無責任賛歌
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2006年11月15日(水) |
『イッセー尾形のつくり方2006in博多』ワークショップ」七日目/小松政夫さん登場の巻! |
ワークショップ七日目。
いったん決まったかと思われた組み合わせが、どんどん変更される。
「芝居はするなって言ってるでしょ? あんたたちが芝居しても、お客さんはワークショップに参加した人がつまんない芝居をしようとしてるようにしか見えないんだから。芝居をすればセリフを作ろうとするから、どうしても上がっちゃって、詰まるのよ。 動くなって言ってるのも、動けば言葉に詰まってるってのがお客さんには分かっちゃうからなのね。 セリフは作らなくていいの。感情は作らなくていいの。声を変えるだけで、お客さんが感情は作ってくれるんだから」
森田さんのダメ出しもだんだんと語勢を強めてきていて、昨年の北九州に近づいてきた。 「俺のやり方は今来たばかりの新人によく効くんだよな。古手、頑張ってくれよ」 激励なんだかプレッシャーなんだかよく分からない。 「いつもは四日間で作ってるけど、その先をやるってのは俺も初めてなんだから。練習なんてしないからね。そのまま舞台に上げるから」 全く、普通の芝居感覚とは違う。
私も当然、「ここまで来てるんだから、もっと声を変えて! やり過ぎたら、抑えるから!」とダメ出しされる。 ともかく言われた通りにやってみるが、自分ではうまく行っているのかどうか分からない。 余裕なんてなく、無我夢中でやっているだけだ。気が付いたら、自分が演じようと思っていたわけでもない爺さんを演じてしまっている。北九州の時のような日程で、三日前の段階で舞台に立っていたとしたら、こういう役にはなっていなかっただろう。これが長丁場ということなのだろうか。
今日は、サプライズがあった。 博多座で吉幾三公演に出演中の小松政夫さんが、中日の休憩ということで、稽古場を覗きに来られたのだ。 ご存知の方も多いだろうが、小松さんは、これまでに何度かイッセーさんと二人芝居を演じていらっしゃる。先日、NHKで放送された屋台ドラマもそうだ。 「ちょっとみんなに参考のために演じてみせてよ。新作で」 森田さんも突然、小松さんにネタを振る。 「そんな、心の準備が」と驚く小松さんに「40年準備して来てるでしょう」と即座に返す森田さん。プロの方にも遠慮がない。いや、遠慮しているようではプロではないのだろうが。 イッセーさんと小松さんの全く打ち合わせなしの芝居が始まる。 長い沈黙の後に「10年前、いや、7年前。私はまだ許してませんよ」と振るイッセーさん。「あれは私じゃありませんよ」と返す小松さん。緊張感の漂う瞬間。 森田さんが「オッケー、一人女の子を入れよう。この子は北朝鮮からの難民ね。その子をどうしたらいいかってことで相談してるの」と指示。 途端に状況が複雑化し、二人の間に困惑のムードが漂う。女の子が「さくらさくら」を歌い出す。 歌詞を間違えたのを聞いて、「この子はこれまでにこの間違いのまま覚えてきたのか、これから歌うために歌ったばかりなのか、間違いを教えてあげるべきなのか」とどうでもいいことで悩み出し、小松さんはエセ中国語で話しかける。 「それ、中国語で韓国語じゃないでしょう」 「朝鮮人は中国渡ってこっちに来てるんだから中国語もできるんですよ」 「アジアにお詳しいことで」 これが全て即興なのだ!
そりゃ面白いんだけどさー、まさかこれを私たちシロウトに要求してるってんじゃないでしょうねえ、森田さんは(苦笑)。
小松さんの博多弁講座、ギャグ作りの秘訣、イッセーさん森田さんと初めて会った時のエピソードなど、語るべきことは多いけれども、時間が来たのでここまで。
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藤原敬之(ふじわら・けいし)
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