オミズの花道
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『心が風邪をひく日』
2002年12月14日(土)


んで、同伴したのだけれど。
何だか重役様、元気がない。

私は敢えて原因を聞かなかったのだが、
店が混んできて女性達が離れ、2人になった時、
彼はその原因をぽつりぽつり話してくれた。


どうやら社内で大きな不正があったらしい。


しかも主犯は部門は違えど凄く可愛がっていた部下で。

私も何度か御会いした事のある人だった・・・・。


彼の会社は世界一のシェアを誇る企業で、
大きいだけにこの手の問題は起こりうるのだけれど、
こうも身近に浮上するとリアルすぎて客観的になれない。


彼がその後輩を可愛がっていたのを見ているし、期待していたのも知っている。
若くして身体を壊した後輩に、出来る限りのフォローをしていたのも。


『嘘でしょう・・・・。あの人が・・・・そんな。』
間抜けな言葉しか突いて出ない私。


『会社云々ではなく、裏切られたという気持ちが大きい。』
彼はそう嘆き、少し涙ぐむ。


こんな時、愚かな私は本当に何も言えない。
自分がこれほど無能者なのか、と思い知る。


少し距離を詰め、背中にそっと手を回し、
包みきれない大きな背中を包み込む。


彼が小さく思える。
泣いている子供のように見える。

どんなに撫でても、背中から涙が溢れてくる・・・・。


見送る背中もとても小さく思えて。

彼の背中が角を曲がった時、
私の目からどっと涙が溢れてきた。


寒くて。
寒くて。



ずっと風邪気味だったのだけれど、
心まで風邪をひいてしまったようだ。

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