日々の泡

2008年09月09日(火) 仏滅

仏滅にはそっと暮らしたい
静かに閉じこもって
だれにも会わずに
茶などすすりながら
本でも読んでいたい
だのに
柵がそうはさせてくれず
小さな流れに
気の進まない足を
そっとつま先から浸していった。
とたんに
足 すくわれた…
仏滅には
苦い顔で
流されて行くのが
決まりらしい。



2008年09月07日(日) review 真珠のブローチのようにラブリー 清川妙さん

八十四歳。英語、イギリス、ひとり旅 清川妙 小学館

 五十代半ばからベルリッツの個人レッスンを受け始めた著者が
ひとりでイギリスを巡り旅するエッセイ。
いつも思うことだけれど輝く人生の先輩に出会うことは本当に勇気百倍♪
単調な暮らしの中に、きれいなブローチを見つけたような嬉しさ。
--今から思えば 五十五歳という歳は、なんと若く未来をたっぷりはらんだ年齢だったことだろう--
このエッセイが出版された当時、八十四歳であった著者は英語の学習を始めた頃を振り返ってこんなことを言っている。
四十代半ばでぜいぜいいっているわたしの胸に
凛と響く言葉だった。
--心を留めていなければ、時の砂はわたしたちの掌からだらだらと無為にこぼれ落ちる--
本当に。年を重ねるごとに、その加速度は増すもの。
 ある町で小さなブローチが著者の目に留まった
店番の美しい少年にそれを見せてくれるように頼む。
--「これを見た時、すぐに好きだと思ったわ」
  すると、彼は静かに微笑んでこう言った。「
「そんな時はこう言うんですよ。This broach caught my eye.このブローチは、わたしの目をとらえた>とね。」
まるで得意げに教科書を読むような英語だった。
「わたしはスペイン人です。この土地ではわたしはフォリナー、(外国人)あなたと一緒です。」--
心のブローチになりそうな素敵なエピソード…
著者自身が、一人旅の心得として、「ラブリーでいること」を揚げていらっしゃるけれど
まさに著者はチャーミングな日本の淑女、小さな真珠のブローチのような風情であることだろうことが随所から感じられる。
とても楽しく、そして心に残る一冊。



2008年09月02日(火) 書く作業

書くと言うこと
絡まった糸をほどきながら
心の核を探している。
何かを感じている…それを感じざるを得ないわたしの内側の何か…
そこまで辿って辿って
辿り着いたとき
空間が開く
道が見える
実のところ
そんなことはたまさかのこと
道が開けたとき
つかまえたような気になるけれど
気がつくと
いなくなっている
彷徨い歩く性癖らしい
あやつは…
ばななさんが云っていた。
「踏みつけられても書きたいものがある…」
それはどんなものだろうか
それは作家が一生をかけて表していくもの
作家というのは
本当に体に悪い職業なのだなあ
ほんの短い文を書くだけで
頭に血が上るわたしは思うのだ


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茉莉夏 [MAIL]