samsara―輪廻 |
生あるものが死後、 迷いの世界である三界〔欲界・色界・無色界〕・ 六道〔地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天〕を 次の世に向けて生と死とを繰り返すこと。
あたしが生まれた時には、母方の祖父は居なかった。 物心がついてから、 本家(祖母の家)にある仏壇に立てかけられた写真で 祖父の顔を知った。 とても優しい顔をした人。 話に聞いていた 「怒ると、代々受け継がれた日本刀を振り回す人」 とは、とても思えなかった。 この人の、声や話し方、仕草など、あたしは知らない。 12人いる孫の中で、 あたしだけ同じ時間を共有できなかった。
追いたい気持ちを抑えつけ、18年後、 祖母は逝った。 祖母を送るさい、たくさん笑った親族。 第三者から見たら、失礼極まりない家族と思われるだろう。
笑った理由は、お坊さんの読経の癖のせい・・・ に加え、母の腹の虫のせいだったけど、 仲の良すぎた親族には、この上ない最高の葬送だったと 皆が思った。 そして、ばぁちゃんも腹を抱えて笑っていると 皆が思った。
9年後の今、また輪廻は起こる。 伯父の葬儀は、アノお坊さんのご自坊。 真言宗智山派唐津山吉祥院。(東京都多摩市豊ヶ丘1-51-2) 都天然記念物・枝垂桜の植わる境内に建てられたホールで行われた。 田舎町にはありがち、アノお坊さん・・・ご住職は故伯父の同級生。 諸事情で来れないイトコ(故伯父の姪・甥)2人を除いて、 全ての親類が参列。 ご住職の読経が始まっても、笑いは起きず。 通夜は滞りなく済んだ。
翌日6月13日、告別式。 昨日参列したイトコや、その子供達は来なかったが、 昨夜来れなかったイトコ(あたしの6歳上♀)が参列し、あたしの横に座る。 ご住職は、昨夜と違う般若心経を読経する。 即座に、隣のイトコの肩が震え出す。 見て見ぬふり。 コッチも必死デs。 1人では堪えられなくなったイトコが肘であたしを突いてくる。 ・・・モームリデs(*゚×゚)ん゙っ なんとしてでも堪えなくてはならない状況に背中を押され、 空中伝染するかの如く、ものすごい速度で笑いは移る。 イトコの隣に座っている、叔母たち(故伯父の妹)。 そして、あたし達の前列に座っている、伯母たち(故伯父の妹や兄)。 もう心の中で 「伯父さんゴメン。こんなつもりじゃ(ノд`)・・・Tちゃんがいけないの」 と責任をイトコに擦り付けつつ平謝り。 そんな親族の胸中も知らず、 心を込め、読経を続けるご住職。 「かんじざいぼさっゔぅんっぎょうじんはんにゃはらみったじげぇっほ ごほっしょうけんごうんかいくぅゔぅんっ」
親戚一同・・・・・・死 すでに亡くなっている祖父母を筆頭に、子・孫まで、 ひっくるめて仲が良いため、 誰が隣に座ろうと、結果は同じ。
そして長かったようで短い読経が終わり、 伯父の眠る棺に花を飾る。 口の半分開いた伯父の顔を・・・ 全身に管を通した痕を残す伯父を・・・ 目にするのは最期と分かっていても、 透明な膜に遮られ、滲んで見えなかった。 斎場へ向かうバスの中、 親族は誰も口を開かなかった。 近所に住む方々の声がやけに響いた。
最期に、 本当の最後に、棺に取り付けられた扉から、 伯父を目にすることができたが、 あたしは、できなかった。 「お別れです」 淡々とした口調で告げる斎場の人の声とともに 重い鉄扉は下りた。
場所を移し、軽い食事をしながら待つ。 お酒も用意され、少し現実から離れる。
