を訪れたちいかわたち。しかし、島には秘密があり、セイレーン討伐に、ちいかわたちは、巻き込まれて行くのです。

ハチワレとかラッコとか書いていますが、そもそも私の認識では、8匹全部で「ちいかわ」だと思っていました。絵柄が違う事は知っていましたが、何匹いるのかも今回初めて知るという。キャラ付があるのも、今回初めて知りました。原作のコミックもアニメ化されているのも知らず、ただのグッズのキャラだと思ってたのな。今回は、そんなもんが書く感想です。

上手い話にゃ裏があるの定説通り、タダ程高いもんはないを地で行ってしまったちいかわたち。セイレーン成敗の対価は、既に飲み食いしちゃった食べ物です。島民たちは、飲めや歌えの舞踊りを、先に受け取らせ、罪悪感に訴えて逃げられないようにするのは、狡猾だわね。島民に顔がなく表情が判らないのも、印象的です。

セイレーンに捕まるも、島とは関係ない客だからと、釈放されるちいかわたち。セイレーンに依ると、島民の誰かに、三匹いた人魚の一人を食べられたのだとか。それによって、コーラスのレベルが低下。自分も全力が出せなくなっているのだとか。セイレーンは巨大な力を持つ捕食者ですが、その力によって、島に豊かさをもたらせてもいる。傍若無人と天真爛漫が紙一重のセイレーンに、不満を持ちつつ島民が我慢しているのは、その恩恵のお陰ですね。

しかし、人魚が食べられてからのセイレーンとは、犯人捜しのため、島民を捕まえては食べています。。と、ここまでは敵役のセイレーンの方に、分があるように思えました。しかし人間世界にも良くある、不承不承のこの図式には、その奥がありました。

人魚の肉を食べると、不老不治になるというのを、その島民も知っていたのです。しかし、八尾比丘尼的な長寿を得たかったというより、私は「ペット・セメタリ―」に近いものを感じました。瀕死の身を助けたかったのですね。

そこに至るには、無意識のセイレーンの横暴さがありました。権力を得ると、人は尊大になり他者を尊重しなくなります。持って生まれた力が巨大なセイレーンは、人としての(人間じゃないけど)嗜みや躾を、必要としなかったのでしょう。無自覚の無知です。

その無知のせいで、島民の一人は、殺したい程セイレーンや人魚を憎んだのでしょう。助けたいのは、心を分かち合った友達です。ちいかわの世界観では、恋愛は無いのでしょうか?私には人生を共にするパートナーに感じました。

大昔のパート先の同僚がシングルマザーで、結婚生活の最後の方では、憎しみが増大し、夫を殺したいと思ったと私に語りました。「離婚したから、人殺しにならなくて済んだわ。罪を犯す事を想えば、どんな苦労も受けて立つよ。だからな、相手を殺したいと思わへんねんやったら、離婚したらあかんねん」。女性の人権など、今の半分も無かったような30年前のお話しです。無知が招く事は、如何に恐ろしいのか。

無知は思慮の浅はかさに通じます。そこには命に対して報復が起こり、被害者が加害者にもなる。その最もたるものが、戦争なのかと思いました。

もう一つの視点は、助けられた島民が、助けた島民にも人魚の肉を食べさせたこと。強制でした。助けた方は、人魚殺し、勝手に食べさせた事に罪悪感あったでしょう。助けられた方は、不老不治の身になった事の戸惑いの先に、怒りがあったのかも。自分一人だけが永遠に生き残る事の孤独は、地獄です。一緒に地獄に堕ちようとするのは、エゴだなとも思いました。でもこれは二人だけの秘密。罪悪感に押しつぶされそうになる度、ギュッと手を握り合います。秘密を抱えて生きて行くのは、これもまた辛く孤独です。

とまぁ、最後ら辺で、怒涛の如く考え込んでしまいました。ラストは報復が終わらない事を暗示しています。でもセイレーンが考える生き地獄を与える事は、無理なんだな。そこまで考えると、復讐の虚しさを感じます。
セイレーンが謙虚であれば、島民が犯した罪を告白していれば。全部たらればですが、どこかで引き返せば、罪のない人々が、こんなに巻き込まれる事はなかったでしょうね。

ちいかわは、犯人に気づいていました。でも問い詰めない。何故か?二人の仲睦まじい様子に、影を落としたくなかったのでしょう。何故なら自分にも大切な友人のハチワレが居るからです。この場合の沈黙は、慈悲とイコールかなと思いました。

一旦戦いがタイムするまでは、深読みしなければ、友情を大切に、力を合わせて戦い勝利する、少年ジャンプ的な見方で、お子たちはそれで良いと思います。海洋アドベンチャー的、ダイナミックは映像もありました。しかし、土曜日の昼に観たのに、子供が皆無(笑)。今となっては、カラフルで可愛い絵柄も、哲学的な思考を隠すためのオブラートのように思えます。

百聞は一見にしかず。「まどか☆マギカ」を観た時の衝撃には劣りますが、ちいかわさんも、なかなかのもんでした。これからLINEのスタンプは、丁重に扱おうと思います(笑)。


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