My life as a cat DiaryINDEX|past|will
「無事産まれたよ」
宿の主人に教わったとおり二十四の瞳映画村から渡し船に乗ることにした。船乗り場へ行くと看板がありただ携帯電話の番号が書かれている。かけるとおじさんが出た。船に乗りたいというとひとこと、 ![]() コーヒーを買い、オリーブ公園の芝生に横たわり、宿へ戻るためのバスを待った。 ![]() 宿へ戻ると娘さんが作ったというオレンジピールの砂糖漬けを持たせてくれて、主人が車でフェリー乗り場まで送ってくれるという。お父さん、お母さんのような親しみの沸く良い人々だった。島の人が本当に「二十四の瞳」の映画のような口調で話すのも感動だった。大学のないこの島では高校を出ると若者が他所へ行ってもうなかなか帰ってこず、人口は年々減少し、高齢化しているそうだ。主人は小豆島出身で倉敷などへ出て行ったことがあるけど、やっぱりここがいちばんええね、と言っていた。 ついでに、とフェリー乗り場からほんの少し坂を上がったところにある北野武とヤノベケンジの合作でこの島に贈られた作品を見に連れて行ってくれた。主人は北野武が島に来たことを本当に嬉しそうに語っていた。 「オーラがもう全然ちごたわ」 ![]() ジャンボフェリーが迎えに来た。神戸へ帰る。 ![]() 香川へ来たというのに、うどんを食べずに帰れない。帰りのフェリーにてやっとありついた。汁がやっぱり関西風の出汁味。これはとても美味しかった。こちらの人が関東の醤油ぼてぼてが食べられないというのよくわかった。それにしてもいい眺め。 ![]() 世界最長の吊り橋、明石海峡大橋をくぐった。 ![]()
< 二十四の瞳 映画村 > ![]() 古い家々。住む人々のドラマが沢山詰まっているのだろうね。 ![]() 桜と静かな瀬戸内海。 ![]() 醤油樽のバス停。 ![]() 1時間ほど歩いて岬の分教場に辿り着いた。うわぁ、映画の中そのまま。 ![]() 椅子のサイズがばらばらなのはこういう村の小学校ではいくつかの学年をまとめて教えるほかないからだろうな。 ![]() ![]() ![]() この映画みんなやたらよく泣く。とにかく観てるほうが笑っちゃうくらいよく泣いてたっけ。 ![]() ![]() あっ、やっぱり。2学年ずつ合同で3クラスしかないのだね。 ![]() ![]() 桜を臨む教室。 ![]() 岬の分教場から歩くこと10分。映画村に着く。こちらは団体のバスなどが停まってなかなかの観光地のようだ。韓国からの観光客が沢山いた。この映画韓国語に翻訳されているのだろうか、それとも単に観光名所として訪ねてきただけなのだろうか。 ![]() ![]() ![]() ![]() 海を臨む分教場も美しい。 ![]() 大石先生の自転車。ごく普通の女の人でお母さんであった先生が軍人になってお国のために戦うと奮い立つ息子に呟いた言葉を思い出す。 「なあ大吉。お母さん、やっぱり大吉を只の人間になってもらいたいと思うな。命を大事にする普通の人間にな」 ぐっときたね。大石先生は、終戦を迎える頃には自転車も母親も旦那も子供ひとりも失くしてしまったが、最後まで心優しい"普通の人"だった。 ![]()
< 小豆島オリーブ公園 > ![]() ポストもオリーブ色。 ![]() 桜とオリーブの風景はこの島ならではかな。 ![]() このハーブ園はかなり気に入った。働いている人がプロフェッショナルで知識豊富であれこれ教えてくれた。大方の種類のオリーブは実をつけさせるなら2種類、そして2本以上ないとできないそうだ。オリーブを2本と乾燥させてお茶にするととびきり美味しいレモン・バーベナを買った。 ![]() 黒猫雑貨屋には本当に看板となる黒猫がいて、ハーブ園内を走り回っていた。 ![]() < 野の花 > オリーブ公園から歩いて15分。予約してあったレストランへ行った。素敵な庭がある。 ![]() ![]() 三段になった野の花弁当。目も舌も大変満足。 ![]() デザートまでしっかりいただいた。大変素敵なレストランだった。 ![]()
