2002年03月22日(金) |
小林信彦「物情騒然!」(文藝春秋)がやっと出る。 |
小林信彦「物情騒然!」(文藝春秋)がやっと出る。 今日、「本の話」4月号届き、小林信彦の新刊エッセイ集の情報あり。14日発売。すでに書店にありや。また、文春文庫新刊にも「人生は五十一から」が入ったとのこと。 久々の登場で非常にうれしい。 近所の書店ではなかなか買えないのが気が懸かりだ。
トム・クランシー、スティーヴ・ピチェニック「ネット・フォース」をほんちょっと読んでみた。すぐにネット・フォースの司令官が謀殺されるというめまぐるしい展開にちょっと驚く。時刻が遅くなっても彼の顔を見たがる妻と犬のもとへ行く途中を襲われ、相手の一人を返り討ちにした直後に殺されてしまうのだ。せっかく「犬」が出てくるとこちらも喜んだ矢先のことだった。
2002年03月21日(木) |
丸谷才一「女ざかり」(文春文庫1996.4.10)をほんの少し。 |
丸谷才一「女ざかり」(文春文庫1996.4.10)をほんの少し。 この著者の長年のファンのはずが、小説類は意外に読んでいないの気がつく。軽めのエッセイもそれほどでもない。「梨のつぶて」に始まる一連の書評集が大好きだったのである。多少背伸びして高尚な評論を読んだ気にさせてくれるのが良かった。まだ、それほど多くの人に知られているようでもないのも魅力だった。本を選ぶ時や読む時の基点だった。小説については長編は一つも最後まで読み通しているものはないし、中・短篇もいくつか読んだにすぎない。 長編は冒頭に触れ、うまい書き出しだと感服するのが常だから、最後まで読み続けてもよさそうなものなのに、そうならない。うますぎるのが原因で、そこに何かあるのである。中・短篇の場合はもっと顕著で文章がすばらしすぎるところに理由がありそうだ。感心するのみ。 悪い印象は全くない。見事という印象が残っている。 この「女ざかり」も40ページまでしか読んでいないが十分に面白い軽い読み物風のものになっている。著者の蘊蓄と主人公の一人である記事の書けない論説委員浦野重三のおかしさ。 大新聞社の論説委員の一人である女性が主人公という設定も興味津々。
2002年03月20日(水) |
平岩弓枝「妖怪」(文春文庫)を少し。 |
平岩弓枝「妖怪」(文春文庫)を少し。 昔、かみそり半蔵という与力を主人公にした漫画を読んでいた影響からか、その半蔵の巨大な敵として物凄い形相で描かれていた「妖怪」南町奉行の鳥居甲斐守は強烈に印象に残り、気になる人物だった。とても実在の人物とは思えないほど「妖怪」的だったが。 その「妖怪」が主人公なので、興味津々で手にとった本である。著者については正直あまり関心はなかった。しかし、ちょっと読んで、失礼な言い方ながら手練れの作家であることがわかる。 冒頭の水野忠邦の屋敷前に群衆が押し寄せているところに甲斐守が登場する動の場面も、次の甲斐守が一人沈思する場面も、熟練の文章で見事である。 時代活劇小説でないのは明らかで、「妖怪」の人間像に迫る渋い小説のようである。 少し前に佐伯氏が「妖怪狩り」と題する新作を出しているので近いうちに読むつもりでいたが、その前に読んでしまいたいものだ。
2002年03月19日(火) |
夕刊フジ特別取材班『こんな人が「解雇」になる−リストラされた78人の教訓』(角川書店2001.2.10)を少し読む。 |
夕刊フジ特別取材班『こんな人が「解雇」になる−リストラされた78人の教訓』(角川書店2001.2.10)を少し読む。 進んで読みたいテーマの本ではない。読んでおかないといけないかな、とか人ごとではないなとか思いながら手にとった。 夕刊フジの600回に迫る長期連載「同時進行ルポ 大リストラ時代を生きる」から78人分を選び出し世代別に構成し直して作った本である。 読んだのは、20代から30代前半までの生の声を集めた「不安と心の痛手が襲いかかる」の章の10人分。 「結婚式の翌日に会社が倒産」「体をこわしても辞めるに辞められず」一昔前ならこんな話を聞いたら怒り心頭に発したことだろうが、今はこういう恐ろしい事態も常識化して当たり前のことになっている。 前任者とイメージの異なる首相にその都度「世直し」を期待して裏切られ続けて何十年という国民性にはやはりどんなひどいことでもすぐに慣れてしまう傾向が含まれている。 こういう本を読んで怒りを口にしながらも同時に自分はまだましと思い込まされるいう具合にひそかに教育されているのかもしれない。
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