機械に2002年と打とうとして、 必ず2001年と打ってしまう自分がいます。 「にせんにねん。」と口に出しておきながら、 それでも2001年と打っている自分がいます。 毎日のように打ってきたので身体が覚えてるんでしょうな。 脳で理解していても、身体の記憶が先に出る。 記憶は脳と心(心臓)だけじゃないんだな。
よく臓器移植を受けた人が、 術後に体質変化するという話を聞きます。 何か人間の底力を見た気になります。 獣のようなその力強さにはドキドキします。
この身体に私の記憶を。 叩き付けて、染み込ませて。 誰かの身体で再び目を覚ます。 考えただけで恐ろしくなってくる。 とても素敵な事だと思う。
私の臓物は私の脳が生きる事を止めた瞬間、 誰かの身体で生き続ける事に決めています。
生まれてこの方、何度か人を殺そうと思いました。 今回は殺すのも嫌なほど嫌悪感満々です。 私の心の中は何やら色々と複雑なようです。 今まで人を殺した事は無いのに、 この手には、人を殺した記憶が染み付いてます。 夢での殺人はあまりにもリアルで、 いつしか私は、現実と虚実との区別が付かなくなるでしょう。 今既にこれは現実ではないのかもしれません。 朝起きると、誰かが死んでいるのかもしれません。 今私に出来るのは、その虚実の経験を元に物語を綴る事だけです。 完成まで後一歩の物もあれば、出来上がらない物もあるでしょう。 現実と虚実を元にした小説では、必ずと言って良いほど、 どこかで誰かが死んだり、殺されたり、消え去ったりしています。 この場面で死んだ彼は、虚実の人ですか? あそこで殺された彼女は、現実の人ではないですか? 彼等は、本当に架空の人間達ですか? これは私の殺人なのではないのですか? 答は私の中にありますか? 何年探しても出ない答はどこにありますか? 私はここに居ても良いのですか? ここに居るべき人間なのですか? 殺意を殺意だけで終わらせていたでしょうか? 私は誰かを殺してはいませんか?
この手に残る数々の感覚は何を意味するのですか?
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