My life as a cat
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2017年04月25日(火) 事件

「無事産まれたよ」

という連絡が写真と共に妹から送られてきた。夕飯の支度のさなかで、農園で採れたきぬさやのスジを黙々と取っている時だった。5月5日が予定日と聞いていたから突然で驚いた。40年の人生の中でうっすらと記憶にあるたったひとつの"家族の出産"は5歳の時に母が妹を産んだことであり、今度はその妹がE.T.のような赤ん坊を生んでしまったのだから、劇的な時の流れを感じずにはいられない。

日中、ランチを食べながら、アニー・エルノー(Annie Ernaux)の「事件(L’Événement)...(「嫉妬(L’Occupation)」の中に収録される)」を読んでいた。堕胎が法律で禁じられていた1960年代のフランスで身ごもってしまった女子学生が、あの手この手で堕胎を試みる話。処置をしてくれる闇医者を探し、街を彷徨い歩く。誰にも言えず、言ったところで誰も守ってくれない。女子学生は心身共に追い詰められてゆく。必死に生きようとする強い生命力を宿した二つの命は互いに殺しあう。仲良く共に生きる道もあるというのに。。。

アニーと妹、発端の同じ「事件」が二極に分化して転がるのを目にしたようだった。

きぬさやをガーリックと炒めて、ニョクマムを振って、千切ったコリアンダーを添える。きぬさやはこうやって食べるのが一番好きだ。これをおかずにごはんを食べる。やわらかな春の陽の降り注ぐ良い日だった。これからまたいくつも春がやってきて、この定番料理を拵える度にこの日の"事件"を思い出すだろう。


2017年04月16日(日) L'agneau pascal

ついにアルザスからアニョー・パスカルがやってきた。フランスのお菓子の本で見て、このもこっとしたテクスチャーの愛らしさにひとめぼれ。パスカルのモールドを手に入れようと決めた。ネットで夜な夜なリサーチ。フランスでも誰もが知るお菓子というわけではないし、どこにでもモールドが手に入るわけでもないようだった。いくつか売っているサイトを見つけた。ステンレスなんかのは扱いやすいが、やっぱり味気ない。ここはやっぱり伝統的なアルザスのスフレンハイムの陶器のモールドがいい。決して水洗いせず使用後は布で汚れを拭き取るだけ。使い込むごとに油がよく馴染んで、綺麗に型離れするようになるらしい。割れたら最後だけど、育てる愉しみもあるものね。そして何より陶器のモールドは熱伝導が良すぎないせいだろう、ケーキやパンの中がふっくら焼ける。

さっそく油を塗ってまずは10分空焼き。それからケーキを焼いた。アニョー・パスカルのレシピは通常バターがあまり入らないらしい。小麦粉60g、卵60g、砂糖40gに対しバター10g、または全く入らないものもあった。わたしはレモンの皮を擦り下ろして入れてみた。焼きあがったパスカルはまるで生まれたての羊のように温かく愛らしい。ずっとどこかに飾っておきたいがケーキだしそうもいかない。うっとりと1日眺めてナイフを入れた。見た目だけじゃない、味も抜群だ。ミルクとよく合う。朝食に最高だ。

おなかがすっかり大きくなった妹に会った。ずっと父親になる人との関係の問題が片付いていないと母伝手に聞いて心配していたのだが、それはわたしの取り越し苦労だった。"お母さんになる"、ということが全てで、その他のことは取るに足らない些細なことのようだった。強さと自信に満ち溢れていた。妹のこんな逞しい姿を見るのははじめてだった。


2017年04月10日(月) 小豆島 - 渡し船、うどん、明石海峡大橋

宿の主人に教わったとおり二十四の瞳映画村から渡し船に乗ることにした。船乗り場へ行くと看板がありただ携帯電話の番号が書かれている。かけるとおじさんが出た。船に乗りたいというとひとこと、

「15分後に着きます」

とだけで切られてしまった。定期的ではなく、タクシーのように呼べば来るらしい。この島の至るところに売っている醤油やオリーブなんかを入れたソフトクリームを舐め舐め待っていると、向こう側からぷかぷかと現れた。オリーブ公園まで10分。小さな小舟で渡った。1人500円なり。リーズナブル。とてもよかった。




