2005年06月14日(火) |
その小さき、老いたる背中に |
年齢は正直で 無理が利かなくなる身体である事は 充分承知している。
本当にムリはしないで、 ゆっくり身体を休めながら つねに健康管理に気をつけていただきたい。
あなたは僕の、大切な人のひとりで 我々の恩師で いつまでも元気で、今よりも元気でいてもらいたい・・・・
でも そんないたわりの心とは裏腹に もうひとつの本音が胸の奥に沈殿している。
あなたの若い頃の情熱は まだ幼く蒼い頃の僕たちからしても まぶしかったあの頃の情熱は何処へ行ったのだ?
枯れた。 そう、情熱はまるで干上がった泉のように 枯れてしまったのだ。
若さを失うとは 肉体が老いる事ではなく 心が老けゆく事なのだ。
年齢は肉体と、過ぎてきた時間の蓄積が決めるのではなく 心の中にある情熱と言う名の、目には見えない、 しかし、溌剌としたその人の生き様という形で表れるものだ。
自分のことよりも、 まず誰かの事を考えていたあの頃の姿が 今日の姿に結びつくとは思いたくない。
廊下を歩く その小さき、老いたる背中を見送って こみあげてくる何かと格闘しながら
もう戻ることのできないあの頃と 残されたわずかな時間のこれからを 口にできない想いと一緒に飲み込んで。
○ たしかなこと / 小田 和正
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