バイト先の店長の歩き方はチャップリンに似てる、と思う。 膝を曲げ気味で、てくてく歩く。 店長は厳しいけれど、とてもいいひとです。 バイト先のひと、みんな好き。 高校生の時に一番続いたバイトと、そんな雰囲気が似てた。
手の甲の傷は三日で殆ど治った。 血。 堪らない。 あたしは吸血鬼かしら。 血、あまい。 あかい。 裂ける皮膚。 ぴりぴりぴり、とヒビ入る。 そんな魅力的な自傷を繰り返した。
ひとの弱さが目に余る。 だれかさんは棚上げ。
おととしの夏が恋しい。 母さんの車で、少し遠い病院へ連れていって欲しい。 病院が終わったらファミレスに寄って、御飯を食べて。 お買い物をして、夕方、お家へ帰る。 車の窓を開けて、あの曲を聴いて、また。 あのカセットテープはまだ母さんの車の中にある。 お母さん、きらい。 大きらい。 全部いや。 あたしもいや。
あぁ、いやだ。
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