< エンジェル・ロード > ![]() この猫ちゃんはわたしを見るなりピンポイントで突進してきた。なんで大勢の中から選んでくれたのだろう。 ![]() 「恋人の聖地」なのだそうだ。 ![]() ![]() ![]() ![]() 一見穏やかな海だが、潮の流れが速いので海水浴には向かないそうだ。 ![]() ![]() < 小豆島ラーメン HISHIO > 小豆島といったら魚介出汁。見た目よりもずっとあっさりしたラーメンだった。絶景。 ![]() < カフェ オリーブハウス > これといって有名な店ではないのだろうが、たまたま通りかかって買った手作りドーナツがあまりにも美味しくて滞在中リピートした。1個100円でボリューム満点。うどんなども関東と違って500円超えたらだれも食べないなどと聞いたが、今時小麦粉の価格もアップしているし、これで採算がとれるのかと心配になってしまう。しかし小豆島にはそんな心配になってしまうようなお店ばかりだった。 ![]() 4種類味があるのだが、普通の砂糖のやつが一番美味しいと思う。この幸せな雰囲気の写真はお気に入り。 ![]() お店で手作りしているだけに運が良ければほんわか温かいのが食べられる。 ![]() どうしてこんなに絶妙で美味しいのだろう。お店のおじさんに聞いた。 「やっぱりあれこれ研究したんですか」 「研究?そんなもんしとらんわ。ただつくてるだけや」 うーん。何かあるんだろうな。でもなんだかわからない。 ![]()
長いことわたしの"Places to visit list"にあった小豆島を訪れることにした。大好きな映画「二十四の瞳」の舞台であること(モノクロのフィルムであることがかえってこの島の魅力を最大限に活かされていた。ストーリーも好きだが、映像も美しかった)、日本で唯一真剣にオリーブ栽培に取り組んでいるところであること、また瀬戸内海の気候や景色というのは関東辺りの人間からすれば異国のような変わった景色であることが理由でかねてから思いを馳せていた。名前だっていいじゃないか。あんこに目がないわたしはその名前だけで十分惹かれていたのである。 ![]() ![]() 船の中といえども特別食べ物が高いとか、不味いとかそんなことは全くない。うどんを食べている人もけっこういた。 ![]() < 小豆島 坂手港 > 坂手港に到着。宿のある古江まで歩く。道中は、うわぁ、大丈夫なのか、この島は?と不安になるような景色だった。潰れてしまったホテルや食堂がそのまま幽霊屋敷のように放置されていたりする。 ![]() < 醤油、佃煮 > 夫婦が自宅を改造して経営しているような小さな宿に荷をおろしたら早速辺りを散策。通りには佃煮と醤油の工場が立ち並び、その辺り一帯に甘辛い香りが漂う。かつてそれで栄えた時代もあったそうだ。酵母菌が住んでいることが大事だからなのか、建物はどれも古ぼかしいものばかりだ。一般向けに開放している醤油工場が多いので、尋ねると案内してくれたり、味見をさせてくれたりする。出汁醤油というのが今時人気があるらしいが、残念ながらわたしは出汁というものはあまり好物ではない。素材そのものの味がいいのに、どうして出汁で味を隠してしまうのかと解せない物が多い。卵かけごはんにも普通の醤油のほうが好きだ。佃煮も大好物ではないが、いくつか自然味で美味しいものがあったので購入した。 ![]() これは酒屋。宮崎駿の描く妖精が出てきそうな建物。好きだな、こういうの。 ![]() この通り一帯民家も住所のプレートは醤油の樽のものが付けられている。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ここら辺でバスに乗り、有名なエンジェル・ロードへ行こうかと思ったが、オリーブ・バスは1時間に1本程、2本あればラッキーという間隔でしかやってこない。レンタカーやレンタサイクルというのも考えたが、この島は車でまわるには小さ過ぎて、自転車でまわるには大き過ぎる。3日間くらいの行程で、ちゃんとバスの時刻表とすり合わせて計画を立てればバスで十分だと思う(ただわたしたちは天候に恵まれず計画がガタガタと崩れたので大変だった)。とりあえず適当な喫茶店に入りランチを食べた。カレーにエビフライが乗ったやつとかオムレツなどしかないところだったが、意外にもちゃんとしたコーヒーを一杯一杯丁寧に淹れていて、美味しいのがでてきたので驚いた。もっと驚いたのはどこから沸いてきたのか、ランチタイムに満席になるくらい賑わいはじめたことだった。 < ごま油のかどや > エンジェルロードまで歩いていけるバス停で下車して床屋のおじさんに道を尋ねると通りまででてきて教えてくれた。そしてついでのように小さな家屋を指さした。 