1時間ほど経つと、みんな足も崩し、だいぶ砕ける。 「あ〜酔っ払っちゃったわぁ。ちゃんと骨拾えるかしら」 そう言って、近くにあったお新香で練習を始める伯母。 もう大爆笑(ノд`) 実兄の葬儀の場とは思えない。 他人ならそう思うだろう。 基本的に、うちの親族を一言で言うとバカなのである。 世間的に失礼な行動をとるバカなのではなく・・・ 泣いて泣いて哀しんで送るんじゃなくて、明るく笑って送ろう、 そう発想する人間が多いのだと思う。 あたし自身、こんな葬儀であってほしい、そう願っている人間の1人。
1時間半ほど経って、館内に放送が入る。 真っ白になった伯父を見て、イトコの子供(故伯父の孫)は、 泣いてしまった。 69という齢のせいなのか、血筋なのか・・・歯がしっかり残っていた。 (母方の親族には、ばぁちゃん筆頭に差し歯・入れ歯の人間が1人も居ない) 小さな壷に納められて、奥さんに抱かれ、お寺へ戻る。 初七日のお経をするという。 列席し、読経が始まる。
しばらくすると、 前列に座った(さっきお新香で練習してた)伯母が舟を漕ぎ出す。 ミ(ノ;_ _)ノ =3 ズサー!! その隣に座る伯母は、下を向いて目を閉じたまま微動だにしない。 お焼香を済ませ、お経も滞りなく?終わり、ホールに戻ってお食事。 最後は、二日間参列して下さった隣組(ご近所の方々)や 会社の社員たち、そして同級生のご住職を上座に迎え、 親戚一同は末席に座る。 あたしの向かいには親戚代表の伯父(故伯父の実兄)が、 (・∀・)ニヤニヤしながら座った。 献杯をし、食事が始まると、伯父は、 カニの足をパックリ開き、ニヤニヤしながらあたしに差し出す。 あたしはもう二十歳もソコソコ超えすぎて1人で食事をできるわけだが・・・。 伯父はあたしに食わせたくてショーガナイラシイ。 そんな食欲旺盛に見えるのか(_≧Д≦)ノ彡☆ バンバンッ この伯父は、あたしに食物を与えるのが好きらしく・・・?
あたし自身記憶が無いので、母に聞いた話だが・・・。 幼少の頃だとは思うが、母子で本家(祖母・伯父の家)に遊びに行った時、 あたしだけ残して母は先に帰った。 母が帰ったあと、伯父はあたしにビールを与えたらしい。 1人で帰れないあたしを伯父はうちまで送ってくれたらしいが、 届いた娘(あたし)は、 顔を真っ赤にして 「ママ、何も言わないで。おかしいから(≧∇≦)ブハハハハ」 と言って、ゲラゲラ笑い転げていたらしい。
さすがに今日は運転するかもしれなかったので、ビールは飲まなかったが・・・。 「メロン食わねぇのか?美人になれねぇぞ」とか。 もうね、あたしにボケ期待されても(*´ー`)-з
んなバカしてたら、 上座の方々がお焼香をし、席を立ち始めた。 慌ててお礼をし、あたし達母子もお焼香をし、帰りますた。
日頃、どんなボケをかましてても、 みんながみんなを想っているのは同じで、 お盆や彼岸、お墓参りの時期には、 祖父母たちが眠るお墓は、生ける場所が無いほどの花が飾られる。 朝、普通に10時頃お墓に行っても、 既に、花を生ける場所は残っていない。 そして、示し合わせたわけでもないのに、 境内で伯母伯父、イトコ達に会う。 そんなみんなが大好きだ(*´ェ`*)ポッ この親族に生まれた事、誇りに思ってます(*´∀`)ニタァー
ダカラ、誰カ一人デモ欠ケルト痛恨ノ極ミ、ナノデス。 デモ、誰モ声ニ出シテ、言イマセン。
なんか母方親戚のアホ話になっちゃったな(;´д`)ハァハァ
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2005年06月13日(月)
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