胡桃の感想記
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2005年06月18日(土) 「メッシュ Relier / Allier」シアターサンモール

☆劇団Studio Life☆

「メッシュ」(小学館・白泉社)は劇団の大きな転機作となった「トーマの心臓」と同じ萩尾都望さんの作品なので、劇団員も皆いつもと少し心構えが違うみたいだった。原作は文庫化した時に読んだが(当時の)私の好みではなく、演目発表時はちょっとがっかりした(苦笑)。そんな私が何より気になったのは、メッシュの髪である。やっぱり金銀メッシュ・・・?

【Relier Cast】山本芳樹 曽世海児 奥田努 寺岡哲 舟見和利 船戸慎二 牧島進一 
下井顕太郎 大沼亮吉 関戸博一 松本慎也 宗村蔵人 荒木健太郎 林勇輔 
山﨑康一 藤原啓児 河内喜一朗 青木隆敏 小野健太郎 吉田隆太 三上俊 
高根研一 岩﨑大

舞台は腕を折られたメッシュと贋作画家ミロンの出会いから始まる。パリの何気ない日常、そしてアパートの人たちとの交流が描かれる、ドルーとの再会から過去に遡り、現在と過去を行き来する一幕。過去のシーンになるとメッシュの衣装が変わり、ドルーのネクタイも変わる。何よりメッシュの右腕の包帯がなくなるので、すんなり“過去”の時間に乗ることが出来た。メッシュの支配者・父サムソンへの憎悪と銃への執着はミロンとその周りに人たちをも巻き込んでいく・・・。

山本メッシュが若々しくて可愛かった。キャスト発表の時からハマリ役だとは思っていたけど、曽世ミロンと喧嘩する所が新鮮だった。内に秘めるイメージだったので、頬をふくらまして怒って、大きなフランスパンにかぶりついて去っていく姿が子どもっぽくて印象的。髪も金髪にメッシュと原作どおりだったけど、とても似合っていた。イメージフォトも物凄く格好良かった!「MOON CHILD~月の子~」で女性化した山本セツの時は、金髪が似合わず栗色の髪になったから、似合わないと思い込んでいたけど、あれは女性だったから似合わなかったのね、きっと(私がみたときは栗色で可愛かったけど)。

曽世ミロンは包容力溢れる素敵な大人。・・・と思えば仕事中、つまり絵を描いている途中で話し掛けられるとスゴイ勢いで怒鳴るという短気さもあって、こんなに熱い(?)曽世さんは私、初めて観たかも。舞台で対等の人間関係(まぁ山本メッシュに振り回されっぱなしだけど)を築いている曽世さんが久しぶりで何だか生き生きしているようだった。今思うと、ドラキュラ伯爵もリオン(OZ)も孤独だったからねぇ。こちらも髪型が気になっていたけど、後ろで束ねていたので似合っていた。

奥田ドルーはもう格好イイ!スーツ似合うし、大人だった。死んだ愛犬の代わりに、行く先のないメッシュの世話をするドルー。ちょっと(かなり?)愛情の向け方が違うけど、最初にメッシュに優しくした人なのかな・・・。妙に過去を匂わせたスキンシップの数々に、奥田ドルーと山本メッシュに何だかドキドキしてしまった。原作より随分若い奥田ドルーで、劇団では後輩なのに、ちゃんと山本メッシュと立場が逆に見えてくるから不思議。「MOON CHILD~月の子~」では奥田ティルトとして山本セツを守っていたし・・・年齢とかって舞台じゃ関係ないのだなぁと改めて思うナイスコンビだった。

ただドルーのドーベルマンは「OZ」初演の飛行機シーンを越える大変さだった・・・私の想像力が(笑)。あのシーンは大切だし、音だけの演出だったけど、山本メッシュも奥田ドルーも上手だからいいんですけどね。犬の着ぐるみとか出てきたら嫌だし(出てこないよ・・・)。

林チコと大沼パンチョ。林チコは顔を前に出して(猫背?)、ギョロ目で登場した瞬間から笑えた。人を覗き込む仕草で、口調も独特で面白かった。登場しただけで笑いをかっさらう林さんってスゴイ。大沼パンチョもとてもフレッシュとは思えない貫禄でいい雰囲気を醸し出していた。でも二人の喧嘩シーンは大迫力で怖かった・・・牧島ポールに対してなんて嬉々として恐ろしかった。山本メッシュには、ややためらい気味だからか、まだマシだったけど(でも怖い)。

