目次|前へ|次へ
うちの庭には、お墓があります。 死んだ動物達が そこに埋まっています。
昨日は友達と昼食の約束をしていた。彼女が車で迎えに来てくれたので 家を出る。と、そこに。 「母さ~ん」 家に残る母に大声で呼び掛ける。 「うちの前に、鳥が死んでる~」 「ぎゃ~っ」 と、家の中から声がした。そのまま車に乗って非情にも 私は食事に出てしまった。 あれを見れば、何とかせずにはいられまい。 それは本当に小さな、小さな、ヒナ鳥の死骸だった。口を僅かに空けて 目をしっかりつぶって、小さな両足の指を丸めていた。
2時間後、戻って来て、早速 尋ねる。「あそこ、埋めた?」 「埋めたよ」 と母。「あれはスズメだね。カラスにやられたんだよ」 「そうかあ」
そこは庭の端っこで、枝垂れ紅葉の木の下を潜る様にして行く場所だ。 ミックスなんて言葉が無かった頃飼っていた 雑種のルルの『骨壷』と ずうっと飼って来た鳥達と、前に住んでいた家で やっぱりお墓にしていた 場所から持って来た少しの土とが埋まってる。 ギボウシの葉陰のひっそりとした、でも冬を除いて年中花の絶えない場所だ。 今はフウロソウが沢山の蕾を付け、隣でオダマキが花を付けている。 ヒメシャガとツルニチニチ草が色味の良く似た紫の花を咲かせている。
「目印に 上にデージーを植えておいた」 ああ、またそこからデージーがふえちゃうんだなあ。でもいいや。 ボタンインコのオーちゃんも、多分死んだらそこに眠る。 誰もお経は唱え方も知らないけれど、枝垂れ紅葉の下にしゃがんで見る その周辺は、とても美しい。
『秘密の基地』と息子は名付けている。
|