まみいの日記
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母は退院して以来 うちに来てもらっている。 5分ほどの距離しかないお互いの家だが そばに居てくれた方が私が安心できるので 自宅を長い間留守にするのを心配する母を説き伏せた。 だが3日に検診を受けて その結果が良好なら自宅に帰るという。 だいぶしっかりしてきて 痛みもうすれてきたようで ここにいて手持ち無沙汰でぼんやりしているよりいいかもしれない。 今日は天気も良かったので 片付けをしたいからと 午前中だけ自宅に帰っていった。 昼頃 仕事を終えて 迎えに行くと 「留守電が入っていたのだけど 誰からか名前がわからないの。 聞いてくれる?」 と やにわに 電話のボタンを押す。
「留守電全部で18件 そのうちの一件目・・」 と再生が始まった。 ちょっとちょっと そんな全部を聞かなくても その問題のメッセージだけでいいではないの? そう母に言おうとした私の耳に 聞きなれた父の声が飛び込んできた。 「あ〜 僕だけど・・」 と始まったその伝言は 今知り合いと話し込んでいるので心配しないようにというものだった。
懐かしい声。 聞きなれたゆっくりとした話し振り。 まるで 父が今電話をしてきたような錯覚を覚えた。
私は電話に伸ばしかけていた手を引っ込めると 次の伝言に耳を澄ませた。 母も仕事の手を止めて 聞き入っている。 「こうしてとっておくといつでも聞けるでしょう? だから消せなくて随分伝言が溜まっちゃったわ」 私は不意打ちを食らって 胸の奥深くがチリリと痛んだ。
まみい
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