メッシュのカフェ・バルーンでのクジ売り第一号のお客・小野さん。眼鏡かけてピッチリ7・3分けのスーツ姿で、最初誰だか分からなかった。「ドリアン・グレイの肖像」ではアップになる位、格好いい人なのに面白すぎ!!小野さんが楽しい人だとは聞いていたけど、はじめて見た。第二幕では、藤原バンの部下役で髪を立ててめちゃくちゃ格好良くなるけど・・・一幕が忘れられません(笑)。

二幕から登場の寺岡ユフィルもスーツが似合っていて格好イイ。山本メッシュとのアクションもスピード感あって体格的にもバランスが良かった。まさかメッシュがボトルでユフィルの頭を叩くなんて想像もしていなかったからビックリした。だんだんアクションが本格化しているみたい(他の舞台のアクションを観たことがないので知らないけど)。
寺岡さんは肩幅がしっかりしているからか、スーツや軍服(パサジェルカ)がとても似合う。みるたび、この人ってこんなに格好良かったっけ?!と思うくらいいつもいつも惚れ直しています(笑)。曽世ミロンに不意打ちに銃で殴られて倒れた後、ゆーっくりと起き上がる姿は、不死身なターミネーターのようだった。動きに無駄が無く冷静で、訓練された人間だというのがよく伝わった。

寺岡ユフィルの銃を手に入れ、河内サムソンの所へ行こうとする山本メッシュは阻止する曽世ミロンに銃口を向ける。「何処へでも行って野たれ死んじまえ」と言われると、「行く!」と泣きそうな顔をしてから去っていく。こういう細かい表情とかを楽しめるって小劇場ならでは。


【Allier Cast】 岩﨑大 高根研一 青木隆敏 小野健太郎 舟見和利 船戸慎二 
牧島進一 下井顕太郎 大沼亮吉 吉田隆太 三上俊 宗村蔵人 荒木健太郎 林勇輔 山﨑康一 藤原啓児 石飛幸治 奥田努 寺岡哲 関戸博一 松本慎也 
曽世海児 山本芳樹 

高根ミロンが面白すぎーーっ(笑)。この人って割と台詞どおりに動く人というイメージがあったので、あんなに自由に動いていてビックリした。助けたミロンに向かって、メッシュが「・・・あんた同性愛好者か?」と聞くのだけど、山本メッシュの場合は言い方というか間の取り方とちょっと低くなる声が面白かったけど、岩﨑メッシュは何だか普通でそのまま流れていきそうだったのに高根ミロンが「まっ、モテないけどな・・・ピース」って最後にピースするものだから、呆気に取られつつ笑ってしまった。
二幕冒頭の関戸モデルちゃんがミラーを覗き込んでポーズ決め、その後かがんだときは高根ミロン、後ろからミニスカート覗き込んでいたし・・・(笑)。

岩﨑メッシュは一幕は割と淡々と台詞を言っていたような気がした。単に高根ミロンが面白すぎて淡々と見えただけかもしれないけど(笑)。山﨑シラノにお金を貰った後、「脱ぐ?」とからかい半分、誘うように甘く言っていて(山本メッシュは普通というか無邪気に「脱ぐ?」という感じだった)、二幕からの岩﨑メッシュは良くなっていた。まだ開幕して2回目だし、岩﨑メッシュは役になりきれていないかと思う一幕だったが、もしかしてミロンに出会った事で変化していく姿を演じたのかもしれない。だから二幕は感情豊かになったのかな。

青木ドルーは髭があって怖い・・・。奥田ドルーと違って、あまりメッシュとスキンシップ(?)しないから余計に。青木さんはイグー(「トーマの心臓」)のイメージが強くて、“ほわんとして可愛い”だけど、実は舞台でそんな姿は一度も観ていなかったりする。でもそんなイメージの青木さんだったので、ドルーは想像できなかったけど、岩﨑メッシュとのバランスも良く、身長差もすぐに気にならなくなった。
でも、奥田ドルーと山本メッシュのキスシーンは横なのに、青木ドルーと岩﨑メッシュは前後だったのは・・・身長差のせい?

石飛サムソンを撃ち損ねた後の号泣は、激しく叫んでいて高根ミロンを倒してしまうかと思った(違うし・・・)。山本メッシュが叫んでいるイメージがなくて、曽世ミロンにも抱きつくのかと思うくらいの力のなさだったので・・・このシーンはチームの違いがとても出ていた。

ただ、始まって間もない最初の回想シーン、不良少年たちの仲間に入れてもらうところは相手がフレッシュ(新人)3人だったので、山本メッシュは三上さん・荒木さん・吉田さんに対して落ち着きすぎていて、岩﨑メッシュは松本さん・荒木さん・関戸さんに対してでかすぎて、ちょっと無理があるなぁと思った。それだけが残念だった。


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