コーヒーを買い、オリーブ公園の芝生に横たわり、宿へ戻るためのバスを待った。



宿へ戻ると娘さんが作ったというオレンジピールの砂糖漬けを持たせてくれて、主人が車でフェリー乗り場まで送ってくれるという。お父さん、お母さんのような親しみの沸く良い人々だった。島の人が本当に「二十四の瞳」の映画のような口調で話すのも感動だった。大学のないこの島では高校を出ると若者が他所へ行ってもうなかなか帰ってこず、人口は年々減少し、高齢化しているそうだ。主人は小豆島出身で倉敷などへ出て行ったことがあるけど、やっぱりここがいちばんええね、と言っていた。

ついでに、とフェリー乗り場からほんの少し坂を上がったところにある北野武とヤノベケンジの合作でこの島に贈られた作品を見に連れて行ってくれた。主人は北野武が島に来たことを本当に嬉しそうに語っていた。


「オーラがもう全然ちごたわ」



ジャンボフェリーが迎えに来た。神戸へ帰る。



香川へ来たというのに、うどんを食べずに帰れない。帰りのフェリーにてやっとありついた。汁がやっぱり関西風の出汁味。これはとても美味しかった。こちらの人が関東の醤油ぼてぼてが食べられないというのよくわかった。それにしてもいい眺め。



世界最長の吊り橋、明石海峡大橋をくぐった。



2017年04月09日(日) 小豆島 - 二十四の瞳 映画村

< 二十四の瞳 映画村 >

宿から5㎞山道を歩いて二十四の瞳映画村へ向かった。好きな映画の舞台を訪ね歩くのはひとつの趣味であるが、その場所がこのように観光地として存在していたことは今まで一度もなかった。戦争の渦に巻き込まれてゆく小さな島の庶民を描いたこの映画。その心をなくしたあまりにもコマーシャルな場所になり果てていて、訪ねたことを後悔する自分を思い浮かべて、恐る恐る来たのだった。しかし、道中の長閑な村の風景、そして舞台のロケーションの美しさにその考えは吹き飛んだ。

海に沿った車道を歩く。全体的に高齢で日常的に車での移動を当たり前とする島の人々は"歩いてなんか行けない"と言うが、わたし達は5㎞歩くなんて朝飯前で10㎞だって嬉々として歩けるよ。映画の中の大石先生は片道14㎞の道のりを自転車で通勤していた。




古い家々。住む人々のドラマが沢山詰まっているのだろうね。



桜と静かな瀬戸内海。



醤油樽のバス停。



1時間ほど歩いて岬の分教場に辿り着いた。うわぁ、映画の中そのまま。



椅子のサイズがばらばらなのはこういう村の小学校ではいくつかの学年をまとめて教えるほかないからだろうな。









この映画みんなやたらよく泣く。とにかく観てるほうが笑っちゃうくらいよく泣いてたっけ。






あっ、やっぱり。2学年ずつ合同で3クラスしかないのだね。






桜を臨む教室。



岬の分教場から歩くこと10分。映画村に着く。こちらは団体のバスなどが停まってなかなかの観光地のようだ。韓国からの観光客が沢山いた。この映画韓国語に翻訳されているのだろうか、それとも単に観光名所として訪ねてきただけなのだろうか。












海を臨む分教場も美しい。



大石先生の自転車。ごく普通の女の人でお母さんであった先生が軍人になってお国のために戦うと奮い立つ息子に呟いた言葉を思い出す。

「なあ大吉。お母さん、やっぱり大吉を只の人間になってもらいたいと思うな。命を大事にする普通の人間にな」

ぐっときたね。大石先生は、終戦を迎える頃には自転車も母親も旦那も子供ひとりも失くしてしまったが、最後まで心優しい"普通の人"だった。



2017年04月08日(土) 小豆島 - オリーブ公園、野の花

< 小豆島オリーブ公園 >

ミロス島と姉妹関係にあるらしくギリシャ風の建物がいくつかある。しかしこの島の民家は古い木造(しかも暗い色の)ばかりで、白い民家と青いクーポラのギリシャの島々とは雰囲気は似ても似つかないと思う。魔女の宅急便のひとこまとして描かれたそうで、無料で貸し出してくれるほうきに跨りジャンプしている写真を撮ろうと頑張っている大人が沢山いる。




