当世高校教師気質
一生勉強 一生青春

2001年08月21日(火) 古典文法

古典文法を暗記科目としか思っていない人はちょっと損をしていると思う。

この場合、私は決して暗記科目ではないと言いたいわけではない。
ただ、暗記の仕方にも工夫が必要だと言いたいだけなのだ。

たとえば、「む/らむ/けむ」を軸に助動詞を考える。

推量の助動詞「む」はまだ起こっていないことを推量する助動詞。
よって、「未だ然らず(まだ起こっていない)」の未然形に接続する。
この他にも、まだ起こってないことを否定する打消の助動詞「ず」、
まだ起こってないことを他人にさせる使役の助動詞「す/さす」、
まだ起こってないことを他人にされる受身の助動詞「る/らる」も同じく未然形接続の助動詞だ。

現在推量の助動詞「らむ」は今起こっていることを推量する助動詞。
よって、基本形と同じ形を持つ終止形に接続する。
さらに現在起こっていることを根拠に推定する推定の助動詞「らし」、
目の前にあるものを婉曲に表現する推量の助動詞「めり」も終止形接続。

過去推量の助動詞「けむ」はすでに起こってしまったことを推量する助動詞。
この場合は、連用形に接続する。
連用形接続の助動詞は過去の助動詞「き/けり」、完了の助動詞「つ/ぬ/たり/なり」など
すでに動作が終ってしまったことを意味するものが多いからだ。

以上のように、どの活用形に接続するかによって助動詞の意味グループができる。
勿論例外もある、うまく説明できないものもでてくる。
しかし筋が一本通れば、後はその都度覚えればよいだけの話なのだ。

こうしてみれば、やみくもに暗記するしか術がないと思われがちな文法も、
実はある程度整った法則に従って構成されているものであることに気付くのではないか。

*************************************

・・・などと、偉そうに語ってはみたものの、実は高校時代の恩師の受け売りだったりする。
当時の私にとって、この考え方は斬新かつ衝撃的だった。
少しだけ理想の国語の授業が見えたような気がした。

塾の講師も残り3回、少しでも彼等にこの発想を伝えることができればと思う。


ちょっと耳に痛い話になってしまったけれど、参考になる人には参考になると信じて・・・


 前世  人生  来世


葉明 [MAIL] [当世高校教師気質Ⅱ]

My追加