2002年06月14日(金) |
楠木誠一郎『「高野聖」殺人事件』(中央公論社C★NOVELS2000/09/25)を読む。 |
楠木誠一郎『「高野聖」殺人事件』(中央公論社C★NOVELS2000/09/25)を読む。 明治43年6月の怪しい物語は小説家の泉鏡花が主人公。相棒は編集者の碓井鯛之介と拾われた子犬。 事件は美女連続神隠し。美女を見かけたという話で二人と一匹が出かけて行ったのは鏡花家の近所にある蓮花寺。 大まじめな重くかつおどろおどろしい話と思いきや、副題に「潔癖症探偵泉鏡花」とある通りギャグ満載の掛け合い漫才探偵物だった。 要所要所で鏡花の潔癖症が爆発して笑わせる。 カバーのイラストが藤原ヨウコウでいわゆる鏡花好みの雰囲気を表現しているが、内容にあっていない。いや、一面では合致しているが、購入意欲を一般的にはそそらない。どちらかといえばコミック的な主人公なのだから、逆に明るい方がいい。 ついでに文庫にしてしまえばもっと読まれるはず。
サッカー、日本がチュニジアに勝ちました。 中田英寿選手、祝ヘディングによるゴール。よかった。
2002年06月13日(木) |
佐伯泰英『朱印!(古着屋総兵衛影始末6)』(徳間文庫2002/06/15)を読んだ。 |
佐伯泰英『朱印!(古着屋総兵衛影始末6)』(徳間文庫2002/06/15)を読んだ。 甲斐武田の武川衆の復活とともに大老柳沢吉保が密かに画策したのは徳川時代を大きく揺るがすものだった。 宿敵の吉保の陰謀を未然に防ぐ総兵衛たちの活躍は毎度のパターンだが、敵味方双方に個性的な人物を配し、その人物たちの妙な魅力によって物語に膨らみや感動がもたらされるところは毎回パワーアップしている。 物語の時代は1705年前後である。 別のシリーズの夏目影二郎の時代までまだ100年以上はある。
2002年06月12日(水) |
赤瀬川原平『我輩は病気である』(マキノ出版2000/04/07)を結局読了する。 |
赤瀬川原平『我輩は病気である』(マキノ出版2000/04/07)を結局読了する。 その後、あらためて読み出したら全35編の病気エッセイ集、結局一気に読み終えてしまった。誰にでも書けそうな話題なのになめらかな名調子が退屈を許さない。 寝る前に読めるぞと何かの悪魔に囁かれるようにしてあとがきまでたどりついていた。 だいぶまえの『新解さんの謎』(文藝春秋)もそうだったが、なぜか最後までよんでしまう魔力のようなものがある。
2002年06月11日(火) |
赤瀬川原平『我輩は病気である』(マキノ出版)を30ページまで読んでみた。 |
赤瀬川原平『我輩は病気である』(マキノ出版)を30ページまで読んでみた。 軽快な文章表現につられて気がついたらエッセイをもう四篇読んでいた。他愛ないと言えば他愛ないが、病気の話を妙に明るくかつスマートに語ってくれるので、引きずられてどこまでも読んでいくしかない。 「あんまり欲張っても駄目なのだ。百パーセントの健康なんて現実にはないもので、たしかに一つ自分の持病みたいなものを持っていると、体の暴走にブレーキが効く、ということはある。」(14ページ) ほどほどに文末に「のだ。」が入って文章のリズムを生み出している。 名文家の一人ではないか。 この人が病気を話題にしているということは現代の日本は「病気」なのだ。
マキノ出版の名前は初めて見た。このエッセイを連載していた健康雑誌『壮快』の発行元なのだろうか。
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