ボクの庭にはゲッケイジュという木がある。 他の木はずっと前から勝手に生えていた木ばかりだが、この木は 珍しくボスとアキコが植えた木らしい。 この木の葉は、スープを煮る時に使うとスープがおいしくなるら しいのだ。
アキコはたまにこの木の葉を摘んで干している。 この葉を干す時、アキコはちょうどボクが届かないぎりぎりの 場所にこれを干す。ボクは届きそうで届かない葉っぱのニオイを かぎたくて、いつも苦労してしまう。
ボクは葉を干すところばかり見せられて、スープは一度も味わっ たことがない。 今日もおいしそうなスープのニオイがしてきたが、ボクの口には 入らないのだろうな。

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