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■ 金曜日のコッペリア
よくたべました、とそのひとがいう。 それをきくと、わたしは安心して、さいごのひとくちをビィルで ながしこみながらおはしをおく。
でも、きょうはなぜかからだのふるえがとまりません。 わらいながら、かたかたとふるえているじぶんに、くすりを追加します。 金曜日の夜遅くのラェメン屋は、注文の声や話し声で、にぎやかでにぎやかで、 男の人達の集団やカップルや仕事帰りのひとたちの熱気と、温かいごはんから立ちのぼる美味しい匂いや湯気であふれていて、隅っこでふるえていても、だれもこちらにきづかないので、安心する(気持ちのいいていどにお互いに無関心だから、居心地はわるくない)。
それでも、目の前のひとにはふるえているのがわかってしまうので悲しい。 いちばんしられたくないひとなのによくみえてしまうところにいるのが苦しい。 にこにこしていても、楽しそうにしていても、それはぜんぶふるえながらだったから(お願い、とまって、もうとまって)。
わたしが、コッペリアのような人形だったら、かたかたとふるえていてもちっともおかしくなかったのにね(でも、人形は食事をしない)。 くすりがきかなかったので、かたかたとふるえるからだのまま、さようならをして主が不在の儘のおうちへむかいます。
2005年11月04日(金)
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