★恩田陸。 『黒と茶の幻想』

いやあ、最近分厚い本づいている。
前回は「あかんべえ」だったし・・・・・
だいたい分厚いというだけで敬遠してしまうというワガママな
読者なのだ。活字中毒とはおこがましくて言えない。

4人の友人が、久しぶりに再会して旧交を温める?旅をする。
わかるのだ、彼らが「なんで今まで忘れてたんだろう?」という
気持ちは・・・・・なぜなら、同年代なのだ。
過去はきっと、自分の都合のよいように改ざんされて、表面上の
記憶としてじりじりと蓄積して行くのである。
彼らはたぶん、恩田さんと同い年でもある。
きっとこんな風に過去を思い、たわいのないことを考え、緑の
森に圧倒されながら彼女も旅をしたに違いない。
読んでいて感じるこの安心感はジェネレーションギャップのなさか。
それとも、作中の時間の流れのゆるやかさか。

ミステリ、ではないのかもしれない。でも、随所に飛び出す
謎解きごっこは、なんだか楽しく、うらやましい。
それに覆い隠されていた「楽しくない」謎も明らかになっていくが
すでにもう過去は取り戻せない。
それぞれが、それぞれの心の森の部分を感じながら、旅は終わる。

うーん・・・・あのころの誰かと旅がしたくなったぞ!
2002年08月01日(木)
By ちゃいむ

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