ポストもオリーブ色。



桜とオリーブの風景はこの島ならではかな。



このハーブ園はかなり気に入った。働いている人がプロフェッショナルで知識豊富であれこれ教えてくれた。大方の種類のオリーブは実をつけさせるなら2種類、そして2本以上ないとできないそうだ。オリーブを2本と乾燥させてお茶にするととびきり美味しいレモン・バーベナを買った。



黒猫雑貨屋には本当に看板となる黒猫がいて、ハーブ園内を走り回っていた。



< 野の花 >

オリーブ公園から歩いて15分。予約してあったレストランへ行った。素敵な庭がある。






三段になった野の花弁当。目も舌も大変満足。



デザートまでしっかりいただいた。大変素敵なレストランだった。



2017年04月07日(金) 小豆島 - エンジェル・ロード、ラーメン、ドーナツ

< エンジェル・ロード >

潮が退くと道ができて渡れる小さな島へ。

道中、島で採れた柑橘類が1個50円で売られていたので2個買ったらちゃんと食べやすいように切って更におまけのオレンジも付けてくれた。食べながらのんびりと歩いていった。




この猫ちゃんはわたしを見るなりピンポイントで突進してきた。なんで大勢の中から選んでくれたのだろう。



「恋人の聖地」なのだそうだ。












一見穏やかな海だが、潮の流れが速いので海水浴には向かないそうだ。







< 小豆島ラーメン HISHIO >

小豆島といったら魚介出汁。見た目よりもずっとあっさりしたラーメンだった。絶景。




< カフェ オリーブハウス >

これといって有名な店ではないのだろうが、たまたま通りかかって買った手作りドーナツがあまりにも美味しくて滞在中リピートした。1個100円でボリューム満点。うどんなども関東と違って500円超えたらだれも食べないなどと聞いたが、今時小麦粉の価格もアップしているし、これで採算がとれるのかと心配になってしまう。しかし小豆島にはそんな心配になってしまうようなお店ばかりだった。



4種類味があるのだが、普通の砂糖のやつが一番美味しいと思う。この幸せな雰囲気の写真はお気に入り。



お店で手作りしているだけに運が良ければほんわか温かいのが食べられる。



どうしてこんなに絶妙で美味しいのだろう。お店のおじさんに聞いた。

「やっぱりあれこれ研究したんですか」

「研究?そんなもんしとらんわ。ただつくてるだけや」

うーん。何かあるんだろうな。でもなんだかわからない。


2017年04月06日(木) 小豆島 - ジャンボフェリー、醤油と佃煮、ごま油

長いことわたしの"Places to visit list"にあった小豆島を訪れることにした。大好きな映画「二十四の瞳」の舞台であること(モノクロのフィルムであることがかえってこの島の魅力を最大限に活かされていた。ストーリーも好きだが、映像も美しかった)、日本で唯一真剣にオリーブ栽培に取り組んでいるところであること、また瀬戸内海の気候や景色というのは関東辺りの人間からすれば異国のような変わった景色であることが理由でかねてから思いを馳せていた。名前だっていいじゃないか。あんこに目がないわたしはその名前だけで十分惹かれていたのである。

< ジャンボフェリー >

仕事を終えてから新幹線で東京から新神戸へ。3時間程の旅。地下鉄に乗り換えて三ノ宮駅へ。神戸港のフェリー乗り場まで15分程歩いた。小豆島にかかる橋はなくフェリー以外のアクセス方法はない。"ジャンボフェリー"という名のなかなか大きなフェリーに乗り込んだ。通常は3時間程で到着するのだが、夜行便はあちこち寄港するので7時間ほどかかる。こんな大きなフェリーに乗ったことはないので船内を見てまわり、写真を撮ったり食べ物を買い込んだりした。女性専用という部屋もあった。神戸の電車も女性専用車両があったりしたし、この辺りはそういうのが普通なのだろうか。性別や年齢や国籍で境界線をひいたりひかれたりしないことを目指しているわたしには近寄り難かった。雑魚寝ができる部屋があるので、そこでみんな寝ている。わたたちも持ってきた寝袋を広げた。疲れていたせいかすぐに深い眠りについてしまい、目が覚めたら夜が明けていた。

