雨の一日。気温は上がらず春先のような肌寒さを感じる。
風も強くまるで嵐のようでもあった。
かなりまとまった雨となり水不足は解消されたようだ。
まだ水を張っていない田んぼにも十分に行き渡るだろう。
晴耕雨読とは行かず義父は今日も田んぼだった。
キャビン付きの中古トラクターを買ったので嬉しくてならず
出掛けた切りお昼になっても帰って来ない。
まるで子供の玩具である。面白くてたまらないようだ。
入院中のロスを挽回しようと躍起になっているのだが
いくら鉄人でも81歳の高齢であることを忘れてはならない。
事務仕事は午前中で一段落し午後は来客もなく暇を弄ぶ。
同僚は大型車の厄介な修理と格闘していたのだが
私が「もう嫌になったけん帰る」と告げれば
「俺も嫌になったけん帰りたい」と顔を見合わせ笑い合った。
「あなたも早く帰って来てね」「晩ご飯は何が食べたい?」と
冗談も程々にせずに愉快極まりない午後2時のことだった。
降りしきる雨の道をライトを点灯し走り抜ける。
何か温かい物が食べたい。そうだ豚汁にしようと思いつく。
メニューが決まると買い物も楽だが何と云うことでしょう。
肝心の豚肉を買い忘れたまま家に帰り着いてしまった。
近所の地場産店へ買いに行ったが肉類は全て売り切れていた。
何も買わずに帰るのも気が引けあんパンを買って帰る。
最近朝ドラの影響か無性にあんパンが食べたくなるのだった。
娘が冷凍庫の中を探してくれて何とか豚肉が見つかる。
おかげで予定通りに豚汁を作ることが出来た。
鰆の切り身も買っていたので塩焼きにしたら鰤にそっくりである。
脂がのっており鰤よりも美味しいくらいだった。
あやちゃんがその鰆を食べていた。鰆を食べるのは初めてである。
「あやちゃん、そのお魚美味しいろ?鰤みたいなね」と
うっかり口を滑らしてしまい娘に睨まれてしまう。
あやちゃんは好物の鰤だと思って食べていたのだそうだ。
機嫌を損ねるのではと思ったが「もう食べたけん」と笑ってくれた。
なんとほっとしたことだろう。鰆さまさまであった。
穏やかな夕暮れ時である。めいちゃんが窓の外を見て「まだ明るい」と。
いつの間にか随分と日が長くなったようだ。
雨は降り続いているが明日は晴れるらしい。
気温も高くなり夏日になる予報であった。
今日よりも10℃以上高くなり寒暖差が身に堪えそうだ。
今週は3日しか仕事がなく何となく物足らないが
休みとなればまた怠惰を貪ることになるだろう。
そうして生き永らえている。人生はまだまだこれからだと思う。
※以下今朝の詩
声
ひそひそと雨の声が聴こえる 噂話だろうか悪口だろうか
気にしない気にしない 云いたい奴には云わせておけ
崩れ落ちそうなのは心の壁 どれほど精を尽くしても 報われることはなかった
季節は移ろい夏の色に染まる その扉の前に呆然と立つばかり
相応しいとかそうでないとか どうして決めてしまうのだろう
私は「わたし」であるべきなのだ 胸を張り堂々と生きねばならない
雨の声は夏の声である ずいぶんと生き永らえて来たようだ
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