2012年09月28日(金) |
天平の三姉妹 遠山 三都男 |
物語ではない。 ちょっと歴史好きの人のためへの解説書のようなもの。
聖武天皇には三人の娘がいた。生涯不婚を定められ、孝謙天皇(重祚して称徳天皇)となって権力を振るった阿倍内親王。光仁天皇の皇后でありながら、夫を呪詛したとして大逆罪に処された井上内親王。恵美押勝の乱に加わった夫を失った後、息子たちの謀反に連坐、流罪とされて没年すら伝わらない不破内親王。凄惨な宮廷闘争の背景にあったのは何か――。皇位継承の安定のために人生を翻弄された三人の皇女の物語。 裏表紙より
阿倍内親王は光明皇后が母。 だが同じ聖武天皇の娘であっても 縣犬養広刀自 が 母である井上内親王 と 不破内親王 との人生は格段の違いがある。 生涯不婚を定められた阿倍内親王のほうが幸せであったとは言い切れないけれど、すくなくとも権力は手にした。
結局は 平城京を舞台にした数々の権力闘争というか、内乱や政変の当事者であり、また、その直接の被害者だったと言える。
2012年09月17日(月) |
知れば知るほど面白い 朝鮮王宮 王妃たちの運命 康 熙奉 |
韓ドラが結構な人気で、この本は朝鮮の時代劇のガイドブックのようなものだろう。 レンタルビデオのお店に行っても韓ドラのコーナーがかなりな場所を取っている。 私も 朝鮮王朝の物語のすっかりはまってしまい、かなりな数のDVDを見た。
ドラマは脚本家によるフィクションではあるけれど、根底にある歴史的部分は事実なのだから、当時の人たちがどう生きたかということを知るうえでも大いに好奇心をそそられている。
ところで韓国は儒教の国だとよく言われるが、私には男尊女卑の教えのように思えてならない。 例えば 女性にだけ課せられた ”七去之悪”という七つ条件。 つまり,妻を追い出しても構わない条件です
①不順舅姑 : しゅうと(舅)と 姑に順従しない ②無子 : 子(特に息子)がいない ③淫行 : 淫らな行動 ④嫉妬;人を嫉む (当時は 一夫多妻制で妾を嫉んでもいけない) ⑤悪疾 : 極甚な病気がある ⑥口舌 : うるさい ⑦盗竊 :盗む
男はいくら妾を囲ってもいいが、女には貞操を求める。 それに子供がいないのは女のせいとは限らないし、病気にだって誰だって罹りたくないはずだし。。。 まぁ、救いとしては ”拾妾” という制度もあったそうですけれど。。。
覚書 康 熙奉 (カン ヒボン)
2012年09月11日(火) |
苦海浄土 石牟礼 道子 |
わが水俣病
ドキュメント か ルポルタージュ なのか、 それとも魂の報告書なのか、読後感をどういう表現をしたらいいのだろう。 作者の故郷でもある水俣の美しい海の中で起こった公害病の患者の胸のうちを、水俣の言葉で書き綴られている。
よし、いつかは銭ためて舟造って、嫁御みつけて、片ひらの屋根の掘立て小屋でもよか、家持って、いつかは親の家に喜んでもらいぎゃ戻ろうちおもうた。百間の港はでけあがって、なるほどそれから水俣の町もひらけやした。 あねさん、わしゃふとか成功どころか、七十になって、めかかりの通りの暮らしにやっとかっとたどりついて、一生のうち、なんも自慢するこたなかが、そりゃちっとぐらいのこまんか嘘はときの方便で使いとおしたことはあるが、人のもんをくすねたりだましたり、泥棒も人殺しも悪かことはいっちょもせんごと気をつけて、人にゃメイワクかけんごと、信心深う暮らしてきやしたて、なんでもうじき、お迎いのこらすころになってから、こがんした災難に、遭わんばならんとでござっしゅかい。 なむあみだぶつさえとなとれば、ほとけさまのきっと極楽浄土につれていって、この世の苦労はぜんぶち忘れさすちゅうが、あねさん、わしども夫婦は、なみあみだぶつ唱えはするがこの世に、この杢をうっちょいて、自分どもだけ、極楽につれていたてもらうわけにゃ、ゆかんとでござす。わしゃ、つろうござす。
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