瀬戸内海の神秘的な夜明けの風景。






船の中といえども特別食べ物が高いとか、不味いとかそんなことは全くない。うどんを食べている人もけっこういた。



< 小豆島 坂手港 >

坂手港に到着。宿のある古江まで歩く。道中は、うわぁ、大丈夫なのか、この島は?と不安になるような景色だった。潰れてしまったホテルや食堂がそのまま幽霊屋敷のように放置されていたりする。



< 醤油、佃煮 >

夫婦が自宅を改造して経営しているような小さな宿に荷をおろしたら早速辺りを散策。通りには佃煮と醤油の工場が立ち並び、その辺り一帯に甘辛い香りが漂う。かつてそれで栄えた時代もあったそうだ。酵母菌が住んでいることが大事だからなのか、建物はどれも古ぼかしいものばかりだ。一般向けに開放している醤油工場が多いので、尋ねると案内してくれたり、味見をさせてくれたりする。出汁醤油というのが今時人気があるらしいが、残念ながらわたしは出汁というものはあまり好物ではない。素材そのものの味がいいのに、どうして出汁で味を隠してしまうのかと解せない物が多い。卵かけごはんにも普通の醤油のほうが好きだ。佃煮も大好物ではないが、いくつか自然味で美味しいものがあったので購入した。



これは酒屋。宮崎駿の描く妖精が出てきそうな建物。好きだな、こういうの。



この通り一帯民家も住所のプレートは醤油の樽のものが付けられている。









ここら辺でバスに乗り、有名なエンジェル・ロードへ行こうかと思ったが、オリーブ・バスは1時間に1本程、2本あればラッキーという間隔でしかやってこない。レンタカーやレンタサイクルというのも考えたが、この島は車でまわるには小さ過ぎて、自転車でまわるには大き過ぎる。3日間くらいの行程で、ちゃんとバスの時刻表とすり合わせて計画を立てればバスで十分だと思う(ただわたしたちは天候に恵まれず計画がガタガタと崩れたので大変だった)。とりあえず適当な喫茶店に入りランチを食べた。カレーにエビフライが乗ったやつとかオムレツなどしかないところだったが、意外にもちゃんとしたコーヒーを一杯一杯丁寧に淹れていて、美味しいのがでてきたので驚いた。もっと驚いたのはどこから沸いてきたのか、ランチタイムに満席になるくらい賑わいはじめたことだった。

< ごま油のかどや >

エンジェルロードまで歩いていけるバス停で下車して床屋のおじさんに道を尋ねると通りまででてきて教えてくれた。そしてついでのように小さな家屋を指さした。

「ちなみにここごま油のかどや。有名だから見とき」

かどや?あのかどや???

「本家本元やで」

入ってみる。駄菓子屋のような小さな商店だ。ここで始まって、そのうち近くに工場ができたのだそうだ。すごい!だってごま油といったらかどや、知らない人いないでしょ。"日本のかどや"の始まりがこんな僻地の小さな商店だったなんて、感動だった。これは良い物を見た。本家本元では関東のスーパーマーケットより安くごま油を売っていた。小豆島の人々はなぜかのんびりした雰囲気で、がつがつと商売をしている人がいない。そして価格競争もないのか、どこへ行っても同じ物は価格が同じ。競争が激しくてちょっと歩けば物を売りつけられそうになるようなところから来ると拍子抜けする。宿の女将さんによれば、

「え?お金持ち?そんなお金なんてみんなないよぉ。でもまぁ食べていけとるくらいなところやないか」

とのことだった。







2017年04月03日(月) 春の南房総へ

南房総のドライブへ。東京湾側から山を突っ切って勝浦まで出る。菜の花を掻き分けるように小湊線が走る写真を撮るために、1時間に1本しか来ないこの電車をずっと待っている人もいるそうだ。この辺りでは桜より先にこの菜花の黄色が春を告げる。




