気まぐれ日記
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2004年10月31日(日) |
十月も終わりで日曜日 |
てなわけで、雑談です。
だらだら書いてる「ウォンテッダー」も……なんだ、進んでないじゃん。そんでも一ヶ月以上も書いていたんだね。この調子で行けば年越すね。でも来年は喪中だから年賀状書かなくていいんだ。(喪中はがきださねば)
うちの母が、五千円のランチバイキングへ無理やり行かされた。ものすごく損した気分。前菜のスパゲッティもしょっぱくてくわれねかったという。 しかも、平日が2980円というのも腹が立って仕方がない。大人の付き合いとは、試練らしい。
「サモンナイト」の攻略本が見つからず、大きなゲオに行ったら売っていた。(新品)だから、買った。おかげで、アイテムで何を償還したら良いかわかったし、各ステージでどうすればよいかわかった。ゲームの進みもよくなった。(だから、攻略本だろーが……一人ツッコミ)
「リュレイミアの章」では、パラレルワールドなんで本当は全く同じにしようかとも考えたけど、一部何かが違うってことで書いてみた。「浪費家のアニム」とか「けち臭いバルク」とか「姉御肌のブロード」とか……。 ちなみにアニムやブロードの語り口調が同じなのは、書いているとややこしくなるからそのままにした。
今朝、仕事行く前に「レジェンズ」見てました。飛び飛びで見ているので先週見てなかったけど、どうやらシュウたちが「レジェンズクラブ」なるものを作ったらしい。んで、なにを表しているのか良く分からない(クレープ?)「旗」を掲げてよく分からない歌を歌っているのを見て、「すごいよ! マサルさん」を思い出した。 あまつさえ、ついこないだまで大騒ぎしていたグリフィンを「給食委員(?そんな感じ)」と呼んでしまう主人公に何か「摩訶不思議な力」を感じます。 先週一体何があったのか、気になります。(秘書さんの予告では想像できません)
2004年10月30日(土) |
スーパーマーケット魚● |
地元のスーパーが近所に開店。明日まで大売出し。そんためフライドチキンも50円で売っていたため、餓えていた妹が購入。 その地元スーパーなんですが、チェーン店がすぐ近くにもある。どう考えても無計画っぽく感じる。(更に新装開店なども行っている)もしかして、地元スーパーの独占計画を企てているかもしれない。(おいおい)
ルイは結界を見て、確信した。これは自分で張った結界だ、そしてこの世界の自分が張ったのだ、と。彼女は、時空をゆがめたりすることが得意だった。 「これなら、破ることが出来る」 自分で張ったものと同じであれば、可能である。彼女はいつものようにその結界を解いた。 「これでいいはずよ」 「ルイ……」 アニムが何かを言いかけた。 「うん、そうよ。この世界の私が作ったものよ」 「そうか……。わかっちまったか」 と、バルク。彼も最初からわかっていた。ルイと会ったときから。あえて言わなかったのは、彼女のためだと勝手に思っていたからだ。 「でも、私は自分と戦うわ。だって、世界が違えど私は二人のことが好きだもの」 夜が迫ってきたころ町が見え、明かりがついているうちに町に辿り着くことが出来た。早速一番安い宿を探してそこに落ち着く。宿が決まってから情報収集のためにウォンテッダーたちが集まる酒場に行き、ついでに夕食も食べることにする。これも変わらない一日だ。 「ねえ、聞いて」 「ん?」 バルクが注文した酒に手をかけようとした時、ルイは話しかけた。アニムもルイの方を見る。 「私が相手ということは、私が一番弱点を知っているわ。だから……」 「ルイに任せる、だな」 「うん、私に任せて欲しいの」 「大丈夫か?」 「うん、大丈夫よ。性別と性格が少し違うけれど、あまり変わらない世界みたいだから」 「しかし、リュレイミアに限っては違うかもしれんし……」 「性格が少し違うからといってもな……」 「でも、弱点は多分同じよ……」 「まあ、さっきの結界を破ることができるのだから、彼女に任せてはどうだ、バルク」 「まあ、いざとなったら俺がやるからな」 こうして、三人の対策は決まった。酒場で耳を澄ますと、悪魔リュレイミアのことについての話はあるが、どれもあいまいだった。「~しているから、賞金が上がった」「魔族とも手を組んでいるらしい」「どこかの領主を殺したようだ」など、確定のないことばかりだ。アニムは「その領主なら生きている」などと二人に教えていた。だから、三人は食べ終えるとさっさと宿に戻った。
