あふりかくじらノート
あふりかくじら



 y=axということ。

『バカの壁』という本がばか売れしているようで、
わたしもそれを一気に読んでしまった。

養老孟司というひとは頭のいいひとだとおもう。
彼の世界観は、解剖学者であるだけにいつも脳みそを中心に
視点を定めており、またそれが圧倒的な説得力をもって
読者をうならせる。

物事を「わかっている」という思い込みがどれだけ「壁」を
つくっていくのかということ。
「わかる」と思い込むことは恐ろしい。
「話せばわかる」という思い込みは、もっと恐ろしいと思う。

詳細の解説はその筋の人々に任せるとして、ふんふんと
鼻息を荒くしながら読んだこの本に、ひとつ気づかされた
ことがある。

五感から入力して運動系から出力するという作業の間、
脳は入力された情報を処理している。
この入力をyとして、出力をxとすると、y=axという
一次方程式のモデルが考えられるという。(ほほう!)
入力された外的情報に脳の中でaという係数がかけられ
結果xが出力される。
つまり、ひとつの物事に対して各個人のaという係数の大小が
出力としてのxを規定していくのである。
むろん、このaという係数は人生の中で変動していく。
aという係数がゼロか、あるいはそれに近い値であった場合、
反応はゼロに近くなる。
(つまり、聞く耳を持たなかったり素通りしたり、など)

常々、わたしはいわゆる「頭の良いひと」が好きだと
公言しているけれど、一方でその定義はいったい何なのかと
自問していたが、このy=axに当てはめてみると、なんとなく
それが明確になってきた気がしている。

つまり、たとえ未知なる世界のものを見聞きしたとしても、
自分の中のaという係数を変動させる準備のできているひと、
またそのaについて、いつでもそれを向上させる前向きな姿勢を
とっていて、かつそれをxに反映できるような人に対し、
わたしはいつも好意を抱くのだ。

そのような姿勢を、ある意味貪欲な好奇心や知的向上心などを
持っている人と接することができたとき、そのポジティブな
パワーについて、ある種の波及効果が期待できる。
つまり、わたしもいい影響をうけることができる可能性が高い。

これに気づいたとき、電車の中でひとり頷いた。

ただ、このような傾向が強いからといって、むろんそれだけで
恋人や友人を判断したりすることはできないけれど。

そういえば、冬の陽だまりの鎌倉を、犬を連れて散歩する
養老氏をみかけたことがある。
とても感じの良い、古本屋の前であった。


2003年08月30日(土)
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