武ニュースDiary


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2020年06月18日(木) 「南方人物周刊2017-4-24」 金城武の隠れ身の術・1

ここから、本文に入ります。
この部分は長いの……。
劉記者が、金城武の来し方をどのようにとらえ、
どのように書いたか、少しずつ見ていって下さい。



金城武の隠れ身の術

宇宙人が降りてきた

城武と言えば、まずは非常な容姿の良さだ。
蔡康永は、「彼が姿を現すと、宇宙人が降臨してきたように、光を放つ」と言い、
リン・チーリンは、「嘘みたいにかっこいい。
どうしてこんなに、と思うくらいで、完璧」と語る。

小Sの言い方はもっと豪放だ。
「あるとき、楽屋に彼が入ってきた。
言っとくけど、私、おしっこが洩れそうになったわよ。
ほんとなの、あんなにかっこいい男性は見たことがない。
たとえ普段は特に彼のこと好きではないひとでも、そう思うでしょう」

映画で共演した李小冉(リー・シャオラン)は、
彼とツーショットをとても撮りたかったが、顔を合わせると、口に出せない。
プレミアのときまでずっと我慢して、ようやくサインをしてもらったが、
ベテランの人気女優が、このときはファンの女の子のように、
はにかみながら大喜びだった。

顔の良い男は大勢いるが、他の男たちには嫌われる。
「だが、金城武のかっこよさには誰も何も言わない」
とピーター・チャンは言う。
さらにはこんな話まである。

2013年、金城武は航空会社のために撮ったCMで、
台東・池上の水田地帯にある、1本の普通のアカギの木の下でお茶を飲んだ。
わずか数秒間のシーンだったが、なんとこの木が人気沸騰し、
「金城武の木」と呼ばれるようになって、
年間5億台湾ドルの観光収入をこの地域にもたらした。

2014年に「金城武の木」は台風で根こそぎ倒れてしまった。
この件に関し報道が相次ぎ、現地の役所が乗り出して植え直して、
この木は「池上郷にとって金の卵を産む鶏だ、全力で救う」と表明した。
後にまた強い台風に襲われたときには倒れなかったが、
それがまたニュースになったのである。

時はさかのぼって20数年前、少年時代の金城武は、
まだこのような賛美は受けていなかった。
初期の番組動画で、彼は、日本人学校に通っていたときのことについて、
「どうしたら人に好きになってもらえるのかもわからなかった。
多分ぼくの表現の仕方があまり上手でなかったのだろう。
おしゃれをする勇気もなかった」と語っている。

もちろん容姿は良かった。
そうでなければ、同級生の母親の知り合いが
CMに出演させることもなかっただろうし、
事務所が彼と契約してCDを出させることもなかった。
しかし、その綺麗さは、芸能人ならそうだろうという程度だった。

初期に彼を何本かの映画に出演させた監督朱延平(チュー・イエンピン)はこう語った。
「要するに、なかなかいいねという感じで、息をのむほどではなかった。
それは多分ジミー・リンの方だったと思う」
当時は活発で可愛い男の子が流行だった。
「台湾四小天王」の内では、金城武は2番目に年若だったが、
顔つきは一番大人びており、その上内向的で朴訥だった。
朱延平は彼のことを“若年寄”と呼んだ。

「ジミー・リンもニッキー・ウーも、とんぼ返りやダンスができたが、
金城武は踊りもそんなにうまくないので、ちょっと損をしていた。
演技の幅もあまりなかったし」

初め、金城武は朱延平のコメディ映画で“アイドル”役を演じた。
つまり、お笑いをやれず、クールさ担当といった役回りだ。
コメディの中でアイドルだというのは、あまり良いことではない。
活発で人を笑わせる者こそメインだからだ。

「金城武は『報告班長3』に出演したが、
ジミー・リンと一緒だと完全に食われてしまった。
ジミー・リンは元気で明るいが、彼の方は表情がない」
と、朱延平はある番組で振り返っている。