明日はいくら丼~、農協(漁協?)からいただいた鮭はメスだったんでいくら丼~感謝感激いくら丼~うまいぞいくら丼~……。 (ああ、馬鹿みたいだ……。自分、ものすごい詩は下手だな、と再認識)
「さて、出発するか!」 バルクは意気揚々だ。機嫌もいい。何せ昨夜は満足に飲んで、満足に眠ったのだ。朝食がなくとも機嫌は良かった。 「さーて、仕事だ、仕事」 順調に行けば今日中には次の町に着く。ルイは今朝の話のことをぼんやりと考えながら歩いた。あまりにぼんやりしていたので、時折アニムが声をかけた。二人と大きく離れてしまったことが何回かあったのだ。 「大丈夫か?」 バルクも心配なのか声をかける。 「うん、ごめん。ちょっと考え事していたから」 「それならいいんだが……。身体の調子が悪かったら言えよ」 「大丈夫。身体はなんともないわ」 お昼に休憩する。それもルイの世界も同じだった。よっぽど場所や天気が悪いときは昼をずれることがあるが、大体同じような時間に休憩をする。 「ほら、昼飯」 バルクが包みをルイに渡した。 「宿の女将がメイを握ってくれたのだ」 メイはエモクという穀類を炊いたものである。あまり見られないがルイは何度か食べたことがある。アニムが水筒を渡す。 「ありがと」 「お茶も入れてくれたのだ」 天気も良く、気温も暖かい。ルイはこのときは考えるのを忘れた。少し昼寝をしてから再出発する。 しばらく歩いて、アニムが地図を取り出した。 「後、少しのはずだが……おかしいのう」 行く先には、まだ何も見えない。 「まあ、もう少し歩くか」 しかし、いくら歩いても町は見えなかった。やがて、日が沈み始める。 「おかしい。明るいうちには着くはずなのだ」 「ちょっと、待ってね」 ルイが周りを見渡す。その目は、見えない何かを見ようとしていた。 「これは……」 彼らを含めた広範囲に結界が張られ、彼らは同じところを足踏みしていた。ずうっと単調な道だったがために、そのことに気づかなかったのだ。
と、いう図鑑が売っていた。身体の悪い皮膚を食べる魚とか、足が85本あるタコなど説明も面白く紹介されている。新聞でも紹介されていた。機会(と、金)があれば欲しい一冊。 昨日、眠すぎて何を書いたか覚えてません。見返したら大した進んでなかった。 翌朝、起きるとブロードはいなかった。昨夜は閉まるまで飲んでいたので、ブロードは一緒に泊まっていったが、今朝は早く出て行ったのだろう。アニムはすでに起きていて、髪をとかしていた。きちんと素顔を見たのは初めてだ。あまり変わらないがやはり少女だった。 「起きたか、ルイ?」 「うん」 「バルクの奴はまだ寝とるだろう。先に食堂に行こう。朝食は早いうちに終わってしまうからな」 バルクはいびきかいて寝ている。ルイはアニムと朝食を取りに食堂に降りることにした。 席に着くと、ミルクとパンが出された。後にオムレツを作るといって宿屋のおかみが離れていった。 「ねえ、高い賞金がかかった獲物ってどんなやつ?」 「ああ、これだ」 アニムが懐から紙を取り出した。折りたたまれたそれを開くと、似顔絵などはなく、文字のみ。そして、かなりの賞金がかけられている。 『リュレイミア・悪魔族・金500 詳細……』 「……」 「おぬしには黙っておきたかったのだが、バルクはやる気満々だからのう……小生らと旅をすることにはいずれそやつと会うだろう。この世界のお主はウォンテッドの対象なのだよ」 「……いいわ。私には関係ないもの。多分」 ルイはそう思いながらも、この世界の自分のことを思った。一体何故、悪いことをしてウォンテッドされているんだろう。
先日とどいた「ボクと魔王」のサントラ。車の運転中に聞いてます。結構聞き心地がよいです。
