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■ 色である音の、そのユニークなるパワー・重量・および容量について。
ざくざく ていねいに。ひとつひとつ色が生まれる。 ぽろぽろ、そしてずんとひと突き。 生きている。生きてきた。それが、それらすべての音。
一方で空間的だ。 無数に連なるそれらが、よりあわさって音楽となる。
フジコ・ヘミングの指先から発せられる彼女の魂のかけらたちは、 うつくしい雨だれ。 ひとつひとつ、重たく透き通っている。 それらはすべてとても孤独で、ひとつぶずつ自立している。 ひとつの色が音楽。織り成すすべてが音楽。 彼女の人生、ヨーロッパの空気とか重さとか歴史とかそういうことだ。
無数の鉛のような雨がうつくしく色濃く煌き、 髪や顔や身体じゅうに、そしてこの世界のすべてに降り注ぐ。 触れた瞬間、それはやわらかく消え去り、 残された想いだけが重たく充満するのだ。
押し寄せられる力の波。
それはわたしの魂と融合する。 フジコ・ヘミングとそのピアノのものがたり。 うつくしい重たさで、息苦しく動けない。
録音され冷凍保存された音楽ではない。 生きて、血が通っていた。
2003年03月02日(日)
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