南房総と言っても車で走って行くとその様相はどんどん変化していく。勝浦は荒々しく崖がぱっくりと切り立って地層が見える。わたしはここが一番好きだ。鴨川は一面砂浜で波が荒いのでサーファーが多い。行ったことはないが、映画で見るマイアミと雰囲気が似ているように思う。リゾート地といった雰囲気でけっこう拓けている。千倉まで来ると浅瀬に岩がごつごつとした海岸が多くなり、道はぐんと細くなって秘境のような雰囲気が増してくる。これが南端の白浜まで続く。折り返して北上して館山あたりまで行くと、もうここは東京湾の雰囲気がむんむんだ。

調べて予約してきた千倉のお寿司屋さんでランチを摂った。ネットに情報がなければ絶対観光客が辿り着かないような奥まったところにひっそりと隠れるような佇まいの店だ。はたまたネットに情報がなければこんなお寿司屋さんは予算がつかめず怖気づいて入れないだろう。房総名物のなめろうとお寿司をいただいた。何も知らずに頼んだのだが、このお店こそが125年前になめろうをはじめて出した発祥の地なのだそうだ。家族で繋いで現在のオーナーの板前さんは5代目。もうすぐ東京に修行にでている息子が6代目となるのだと言っていた。どうりで全てが絶妙なバランスで板についてる感じなわけだ。なめろうがフランスのビストロなんかにあるタルタルという料理と似ているという話から発展して故ジャック・マイヨールがこの店に足繫く通ったということを知る。背後を見ると写真やサインが飾られていた。ジャックが潜るとイルカが集まってきてしまって、地元の漁師が困惑したとかそんなエピソードまで聞きだすことができた。




トイレに入ったら覗かれたけど(笑)、とても良いお店で満足だった。



岩場を散歩。穴ぼこだらけの石が"フロマージュ"に見えたのでひとつ拾ってきた。



紫色の野草の絨毯。



白浜で海の真ん前にあるカフェでブレイク。毎朝こんなところで目覚めのコーヒーを飲めたらどんなに幸せだろうか。自家製のケーキもとっても美味しかった。




夢で見たことのある海なのか、父がいつかここに連れてきてくれたのか、定かではないが、記憶にある海だった。



タカかトンビか。大きな鳥が優雅に宙を待っていた。



午後から東京湾側を北上すると夕陽がきれいだ。



2017年04月02日(日) My little secret...

しばらく家に滞在している友人を連れて近場の温泉へ出かけた。母などは、あんな何もないところへはるばる遠方からやってきた人を連れていかなくても、と言うが、幸い友人は"何もない"贅沢を良く知っている人だ。ぬるめの琥珀色の温泉にゆっくり浸かり、辺りを散歩する。夕飯のために山菜や野花を摘み、ボートに乗り、野生動物を盗み見る。この場所は自分だけの秘密のようでこのまま放っておかれて欲しい。







この一見大したことのない滝にはすごいパワーを感じた。水の流れの激しさではない。夏の間に蛍が集うようにと環境を整えているせいなのか、滝の周辺まで行くと空気が明らかに神々しくなる。大きく呼吸すると肺が洗浄されるようだった。



2017年04月01日(土) Forrest Gump

米沢亜衣「イタリア料理の本」より、レンズ豆と米のミネストラを作った。材料はすごく少ないのに、米と豆を別に煮て最後に合わせるところとか、ミニトマトや玉ねぎ、ハーブを少々加えて煮るところとか、小さな手間が出来栄えを大きく左右するようなレシピだ。書かれたことを忠実に守ってやったら本当に美味しくできた。2人分作ったのに、ひとりで全部ぺろりと平らげてしまった。

同僚のおすすめで"Forrest Gump (フォレスト・ガンプ)"を観た。これヴァージョン違いの"American Beauty"だね。KKK、アメフト、ミリタリー、人種差別、母子家庭、幼児虐待、ドラッグ、エイズ、一攫千金ってもう全部出てくる。社会がどうであれ、決して翻弄されず、自分の心に一途に生きていくフォレストの姿に心を打たれてしまう。たくましいね。そしてやっぱり"American Beauty"なのは、生まれに関係なく誰だって"Life was like a box of chocolates. You never know what you're gonna get"のね。良き時代のアメリカのお話だった。




Michelina |MAIL