女神がどこに連れて行かれたのか、まだわかっていないらしい。この世界では、時間障害を自ら受けて被害を少なくするということはしていない。 「時を犯していいのは奇跡だけだ。本当はそんな時間障害なんか自分から受けるものじゃない」 途中で注文されたものが来たので、皆が食べることに集中した。そして、だいたい食べ終わるころに話を再開する。 「あんたたちは、明日からどうするんだ?」 「この町を出て、違うところに行く。予定では少し大きな町に入ると思うが」 と、アニム。 「なんでも、でかい賞金がかかった奴がいるんだってよ」 「ふうん」 「おめえは?」 「酒場のあれは、俺の手にはおえないからね。一度報告に帰るよ」 「報告?」 ルイは、ブロードに聞き返した。 「ああ、神帝と魔帝にね。まあ、やつらの偵察員だ」 「やっぱり、魔族なんだ」 ブロードがルイを見る。一瞬だったが、自分の知っているブロードがよく見せるつまらなそうな顔をした。 「……そうだよ。男の俺もか?」 「うん」 「……バルク、もう一杯もらうぜ」 「ああ、飲め。おめえはたまに湿っぽくなるのが玉に瑕だ」
2004年10月26日(火) |
職場のパソコンが…… |
やっとこさ入った(給食用)パソコン。施設用ソフトも入ったのだが、通信システム(?)が調子悪いパソだったので修理に。そのため講習も中断。うちの施設は「工事は一度で終わらない」「水難の相がでている」「新しいものはなじまない」ということらしい。(笑)
「よう、バルク」 明るい声が飛び込んできた。金髪の長い髪に青い瞳の女性が食堂に入ってきた。入るなりバルクを見つけて呼んだ。かなりの美人だった。 「げっ! おめえ、また性懲りもなく現れたな」 「あら、ご挨拶だこと。こちらのかわいいお嬢さんは?」 その美人はルイを見て、「悪魔なんだ」ともらす。 「こちらはルイだ。今日から小生らと旅することになった。久しいなブロード、元気そうだな」 「もちろん、この通り元気だ……」 「ブロード?!」 ルイが立ち上がった。まじまじとブロードと呼ばれた女性を見る。 「よくも、まあこんな美人に……」 「ああ? なんだ、嬢ちゃん?」 ルイはため息をついた。とんだ世界だ。これは狂っている。 「ブロードも、男なんだな」 と、バルク。顔がにやけている。 「何それ?」 訳が分からず聞き返すブロード。誰も答える気がないらしい。 「ちなみにご兄弟は?」 「ああ、妹がいたけど?」 「……」 さぞや、この世界の妖精主はイメージがぴったりであろう。なっていればの話だが。 「俺も座っていい?」 「ああ、好きなようにゲソ焼きでも食ってれ」 「なんだよ、俺、腹減ってんだからな」 ブロードはあいているイスに座りメニューをにらんでいる。注文を済ますと、彼女はバルクの飲みかけの酒を奪い取って飲んだ。 「で、おめえは何しにきたんだ?」 酒を取られたことをとがめることなく、バルクはブロードに聞いた。 「ああ、あんたらも見たろ、例の酒場。あそこのことだ」 「見たぜ。あの異様な空間はなんなんだ?」 「時女神が誘拐されたんだってよ」 「何ですって!」 ルイが再び立ち上がった。 「どうした? 嬢ちゃん」 ブロードが驚いてルイを見る。 「この世界の女神もさらわれたの?」 「……時女神は、全ての世界と時に共通だから一人しかいないんだ。嬢ちゃんは、別世界から来たのか。良かったら少し話を聞かせてくれ」 ルイは座りなおして、ブロードに一から話した。まずはこの町の酒場のこと、時間の障害を自ら受けたこと、この世界に自分がいないことも話す。 「俺、男に生まれたかったなあ……」 「真面目に聞いてたのか!」 「とにかく、話は分かった。じゃあ、ルイの世界では魔王が時女神を探しているんだな」 「うん」 「そうか……」 多分、この世界の誰かも時女神を探しているのだろう。そうなれば、別世界や別時間の誰かと鉢合わせする可能性もあるわけだ。 「たぶんもっと、酷い時間障害が起きるかもな」 ブロードはまだ酔ってない。その言葉は真面目そのものだった。
「すべてがFになる」のゲームソフトがブックオフにあったこと。ゲーム化してたんだ……。
ルイは、もしかして、この世界の自分は男であるかもしれないと、少し不安を感じた。それは、それで面白いのかもしれない。 でもほとんど同じなのに、何故自分は二人の元にいないのだろう? 夕食は宿の食堂で食べる。酒場はあの状態なのだから当たり前だろう。食堂はその話題で盛り上がっていた。原因を掴むにつかめない。恐れて誰も近寄らないので、どんな様子なのかも分からない。 「まずは、乾杯だ。ルイの歓迎を祝して」 「乾杯!」 食堂の雰囲気から乾杯というような感じではないので三人は小さくグラスを打ち合った。ルイは、ふと感じた。これ、前にやらなかったっけ? そうだ、この町で、妙な事をやらされていた。