「ちなみにここごま油のかどや。有名だから見とき」 かどや?あのかどや??? 「本家本元やで」 入ってみる。駄菓子屋のような小さな商店だ。ここで始まって、そのうち近くに工場ができたのだそうだ。すごい!だってごま油といったらかどや、知らない人いないでしょ。"日本のかどや"の始まりがこんな僻地の小さな商店だったなんて、感動だった。これは良い物を見た。本家本元では関東のスーパーマーケットより安くごま油を売っていた。小豆島の人々はなぜかのんびりした雰囲気で、がつがつと商売をしている人がいない。そして価格競争もないのか、どこへ行っても同じ物は価格が同じ。競争が激しくてちょっと歩けば物を売りつけられそうになるようなところから来ると拍子抜けする。宿の女将さんによれば、 「え?お金持ち?そんなお金なんてみんなないよぉ。でもまぁ食べていけとるくらいなところやないか」 とのことだった。 ![]() ![]()
南房総のドライブへ。東京湾側から山を突っ切って勝浦まで出る。菜の花を掻き分けるように小湊線が走る写真を撮るために、1時間に1本しか来ないこの電車をずっと待っている人もいるそうだ。この辺りでは桜より先にこの菜花の黄色が春を告げる。 ![]() 南房総と言っても車で走って行くとその様相はどんどん変化していく。勝浦は荒々しく崖がぱっくりと切り立って地層が見える。わたしはここが一番好きだ。鴨川は一面砂浜で波が荒いのでサーファーが多い。行ったことはないが、映画で見るマイアミと雰囲気が似ているように思う。リゾート地といった雰囲気でけっこう拓けている。千倉まで来ると浅瀬に岩がごつごつとした海岸が多くなり、道はぐんと細くなって秘境のような雰囲気が増してくる。これが南端の白浜まで続く。折り返して北上して館山あたりまで行くと、もうここは東京湾の雰囲気がむんむんだ。 調べて予約してきた千倉のお寿司屋さんでランチを摂った。ネットに情報がなければ絶対観光客が辿り着かないような奥まったところにひっそりと隠れるような佇まいの店だ。はたまたネットに情報がなければこんなお寿司屋さんは予算がつかめず怖気づいて入れないだろう。房総名物のなめろうとお寿司をいただいた。何も知らずに頼んだのだが、このお店こそが125年前になめろうをはじめて出した発祥の地なのだそうだ。家族で繋いで現在のオーナーの板前さんは5代目。もうすぐ東京に修行にでている息子が6代目となるのだと言っていた。どうりで全てが絶妙なバランスで板についてる感じなわけだ。なめろうがフランスのビストロなんかにあるタルタルという料理と似ているという話から発展して故ジャック・マイヨールがこの店に足繫く通ったということを知る。背後を見ると写真やサインが飾られていた。ジャックが潜るとイルカが集まってきてしまって、地元の漁師が困惑したとかそんなエピソードまで聞きだすことができた。 ![]() トイレに入ったら覗かれたけど(笑)、とても良いお店で満足だった。 ![]() 岩場を散歩。穴ぼこだらけの石が"フロマージュ"に見えたのでひとつ拾ってきた。 ![]() 紫色の野草の絨毯。 ![]() 白浜で海の真ん前にあるカフェでブレイク。毎朝こんなところで目覚めのコーヒーを飲めたらどんなに幸せだろうか。自家製のケーキもとっても美味しかった。 ![]() 夢で見たことのある海なのか、父がいつかここに連れてきてくれたのか、定かではないが、記憶にある海だった。 ![]() タカかトンビか。大きな鳥が優雅に宙を待っていた。 ![]() 午後から東京湾側を北上すると夕陽がきれいだ。 ![]()
しばらく家に滞在している友人を連れて近場の温泉へ出かけた。母などは、あんな何もないところへはるばる遠方からやってきた人を連れていかなくても、と言うが、幸い友人は"何もない"贅沢を良く知っている人だ。ぬるめの琥珀色の温泉にゆっくり浸かり、辺りを散歩する。夕飯のために山菜や野花を摘み、ボートに乗り、野生動物を盗み見る。この場所は自分だけの秘密のようでこのまま放っておかれて欲しい。 ![]() ![]() この一見大したことのない滝にはすごいパワーを感じた。水の流れの激しさではない。夏の間に蛍が集うようにと環境を整えているせいなのか、滝の周辺まで行くと空気が明らかに神々しくなる。大きく呼吸すると肺が洗浄されるようだった。 ![]()
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