2人が少しずつ親しくなっていって、やっと、朱延平は、
この恥ずかしがり屋の少年もまた、
おどけてみせることができるのだと突然発見したのである。

当時の映画撮影は資金がなく、撮影現場にはおいしい飲み物などなかった。
あるのはお湯だけで、コップが並べられており、のどが渇けばそれで飲む。
監督にはささやかな特権があった。
協賛の缶コーヒー会社が缶コーヒーを20箱ほど、
撮影チームに提供してくれたのである。
これは監督用と言ってよく、朱延平は毎日水代わりに飲んでいた。

金城武が朱延平の椅子の脇に来てしゃがむと、言った。
「社長さん、コーヒーご馳走してくださいよ」
朱延平は喜んだ。この子にこんなユーモアがあったなんて。
(訳注:これがなぜユーモアかと言うと、社長さん、仕事を下さい、という意味で、
ご飯をご馳走してください、という言い方があるのですが、
武はこれをもじって監督にコーヒーをご馳走してください、
と言ったというわけなんです)


「いいよ、ひと缶ご馳走しよう、どうだい?」
缶コーヒーは20台湾元で安い。
「20元の問題じゃない、気持ちの問題だ。
後になって、彼は台湾に戻ってくるたび、
私に2万元の鉄板焼きをごちそうしてくれた。
私の投資は大変価値があったと言うわけだ。
20元のコーヒーが2万元の鉄板焼きに変わったのだからな」
と朱延平は笑う。

金城武が冗談を言う範囲は、親しい人間に限られているが、
彼と親しくなるのは生易しいことではない。
ヒロインとして金城武と恋人同士を演じたことのある葉全真は
「ほんとに変な人だった。何を考えているのかわからないので、
私もあまり近づかなかった」と話している。

撮影チームの中で、彼のことを面白いと思っていたのは、
朱延平の他は、おそらく5歳のハオ・シャオウェンだったろう。
2人はいつも一緒に蟻を捕まえたり、ままごとをしたりして、
1時間も2時間も遊んだ。

ずっと後、「LOVERS」の撮影現場で、記録映画の監督が
同じような情景をカメラに収めている。
金城武は赤褐色の小さな蛙を見つけると、興奮して掌にのせたり、
小さなカメラ、あるいはビデオカメラを構えて森の中の小動物を、
しゃがみこんで、あるいは高みに向けて撮ったりしている。
このとき、5歳の子は一緒ではなかった。

朱延平はだんだんと、お笑い担当の役を金城武に振るようになった。
「危険な天使たち」で、金城は人のまねをして粋がり、女性に無視され、
隣のニッキー・ウーはいつでも大もてだ。
後に、これは当時金城武の地位が低かったことを表していると、
分析した者がいる。
しかし朱延平の考えでは、コメディにあっては、
おかしいことこそが何よりも重要なのである。

上映当時、金城武は何度も見に行っている、それも友人たちを連れて。
見終わった後、朱延平に、本当におかしかったと電話をかけた。
「自分のコメディの演技に満足していたね」と朱延平は言う。
「私も大したものだよ、彼の喜劇の天分を最初に見出したんだからな」

後に、ウォン・カーウァイは「天使の涙」を撮ったとき、こう語った。
「金城武には特質があって、喜劇のリズム感がいい。
だから、わざと難題を与えて、口のきけない役を与え、
仕草だけで表現するようにさせたのだ」

自分のかたわらにしゃがみこんでコーヒーをおねだりした少年が、
成長して光り輝くような美しさになるとは、朱延平は思ってもみなかった。
朱延平がそれに気づいたとき、金城武は既にアジア全体の人気者になっていた。
「正直に言うと、彼が後にこんなにかっこよくなるとは思わなかった。
少年から男に成長した。本当に驚いたよ」
(続く)


   BBS   ネタバレDiary 22:00


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