ユキマークブック。...ゆき

 

 

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自分にはできないこと。 - 2001年10月12日(金)

今、『AsianJapanese』という本を
読んでいるんですけれど
まだ、『1』のほんの第2章くらいまでしか読んでいないのに
胸が締め付けられるような
それでいて、羨ましい気持ちで仕方ない。

私の読む本の中に、
ルポルタージュの類は実はすごく少ないのだけれど
どうしてだか
こういった、旅人の姿を追った本は
引き寄せられるように手にとってしまう。
どうしてなんだろう?

それは多分、
自分がすごくやりたいのに
絶対できないことだから。
旅から旅へ、
今の安定した、明るい生活を捨てて
それは暗い闇の中を手探りで進む旅だ。
手探りで、求めているのは、新しい自分。

現実の私は
今の生活にものすごい不満もないし
自分が何かを我慢しているとも思わないし
閉塞感に悩まされることもない。
ぽんと期限のない旅に出てしまったひとは
日本での生活を捨てる決意のできたひとだ。
私には
そうするだけの勇気も
どうしてもそうしたいだけの理由もない。

そして、女であることも理由の一つ。
女であるというだけで
どうあっても旅の危険度は増す。
それは、例えば、
残して行く家族の不安を高めるには充分な要因であり
それだけの心配をかけるわけにはいかないとも思う。

そして、自分自身の弱さ。
日本では
そうそう行き当たることのない
置き引きや脅迫が
生きるための当たり前の手段になっている国がある。
そこには、悪意のない害意が多くあって
やさしくされることに慣れきった私のもろい精神は
おそらく持たないと思うのだ。
だまされるほうが悪いなんて
だまさないと生きていけないなんて
そんな辛い常識には、長くは耐えられない。

そんなことを思いながら
本を鞄にしまって駅を出ると
ロータリーで男の子達が数人で
『明日があるさ』を唄っていた。
いつも唄っている、2人組の男の子達に加え
聴いていたんだろう男の子達も加わって
広いロータリーを横切る間ずっと
力強く歌声が響いていた。

楽器の出来ない私には
ああやってのびのびと歌うこともできない。
楽器ができたとしても
恥ずかしい気持ちが先にたって
やっぱりああして歌うことはできないんだろう。
臆病な私。

やりたいけれど
できずにいることがきっともっとたくさんある。
いつかできる日がやってくるのか
このまま一生を終えるのか
やりたいことを全部やれる人生は多分少ないんだけれど
やりたくて、やれるチャンスがあるのなら
ひとつづつでも取り組んでいきたいと思った。



...

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