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木と土。 - 2003年08月06日(水) あたしはこの日、家に帰れなかった。帰らなかったのかもしれない。 あの映画ではないが、まだ選択すらしていないのか、それとも、すでに選択していて、その理由を自分でわかっていないのか。まあ、それはいい。 あたしに対するなっつの態度が、ここ一ヶ月くらいで徐々に変化してきていることには、気づいていた。 7月17日に敢えてなっつのことを書いたのは、彼の変化がまだあたしにとって不鮮明だったから、自分がふっと弱くなったときに、頼ってしまわないように、だった。それはなっつが、あたしのことで苦しまなくていいようにということ。 でも、この日の夜、用事があって久しぶりになっつの家に行って、バッグを肩にかけて「帰るね」と言ったあたしに、頼ったのはなっつだった。 あの出来事の後、あたしは、なっつがあたしにどんな態度で接しようと、彼をずっと見ていようと決めたし、彼にとっていちばんいいように動こうと決めた。 だから、この日あたしに頼ったなっつに対して、あたしは彼が望む行動を取ったが、それは正しいことだったのか……。3年前の自分の姿が、なっつに見えたのは本当だ。 もし、なっつがあのときのあたしと同じ状態だとしたら、本当に彼のためになることは、一時の安らぎを与えてあげることではあっても、その安らぎを継続させることではない。続ければ、堕ちていく。でも本当はその安らぎの継続を求めていて、だから一時の安らぎを得ることもできない。 そんなことは、3年前、あたしと一緒に暮らしていたなっつ本人が、いちばんよくわかっていると思っていたのだけれど。 なっつがあたしの思うとおりの状態だとしたら、落ち着けるのは、お互いに、相手を必要としていると確信できるときだけのはずだ。そしてそう確信するには、相手、つまりあたしも、同じように―相手を見ながら自分を見るように―なっつを欲していなければならないはずだ。(本当はこんなことでは落ち着けないのだが。)しかしあたしは、今そんなふうにはなっつを求めていない自信がある。だから彼を満たしてあげることはできない。 以前、占い師さんに言われたことが頭をよぎった。 「あなたは、彼がいないとやっていけないと思っているかもしれないけど、本当は、彼のほうが、あなたがいないとやっていけないのよ。木は土がないと育たないでしょう、そういうことよ」 しかし土が悪ければ、木は大きくなれない。 彼のためにしてあげられることには、いったい何があるのだろう。 -
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