2025年07月17日(木) |
死の鳥 / 小池 真理子 |
内容紹介 定年後、小説講座で教えながら独り暮らす、澤登志夫。プライド高く生きてきた男が不治の病に侵され、余命を知った時、死をどう迎えるか−。いつからか準備を始めていたある計画を胸にひとり冬の信州へ向かう ー澤を崇拝する教え子・26歳の宮島樹里は自らの昏い過去と向き合い、澤から何を受け取るのか。 尊厳死を描いた傑作長編。
死に方については様々なことを考えた。彼がいつも理想形として思い描くのは、たまたま入った銀行で順番を待っている間、押し入った強盗に銃口を向けられることだった。
ー俺はどんなふうに死ぬんだろうか? と常々思ってしまうのもやむを得ない状況にはあるのだ。 目を閉じてそのときの光景を想像してみる。死因は何か? 場所はどこで誰がそばにいるのか? 自分はどんな姿で、いかなる心境で末期の風景を眺めているのだろうか?
「脱血死」
2025年07月11日(金) |
ミナミの春 / 遠田 潤子 |
大阪・ミナミを舞台に、人の「あたたかさ」を照らす群像劇。『オール讀物』掲載に書き下ろし
松虫通のファミリア ひとりで懸命に育てた娘のハルミは、漫才師になると言って出ていった。1995年、阪神淡路大震災でその娘を無くしたが、五歳になる孫の存在を「元相方」から知らされる
道具屋筋の旅立ち
アモーレ相合橋
道頓堀ーズ・エンジェル 夫がガンの告知をされてショックを受けてたら、実は隠し子がいるかもしれへんと告白された妻 アプリで婚活してできた彼氏に、結婚して一緒にカフェをする約束したら一千万円持ち逃げされた 彼氏に、妊娠したと言ったら連絡がつかなくなった
黒門市場のタコ 母が亡くなって血の繋がらない父との二人暮らし 血の繋がらないことを意識し過ぎて結局は二人とも無理をしていた
ミナミの春、万国の春 「元相方」のハルミが憧れた漫才師はただ一組、「カサブランカ」 2025年、万博の春に結婚を決めた彼女の娘のため、ヒデヨシはもう一度だけ動きだす
春 ー 痛みも後悔も乗り越えて、いつかみんなできっと笑える
2025年07月06日(日) |
きらん風月 / 永井 紗耶子 |
絵も歌も戯作もこなし、「尼子十勇士」を世に知らしめた栗杖亭鬼卵。寛政の改革で一度は天下人となった元老中・松平定信。鬼卵の昔語りは、やがて定信の半生をも照らし、大きな決意を促して…。『産経新聞』連載を単行本化。
「きらん」 「鬼の卵て、書きます。師匠が言うてはった。筆は卵やて。鬼も蛇も出る卵やて。それを忘れたないんです」
妻にも養女にした娘にも先立たれた失意の鬼卵 長う生き過ぎた・・・ そんな風に思いさえした
「暇を潰すだけでは生きるには、人生は長い」 その通りだ。心の踊る方へ・・・
2025年07月02日(水) |
安楽死特区 / 長尾 和宏 |
2024年、「安楽死法案」可決!? 東京オリンピックが終わり、疲弊していく日本で、病を抱え、死を願う男女が、国家の罠に堕ちていく…。医師・長尾和宏の本格医療小説。
まだここだけの話、ということで(安楽死特区)構想についてざっくり説明しますね。国家は、安楽死法案を通そうと目論んでますよ。なぜなら、社会保障費で国が潰れそうだからです。しかし国民皆保険はどうしても維持したい。それならば、長生きしたくない人に早く死んでもらったほうがいい、そう考えています。
人間の内面には何層の顔があるのかわからない。生きたいと言っている人間が本当は死にたいと思い続けていることもあるし、逆に、死にたいと言い続けている人間の言葉が、生きたいの裏返しであったりする。
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