何度も馬鹿みたいに乾杯して水をがぶ飲みした。 「ま、好きなものを注文してくれ」 バルクがメニュー表をルイに渡した。 「珍しいこというのう、バルク」 「うるせ。おめえは、ゲソ焼きでも食ってろ」 「何おう、小生は育ち盛りなんだ。もっと栄養のあるものを食う」 「万年成長期のお前が何を言う。後、何年したら成人するんだよ」 「お主は成人通り越して親父のくせに」 「あー、はいはいそこまで。ねえ、バルク、これとこれとこれ、注文していい?」 バルクの顔が少し青ざめたが、首を縦に振った。アニムもさっさと注文してしまう。 「ねえ、イーリスもちゃんといるよね」 「ああ、もちろん。姪のヘネシーと一緒にいる」 「あの姫君はほんっと無口だのう」 「挨拶するとすぐヘネシーの後ろに隠れちまうんだからな」 「あ、女の子なんだ……」 「イーリスもか!?」 「思いつかん……」 どうやら、微妙に何かがずれている。ここはそんな平行世界だった。
今朝(五時前)の気温、二度。にど? 寒くて中番が来るまで締め切ってました。昼ごろは陽気がさしてました。
こうして部屋はカーテンで仕切られた。三つ並んだベッドを二つ目からカーテンをかけた。 「さ、ルイはこっち」 二つベッドがあるほうをアニムは指した。 「あれ?」 「何か?」 「……」 アニムが一緒についてきて二つベッドがある方にいる。 「ルイも旅をしていたら大変だろう。ましてや女の子なら、いろいろいるものがあるだろうに……。バルクはその辺のことを理解しとらんから困る」 「はあ……。あの、アニム? もしかして」 「なんだ? さっきから」 「もしかして、女の子?」 「……」 アニムがぽかんとしている。その表情はフードに隠れているが、手に取るように分かる。 「あの、見た目変わらなかったから、気づかなかった」 「ルイの世界の小生は、男だというのか?」 「そう。だって肌だって浅黒いし、姿格好も同じだから」 バルクが、カーテン越しで爆笑している。 「では、バルクは?」 「バルクは同じ」 「そうか……それはよかった」 よかったとはどういう意味だ、とバルクが聞いてきたが無視。妙な空気が流れた。しばらく沈黙。 「エルフには、間違いないのよね?」 「そうだが……。エルフの男は少ないのではないのか? よく旅などしておるな」 「うん。あなたもね」 「エルフの女など珍しくない」 「でも、その肌は?」 「山岳に住むエルフは皆こんな色をしているのだ。……ともかく、違和感があるのだろうが我慢してくれ」 「そんなの、気にしない気にしない。この世界のアニムもバルクも好きになれそうよ」
ともかく、新潟の地震、ひどいなあ。立て続けに三回もおきただなんて……。猛暑といい、台風といい、今年はいろいろありすぎるよ。
ルイの前にジュースが差し出される。 「さて、お嬢さん。話をしてもらうか」 バルクが言った。彼の前には酒らしい飲み物が置いてある。 「あの、私……」 バルクとアニムはルイの話を黙って聞いていた。彼女が話し終えるまで、目の前の飲み物に手をつけたなかった。 「にわかに信じがたい話だが……」 「何があるか分からぬ世界だから面白い。それに、あの酒場を見たら信じるに値するであろう? ルイと言ったな。お主の世界と同じように小生らと旅をせぬか? 小生らはお主のことは知らんが、お主には小生らの顔の方がなじむのであろう?」 「うん」 「いいのかよ、アニム。旅費とかどうすんだよ」 「お主、そこでケチ言ってどうするのだ? だから女にもてんのだ」 「おめえは浪費家だっつーの。考えなしに買ったもんが次の町にゃ三分の一の値で売るくせによ」 「ともかくだ、ルイはしばらく一緒に旅をする。決まり」 ルイは、違和感を覚えた。微妙に(ところによりものすごく)二人の性格が違うのだ。 「今日はこの町で泊まるつもりだ。小生らは一仕事終えたばかりで疲れているのでな」 「なにい! 二部屋で銀三枚だあ?」 バルクが後ろの方で大声を上げた。部屋を取ろうとしているらしいが、値段を聞いて驚いたらしい。 「三人部屋なら、銀1枚銅5枚? わかったそれでいい」 「おぬしはまたそうやってケチって!」 ああ、逆だ……。 ルイは思った。いつもはアニムが高いといって怒っているのだ。 「まったく、年頃の娘がいるのにお主は……」 「カーテンで仕切ればいいだろ」 「しかし、ルイがおるであろ!」 「あ、アニム。私のことは気にしないで。カーテンでしきっていたのはいつものことだから」 アニムはルイの言葉で納得した。それでも念入りに、ルイに「それで、本当にいいのか?」と聞いていたが。
