無責任賛歌
日記の表紙へ|昨日の日記|明日の日記
2002年11月30日(土) |
大掃除Part2/CD『檸檬』(遊佐未森)/DVD『サイボーグ009 バトルアライブ9 ~審判~』 |
昨日の分に書き忘れてたCD遊佐未森の『檸檬』の感想。 『週刊文春』の『人生は五十一から』で小林信彦が推薦してたんで前から欲しいとは思ってたんだが、DVDを買うのに忙しくて、つい気が回らなかったのである。CDも一時期は貪るように買ってたんだが、ここしばらくは気が向いた時にちょっと買う程度で、日記にもあまり何を買ったの聞いたのとは書かないでいた。しかし、これは久方ぶりのヒットである。小林信彦推奨の理由は、過去の曲を現代風にアレンジし直すのでなく、「その時代の雰囲気を現代に再現しようとした」点にあることは明白。平井堅の『大きな古時計』とはベクトルが全く違っている。ある意味、遊佐未森は自らの個性すら殺し、「自分が当時の歌手としての歌い方を指導されたらどう歌うか」に腐心しているのだ。アーチストを気取ってるだけの薄っぺらな歌手とは一味も二味も違う。
勝手な憶測だが、遊佐未森、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』を見てるんじゃないか。『ヘンダーランドの冒険』に登場したトッペマ・マペットことメモリ・ミモリ姫は遊佐未森がモデルなんじゃないかと、これも私は妄想をたくましくしているのだが(だって彼女だけだよ、シリーズ中で『歌姫』なのは)、そのつながりで『オトナ帝国』を見て、ノスタルジーに創作意欲を掻き立てられてこの『檸檬』を作ったんじゃないか。 だいたいこの『檸檬』というアルバムタイトルがもう梶井基次郎の『檸檬』を想起させずにはいられない。あれって「精神的テロリズム」の物語なんだよね。『オトナ帝国』のケンに通じるところはないか。 ……いや、根拠が薄弱なのはわかってますよ。わかってるけど楽しいじゃないの、こういう空想って。
収録曲は全部で九曲。ランニングタイムが31.58と短いが、精選されたが故、と見てよいだろう。 ①青空 ②月がとっても青いから ③南の花嫁さん ④アラビアの唄 ⑤ゴンドラの唄 ⑥小さな喫茶店 ⑦夜来香(イェライシャン) ⑧蘇州夜曲 ⑨森の小径
掲示板にも書いたが、一曲目の『青空』(『マイ・ブルー・ヘブン』)、「せまいながらも楽しい我家 愛の灯影のさすところ」の「灯影」を「ひかげ」と間違って読んでいる瑕瑾があるが(本当は「ほかげ」)、清澄で伸びのある声は充分に昭和初期へのノスタルジアを掻き立ててくれる。 しげに、「この曲とエノケンの『マイ・ブルー・ヘブン』と今度の芝居のテーマソングに使うってのどう?」と聞いたが、「すれば?」とつれない返事。しげにはあまりこの曲も歌い方もよくは聞こえないらしい。 「だって『大きな古時計』と同じじゃん」 ちげーよ!
