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熱血青春日記(癒し系)
ゆう
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2008年03月27日(木)
ドナドナ

 今日は車を売る日。
 酔いを冷ましてから実家に帰り、手続きを済ませて、引き取られていくのをじっと見ていました。ひとつの時代が終わった気がする。
 その後は、自分の部屋の荷物のいくつかを東京の新居へ発送。
 東京か……。1100㎞くらい離れた土地でこれから暮らすんだなあ。


 夕方になり、大学の街へ行く交通手段がなくなってしまった僕は、I籐くんに迎えに来てもらい、いつもの通り大学のロビーへ。今日は教授と居残り組で飲み会です。毎日飲んでるんだけど、今日はいよいよ、僕の送別会。
 昨日、彼女宅に放置してきたTくんも拉致りました。
「ゆう先輩になら奪われてもいいですv」
 と、後輩は快く貸してくれました。元気になってよかったね。僕は東京だけど、これからはK田くんが足になってくれるからね、と言って、Tくんといっしょに大学に戻る。ロビーにはみんな集まっていました。

 田舎町だから、やることがもうパターン化しているんだけど、夕方からマスターの店に押しかける。今日は貸し切りだよ、と言って、いろいろ用意してくれてました。マスター大好き。がっちり抱き合って乾杯する。
 夜23時になると、この街唯一のカラオケボックスで学生さんは1000円で朝まで飲み放題というトチ狂ったサービスが始まる。もう学生じゃないし、飲み屋のマスターとか教授とか混ざってるんだけど、4年間通って店員さんとも知り合いだから、完全スルーで部屋に入る。この店大丈夫なんだろうか。

 もうわけわからないくらい泥酔し、教授がとなりで
「ゆうくんはいいよ、ゆうくんは良い子だよ……」
 とずっとつぶやきはじめるし、誰かがM木という男のパンツを脱がせて、窓の外に投げ捨てるし、それを全裸で取りに行くという犯罪行為を犯すし、ひどいありさま。

 夜は白々と明け始め、カラオケは終了。
 教授やマスターは帰ったけど、僕らは大学の裏庭に戻って、死ぬほど寒い中マスターに貰った、あまりのお酒を拡げ始める。
 おでんをコンビニで買ってきて、まったりしながら、
「このメンバーだから、大学楽しかったよ!」
 と、口々に言い合う。 
 素晴らしき哉友情、と感じた、思い出の夜。



2008年03月26日(水)
ラスト・ラン

 卒業式が終わっても、相変わらず大学のロビーに集まって、教授たちに
「君たちがこのロビーからもうすぐいなくなるって、なんだか信じられないなぁ」
 としみじみ言われたりしています。
 今日も相変わらずソファに寝転がりながら、K田の車の夏タイヤをどうするか、なんて話をしていました。けれど、今日は特別な日。Tくんがいよいよ大学の街を出て、実家に帰るのだ。

 最近、みんなの引っ越し手伝いをしているので、もうすごいチームワークで作業が進む。あっという間に荷物の配送が終わり、空っぽになった部屋でコーヒーなんぞを飲む。
 Tくんの親がそろって大学まで迎えに来て、
「みんな、いままでありがとうね。話はよく聞いてるよ」
 と言われ、なんだか寂しい気分。
 そのまま、駐車場から出て行くTくん一家をずっと見送っていました。


 僕らは「さて、このあと何して遊ぶ?」なんて言っていたんですが、独りうるうるしている人が。
 Tくんの彼女は大学の後輩。これから少なくても一年間、遠距離恋愛なのだ。
 この子、とっても明るい子なんだけど、心配になるくらい落ち込んでいるので、お互いに目配せをして、彼女が好きなカラオケでもいこか、と誘って、この街にたった一つのカラオケボックスへ。

 思いっきり歌って気が晴れたみたいで、
「先輩、ありがとうございました。私、がんばります!」
 と言ったので、
「そうそう。同じ道内なんだからいつでも会えるよ! おれなんか東京と札幌だよ!」
 と励ましました。あれ、僕の目から液体が。


 後輩を家に帰した後、悪巧み開始。
 実は僕の車は東京に持っていけないので、明日売りに行くのです。
 だから今日はラストランだ、とみんなで盛り上がっていたのですが、行き先をまだ決めていない。
 この車の最後の使い道は、後輩のサプライズにしよう、なんて言ってにやにやする。

 そう、今、独りの部屋で落ち込んでいる後輩のところへ、彼氏を届けてやろうという作戦です。Tくんの実家は静内にあり、今後しばらく休暇を取ってから、帯広で働くことになっていたから、今ごろTくんは暇しているはずなのだ。それを拉致ってやろうという作戦。
 そんなわけで、夜ににやにやしながら大学の街を出て、一路静内へ。

 K田が何度か遊びに行ったことがあるそうで、Tくんの家までは案外早く到着しました。家の前でケータイに電話をかけ、「おい、今から遊びにいこうぜ」と言うと、Tくんは家から飛び出してくる。いつもなら「ばかだなあ、お前ら」というくせに、今日はなんだかうれしそうだったのだ。

 じゃ、息子さん借ります! と親御さんに言い、また札幌へ。
 親御さんは大爆笑していました。また遊んでやってねと確かに昼間に言ったが、まさかその日の内に遊びに来るとは思わなかったんだろう。そりゃそうだ。
「うちの子は良い友達を持ったね」
 と言って、ちょっとうるっと。


 さて、大学の街まで帰ってきました。
 急いで来たから、ボンネットから湯気が出てる気がする。最後の走りは見事だったよ。
 後輩の家に行き、ピンポンを連打。
「もーなんですか先輩、今、何時だと……」と言いながら出てきて、後輩は硬直しました。その表情といったらおもしろすぎました。すごく泣きそう。
 そのまま、Tくんを置いて我々は退散しました。4年間で最高傑作のいたずらだったなー。
 やることがないので、そのまま我々はいつもの飲み屋。マスターとしみじみ飲みながら夜を明かしました。