メロディの無い詩集 by MeLONSWiNG
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8月のサンタクロース |
2003年08月03日(日) |
梅雨明けの空 太陽の忘れ物 熱帯夜が喉を乾かす 冷蔵庫の唸りの隣に おかしな人影一つ
泥棒だと思って身構えりゃ 季節はずれの訪問者 何でこんなところに? ミスター・サンタクロース 僕に会いに来た
遠く離れた街まで 風を切って夜間飛行 シーズンオフのトナカイは ソフトクリームで上機嫌
どこに連れて行く気なのさ ただのヒマ潰しだって? おせっかいおじさん いくらオフだからって 僕には僕の生活がある
子どもが夢を無くした事 嘆いてる生きた神話 たぶん明日誰かに言っても 誰も信じてくれない 哀しい世の中になったと あんたが嘆いてどーする ミスター・サンタクロース ディズニーランドでも行く気かい?
くどくどと繰り返す 年寄りの小言には勝てないね ネオンを飛び越え空を駆け 懐かしい街までひとっ飛び 忘れてた友達と 意識から消えてた思い出 そういえば何年も帰ってない
星降る夜のクルージング ビールを片手に急降下 ちょっと背中がゾクゾクしたけど 慣れれば結構爽快かも
思い出した あの時に ガールフレンドと夜明け前 こっそり企んだランデブー お家の近くで車を止めて 息を潜めて時計を見てて やってきたのは彼女のパパ
それから恋を繰り返し 僕は何かを無くしていった
大切な日々を 引き出しにしまったままで 夏が来るたび思い出す約束も いつしかすっかり 遠い記憶
ミスター・サンタクロース あそこの窓の前でちょっとソリを止めてよ あの子は元気かな ちょっと見るだけだからさ
あれからもう何年経ったと思う? もう大きな子供がいる歳だろう
自転車に乗った警察官 空を見上げて僕らを見てる 石になったまま目を丸くしてる 幻だよ 幻 誰も信じちゃくれないって
夏のカーテン風に揺れて 部屋の中には誰もいない
ミスター・サンタクロース センチメンタルに浸るのはもういいや 何だか楽しくなってきたぞ 海に行こう 思い出の海に
コンビニでビールを仕入れて トナカイにはイチゴアイス ほうら ご褒美だ
店員さん 気にしないで ただの仮装大会だから
夜明けまで空を飛ぶ 真夏の夢 涼しい海風の匂い 身体に絡みつく
ミスター・サンタクロース ご機嫌なじいさん 今年の夏は暑くなるそうだよ 冬までどこにいるのかな
空を駈ける 夏の風と共に 踊るように過ごした あの頃の日々 プレゼントは 永遠の笑顔 無邪気だったあの 僕の未来は こんな大人になってしまってた
<トナカイの ギターソロ>
目が覚めた ベッドの上 長い長い夢を見た 長い夏のはじまり 8月の暑い太陽
目が覚めた ベッドの上 パジャマから潮風の匂い 手のひらから イチゴアイスの香り
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