今日も鴉丸嬢が部屋を片付けに来てくれる。 来てくれるのはありがたいのだが、捨てられちゃ困るものまでポンポン捨ててしまうので、ちょっくら困りものではあるのだ。「それ捨てないで」と言ったらギロッとこっちを睨むし。……いっぱいいっぱいだなあ、鴉丸さん。 しげは時々思い立ったように「手伝い人」を連れてきては部屋を大掃除し始めるのだが、誰もが一様に精神に以上を来たしてしまう。ゴミの多さにマジギレしてしまうのだ。片付けても片付けても床が全然見えてこないので、悲鳴と怒声が上がるが、私は今回は片付けを「手伝わない」と決めている。
そもそも、そこまでウチの中が散らかってしまったのが誰のせいかと言えば、やはり8:2でしげのせいなのである。これは決して私が自己弁護のために言い訳をしているのではない。それが証拠に、私がかつて片付けた部分は本もビデオも整然としているのに対し、しげの担当した部分は常に乱雑、どこに何があるかもわからない。ひどいのになると、私がまとめておいたゴミを寝惚けて蹴り倒して「アンタの出したゴミだから、アンタが片付けり」とか言ったりしているのである。これでしげに対して怒らないほうがどうかしている。 そもそも本やビデオも、私が片付けても片付けても、しげが片っ端から引っ張り出しては読み散らかし、そのくせどこに戻していいのかを忘れてそのままほったらかしてしまうので、ついに私が整理することを放棄して音を上げてしまったのだ。一時期まで私はビデオのラベルを全て整理していたのだが、しげが「自分ばかり楽しそうなことして」とグチグチ文句を言ってジャマをするので、それもできなくなった。じゃあしげが何かしていたかというと、家事も料理も一切していないのである。文句を言えるだけ何か仕事をしているわけでもないのに、人の足を引っ張ることだけは一人前にするのだから、人間として欠陥があることは紛れもない事実なのだ。自分の散らかした後始末を他人に平気で頼めるくらいだから、その恥知らずな姿勢には呆れるばかりである。
いつもなら私も、せっかく片づけに来てくれるのだから、トイレを掃除したり玄関を簡単に片付けたりして、せめてそれくらいはしないと悪いなあ、と思うのだが、今回の片づけの目的はウチで忘年会をするためである。しげが心を入れ替えたのならばともかく、そんなもんの手伝いをしてやらねばならないほど私もお人好しではない。もうしげのフォローをするのにも飽き飽きしていたので、ほったらかしていた。 「トイレ掃除しとけよ」とは随分前から言っておいたのだが、もちろんしげは無視している。私はしょっちゅう血便を垂らしているので、そこだけは自分で掃除しておいたが、しげは自分が汚した便座や床に散らかしたままのトイレットペーパーの芯は全部ほったらかしたままだった。鴉丸嬢、「足の踏み場がなぃぃぃぃぃ!」と悲鳴を上げていたが、ご愁傷様である。恨むならしげを恨んで下さい。恨まれてもしげは何の痛痒も感じないでしょうが。
いい加減、私は怒っているので、もう片付けは手伝わないつもりでいた。なのに結局、ゴミが多いの重いのと文句を言うので、仕方なくゴミ出しくらいは手伝う。こういうところがしげを「甘やかしてる」ってことになるんだよなあ。
鴉丸嬢には何かお礼をしたいところだが、さて、金欠病でバイト代を出せないのがツライところ。代わりにウチで要らなくなったもので、何か鴉丸嬢欲しいグッズなどがあったらあげるよ、ということで適当に物色してもらう。 ここぞとばかりに、しげが引き出物の類をなんでもかんでも紙袋に詰めて渡そうとする。いつのまにか私が買ってたオカリナまで入れている。それはいつか作って吹くんだよ。ケンカ売ってるのか、しげ(`Δ´)。 『千年女優』のセル画まで勝手に入れていたので、慌てて取り出す。……出かけずにウチで監視しててよかった。 こうなりゃ、袋の中を全部検分しないわけにはいかないとひっくり返したら、誰かから貰ってた石鹸の詰めあわせまで入れてたので、脱力する。そんな、いかにも要らないイタダキものをそちらに回しました、みたいな感じでモノを差し上げるのはあまりにも失礼だ。そう思って取り出そうとしたら、鴉丸嬢、「あ、それは使えるから」と袋に戻してしまった。要るんかそんなん(・・;)。いやね、ほしいと仰るものをムリに取り上げたりはしないけど、鴉丸嬢も衒いがない(^_^;)。 役に立たないと判断したものは惜しげもなく捨て、「これは使える」と思ったら万力のように捕まえて離さないしげが、「石鹸」といういかにも有用なものを平然と人にやろうとするのは奇妙に思われるかもしれない。