ひぽこんコラム

2004年07月21日(水) 少年よ大志を抱け?

 きのうはまた例の「カナダの田舎からぁきますだ」の少年による英会話授業だったのですがぁ。少年、当初は「彼女追っかけて日本に来ちゃったらチャラけた坊や」だと思っていたのですが、きのうあれこれ話しているうちに実は事情アリと判明しやした。
 彼いわく。「東京はすべて物価が高くて本当に大変」「ビール1本買ってもカナダの数倍でレジで心臓が止まるかと思った」「暑さに耐えられない」「お金ナイからゴハンにお醤油かけたのだけ食べてる」「贅沢はマツヤのブタ丼」「フルーツが異常なほど高い。カナダではそこいらに生っていたのに」「東京は怖い。森で熊に遭うよりも怖い」「自動販売機なんて見た事無かったら使えなくて笑われた」「いつ犯罪にあうかと思うとビクビクしてる」「みんなボクが道を聞こうとしても逃げてしまう」「空気が汚い」「心が休まらない」とグチの山…。
 そこで「なんかさああ。チミには日本は合ってないような気がするよ〜。カナダに帰ったほうがいいんじゃないのぉ?」と言ったら「いや。でも東京だと地元の数倍お金が稼げるし」って言うんですわ。「でも数倍お金も出て行くでしょう?都会がいいならバンクーバーとかにすれば?」と言ったら「でもバンクバーとかだとボクはあんまり学歴もないから就職できないし。お金が稼げないし」と言うから。「ええっ?だってお金のためだけに日本に来てるわけじゃないでしょう?いいじゃん!地元で農業をまたやってれば?」と言ったらですね。急に少年は暗い暗い暗い顔になって「地元に帰っても農業だけじゃダメなんだ。カナダの農民は本当にみんな貧しくて。うううっ。うちも家を維持できなくなって売ったんだ。それでおじいちゃんの家にみんなで居候して。それでおじいちゃんがお金を出してくれて僕はカレッジに行けて、こうして日本にも来れた。僕がここで頑張ってお金を稼がないとならないんです」ああああ…。く、暗い。つ、辛い。なんかもぉ。言葉でなくなりぃ。英会話教室が一気に「みのもんたの人生相談」みたいなちゅ〜か。「女ののどじまん」@ルックルックこんにちは、ちゅ〜か。なんかもぉ。ドロ〜〜ンとした場所に変わってしまいましたとさ。
 そこで和田が明るくしようと「カナダでファームステイとか楽しそう」などと言ったら「そうしたいならリッチなファームを見つけないとダメだよ。そうじゃないと君は奴隷にされちゃうから。ああでも。カナダでリッチなファームを見付けるのはすごく難しいよ。みんな本当に貧しいからね」ドッヨ〜〜〜〜〜ン。
 いやもう。とにかくっ。英会話教室というようなノリを超えてですね、「カナダにおける農業貧困の問題の追及」みたいな、ドロンドロンの場になってしまいました。しかし。我々がイメージするカナダって、ロッキー山脈、湖、ラリホ〜なんですが、実際は貧しい農民が破産する国なんですよね。でもそれでも国としては「アメリカにノーと言える」自立した素晴らしい国なんですが。でも貧しいですね。ああでも。貧しい国なのにノーと言うカナダ人って素晴らしいですよね。うん。うん。それこそ誇りある人々ですよね。うん。うん。
 ところで。そんな少年君ですが。実は結構な美少年っす。だからあまりの暑さに入ったドトールみたいな場所で、いきなりガングロの女子高生集団に逆ナン状態にされたとか。すごいっすね。女子高生。「ハ〜〜イ」って全員に言われたそうっす。しか〜し彼は色黒のスレた女子高生などに免疫はなく、とにかく恐ろしくて一目散に逃げちゃったそうです。そのときの感情を「ホリブル!ホリブル!」と叫ぶようにして言ってました。ホリブル…それは恐怖を表す最上の表現。死ぬほどこわっ!みたいなぁ。くぅ〜〜。どこまでもこの少年は…。
 それにしてもなぁ。このあいだまでそこで教えてくれてたNY出身の大金持ちのヒップホッパー先生は暢気に彼女にくっついてデンマークに移住。「ま。どうにかなるよ」と言っていたのに反してこの少年はすべてがどうにもならん。言ってはなんだが。なんちゅ〜か。世界の「勝ち組」と「負け組」をわずかな間に目にしてるという気がします。世知辛いのぉ〜。あああ。少年に幸あれっ!!
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