読書日記

2002年05月01日(水) 佐伯泰英「凶刃(密命・一期一殺)」(祥伝社文庫2002.2.20)を読了。

佐伯泰英「凶刃(密命・一期一殺)」(祥伝社文庫2002.2.20)を読了。
「密命」シリーズ第6作。藩主を襲う危機に中年剣士の金杉惣三郎がまたまた立ち上がる。寒月霞斬りの剣が縦横無尽に振るわれる。サブタイトルの一期一殺とはその寒月霞斬りを破るために敵方が編み出した剣法の名前である。
この物語でも敵方の剣豪は凄味があり存在感があり、みな次々に主人公の金杉惣三郎に敗北していくのがもったいないくらいである。
古着屋総兵衛シリーズでもそうであるとおり、この物語でも主人公に関わっている人物達が一人一人生き生きと描かれていて、剣戟場面がなくても緊張感を持って読み続ける事ができる。話の面白さだけでない魅力があふれている。だから再読に耐えると思われる。



2002年04月30日(火) 佐伯泰英「妖怪狩り(夏目影二郎始末旅)」(光文社時代小説文庫2001.11.20)を39ページまで。

佐伯泰英「妖怪狩り(夏目影二郎始末旅)」(光文社時代小説文庫2001.11.20)を39ページまで。
シリーズ第4作。題名をよく見るとホラー小説と受け取る向きもありそうなことに気がつくが時代劇を読む人でそう思う人は結局いないだろうという題名である。
主人公もすっかり板について安定度が高く、「万一の時、鳥居を切れ」という父親の指令をなんの疑いもなく受け入れる。
冒頭はかつてあった無頼の雰囲気のかけらもない正調時代小説といった趣で始まる。
文庫の尻尾の方に文庫目録があって他の時代小説作家の名前と作品名が並んでいる。そのすべてがこの佐伯泰英氏の作品のように画期的に面白いのだろうか。
隆慶一郎氏の2作品はもちろん知っている。
それ以外のものは実際のところどうなのだろうか。
古着屋総兵衛、密命、狩りシリーズといままた続けざまに読んでいるがこのハイレベルの面白さはどこから来るのだろうか。
逆に例えばその才能を大長編一本に絞ったならば、どんなすばらしい作品が生み出されるのだろうかともったいなく思う気持ちもある。



2002年04月29日(月) 藤田紘一郎「笑うカイチュウ(寄生虫博士奮闘記)」(講談社文庫1999・3・15)を拾い読み。

藤田紘一郎「笑うカイチュウ(寄生虫博士奮闘記)」(講談社文庫1999・3・15)を拾い読み。
一時期ベスト・セラーの一角を占めた上に今でもよく読まれ続けている評判のよい本らしいので、どうするかと迷った。しかし、清潔至上主義の現代日本社会に痛打を与える画期的エッセイという好印象から読むことを決意した。
決意したといってもいつもの拾い読みに変わりはない。
「はじめに」を読み、次に第三章のペットを話題にしている部分をほぼ読んだ。
犬が話題に上ると興味が倍加するのは、小さな犬という意味の名前がついた犬を飼っているせいだろうか。
文章が読みやすく、主旨も明快で文句なし。
ちょっと元気の出る文章でもある。



2002年04月28日(日) 平井呈一「真夜中の檻」(創元推理文庫2000.9.14)をほんの少しだけ。

平井呈一「真夜中の檻」(創元推理文庫2000.9.14)をほんの少しだけ。
目次を見るだけでもう満足。そういう本である。
序 平亭先生の思いで 荒俣宏
真夜中の檻
エイプリル・フール
海外怪談散歩
西欧の幽霊
私の履歴書
解説 紀田順一郎
Lonely Watersー平井呈一とその時代 東雅夫
平井呈一著訳書一覧
解題
付・『真夜中の檻』序跋
序 江戸川乱歩
跋 中島河太郎
まず荒俣宏の序文を読み、楽しんだ。自分の著作でも書いているせいか5ページと短い。改めて10ページはほしかった。
平井呈一氏個人全訳のアーサー・マッケン集成を古本屋で買おうとしてお茶の水駅から道を下って行った日のことをふと思い出した。
荒俣宏の文章には過去喚起力がある。


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