実はしげは、贅沢なことにボディーソープは使っても石鹸は使わないのである。理由は「こするのがめんどくさい」に決まっている。そのくせ風呂に入るのは「水がもったいない」と三日にいっぺんくらいしか入らないから、ケチなんだか贅沢なんだかさっぱりわからない。多分、狂ってるのであろう。 劇場プレゼントで貰った『吸血鬼ハンターD』の十字架ストラップを見つけた鴉丸嬢、目の色を変える。「売って!! 二割がけでいい!」。……そう言えば鴉丸嬢、『D』の大ファンだったなあ。いや、ここでホントに二割がけで売ったりしたら外道であろう。ストラップは喜んでご進呈。その後の鴉丸嬢、片付けに張り切ること。
ゴミを出すころから、なんだか気分が悪くなってくる。 頭がクラクラして、背中を悪寒が走り、吐き気がする。多分、ホコリの中のウィルスのせいだろう、しばらくすると喉が痛くなってきて、鼻水も出てきた。こりゃヤバいな、と思って、しげに「風邪薬ない?」と聞いたが、「ないよ」とニベもない。 今日はAIQの会議もあるってのに、困った事態になった。 とりあえずビタミン剤と牛乳を飲むが、たいした効果はなさそうだ。
夕方にまでに何とか床が見えるようになるが、部屋が使えるようになるまでにはまだまだ。けれどAIQの会合の時間が迫っていたので、今回は鴉丸嬢も連れて、赤煉瓦館に向かう。
昨年、受付や警備をしていて思ったことだが、私のように見映えのしない人間、というよりムサイやつが目立つ場所をウロチョロしているというのは、ショービジネスの視点に立てばどう考えてもマイナスなのである。 オタクアミーゴスの公演に集まってくるお客さんはその大半が男である。もちろんみなさん、筋金入りのオタクが殆ど。心理テストじゃないが、「Aの入口には中年の見苦しいオッサンが、Bの入口には美しくうら若きレディーが立っています。あなたはどちらの入口を選びますか?」と言う質問に「A」と答える男はいまい(「ボクってシャイだからAに行っちゃうな」なんて言ってるキミ、さっさと病院に行きなさい)。 AIQはボランティアで活動しているのだから、こういうところで商売っ気を出すのはどうかというご意見もあろうが、やっぱりショーである以上、「見た目の華」を考える必要はあろうかと思うのだ。ただ、別に外見だけで鴉丸嬢に手伝いを依頼したわけではない。お客さんに何か尋ねられた時に即座に対応できる人じゃなきゃ意味はないのだ。だから例えば、私は穂稀嬢には一切声をかけていない(しげの話によると、彼女は何かのバイトで受付をしていて、客に声をかけられたときに「隠れた」そうである)。 本人は否定してるが、鴉丸嬢は美人だしオタクだし、オタク相手の応答は決して不得手ではない。だいたい、『吸血鬼ハンターD』のストラップ一つ貰っただけで、ウチのあの散らかった部屋を片付けるような人間がオタクでないとどうして言えるか(^_^;)。
AIQの会合、鴉丸嬢以外にも新参加の男性が出席。もっともこちらは手伝い人になるかどうか、まだ未定とか。本日は「見学」とのこと。 しおやさんとアンジェリーナさんはお休み。 アンジェさんはお風邪とのことである。オタクがオタクの会合に出席できないとうのはよっぽどのことだ。相当ひどい風邪なのかなあ、心配だなあ。……とか言ってる私自身、会議の最中、どんどん気分が悪くなってくる。初めは会議後の飲み会まで参加するつもりだったが、ちょっと体力が持ちそうになかったので、一足先に辞去する。
帰宅して、DVD『サイボーグ009 バトルアライブ9 ~審判~』を見ながら寝る。 第一期完結巻だけれど、『コスモチャイルド編』前半の27話で切れるという区切れが悪い。多分これ、第26話の『ギルモアノート』という総集編が入ったせいだろうな。恐らく最初のシリーズ構成では、26・27話で『コスモチャイルド編』をやる予定だったのだ。全く、タイトなスケジュールの悪影響が随所に出てるシリーズだったよなあ。 25話の『ミュートス、終章』、作画も演出も前半の白眉なんだけれど、絵コンテと演出のクレジットがない。監督の川越淳さん自身が担当したのか、それとも絵コンテなしブッツケで制作してったのか(^_^;)。
2001年11月30日(金) 心臓止まってもDVD……バカ?/ドラマ『五辨の椿』第1回/DVD『ハレのちグゥ』3・4巻ほか 2000年11月30日(木) チラシ完成!/『未明の家』(篠田真由美)
日記の表紙へ|昨日の日記|明日の日記
☆劇団メンバー日記リンク☆
藤原敬之(ふじわら・けいし)
|