さっきエラーがおきまして、途中まで書いたものがパー。絵は同じものがかけないというけれど、文章も同じものはかけないですよ。
リュレイミアの章
ルイは変わらない風景に戸惑っていた。ここは酒場の時が止まってしまった町の中。目の前をバルクとアニムが歩いている。自分は確かにドアをくぐっていった。もしかして、今までのことが白昼夢で時間障害など嘘なのかもしれない。 「バルク、アニム」 彼女は名前を呼んだ。二人はゆっくりと振り向いた。アニムがバルクの顔を見る。バルクは首を振った。 「どうしたの?」 「お嬢さん、なんか用か?」 「見たところ、お主は悪魔だな。ウォンテッドされているようでもないし、何か個人的な依頼なのか?」 「……」 ルイは頭をすばやく回転させた。どうやら、ここは自分が存在していない世界らしい。また、いたとしても、この二人には出会っていない世界だ。 「それならば、どこかに入って話をしよう。ここでいいか?」 アニムが例の酒場を指した。 「え? ええ」 バルクが扉を開けて、立ち止まった。 「どうした? バルク……」 アニムも中を見て、ぽかんと口を開く。そこは、時間の止まった世界だった。しかも、ぐにゃぐにゃと視界もゆがんでいる。 「……別のところにしよ」 二人もそれに従った。わざわざ危険そうなところに入る二人ではない。結局、宿の食堂で話をすることになった。
ブックオフにて宮部みゆきの「ICO」を発見しました。購入。 今夜は眠れない。(笑)
『要求 べグゼッド王子の身柄を無事保護したいのであれば、金貨五千五十二枚を用意してください。引き換え場所は、城下町東郊外にて、昼ころよりお待ちしております』 べグゼッドは力が抜けた。カシスが横でゲラゲラ笑っている。丁寧なのか馬鹿なのかわからない要求書を投げ捨てた。くしゃくしゃに丸めてゴミ箱に入れる気も起きない。 「カシス、いつまでも馬鹿みたいに笑ってんなよ」 「だって、だって……げはははっ!」 「この間抜け文章書いた奴をおもっきし思い知らせてやれよ」 「ある意味傑作。それにしてもなんで魔族はどっかいっちゃたんだ? 好都合だけど」 「さあな。いるよりはマシだ。朝めし食ったら行くぞ」 「緊張感ねえな」 それは、カシスも同じである。グオンも魔族の不在を伝えたきり起きてこないところを見れば二人に任せたと見える。 「いいんだ。昼までまだ時間がある。それに」 「貧血?」 「まあ、いつもより楽だけど」 それにしても、どういうわけでこんな中途半端な身代金額なんだろう、とべグゼッドは思った。
引渡し場所の、東郊外。にぎやかさはもちろんなく、この先は一日歩いてやっと村があるくらいの田舎道である。ほとんど人の通らないその道に、三人が並んでいた。男が二人顔を隠し、その間にイーリスがいる。 「さてと、金は用意できたかい?」 「ここに」 べグゼッドは袋を見せた。ずっしりと入った袋は足元に五十一袋ある。一袋百枚が五十、半端の五十一枚が一袋。兵士数名を借りて運ばせた。 「帰っていいよ」 「はっ」 兵士は金貨を置いて帰っていった。 「何故、帰す!?」 と、男が言った。 「いや、こっちとしちゃ、好都合だろ」と、もう一人が言う。 「いらないからさ」 カシスが言った。 「て、ゆーか、お前たちはなんだ? なんでガキが二人して引き取り場所に来るんだ?」 「そうゆうの、最初に聞くもんじゃねーか?」 カシスは呆れていった。カシスに呆れられたら終わりである。 「うるさい。お前たちは何者だ!」 「俺が、べグゼッドなんだ」 「……」 「……はい?」 「だけどな、お前らが誘拐したのは、こいつの大事なお客様なんだ。手荒なことはしてないだろうな?」 「お前、王子じゃなかったのか!」 「そんなこと一言も言ってなかったじゃないか!」 二人の男は抗議したが、イーリスは平然として答える。 「聞かれてないから」 「な、何おう!」 男が怒り狂う前にべグゼッドが叫んだ。 「だから、大事な客なんだ。だから身代金は払う。返してもらおう」 「わ、わかった」 「じゃ、俺は金から離れる。そっちはイーリスから離れて」 「よ、よし」 「おい、立場逆じゃねえか?」 「そんなことはどうでもいいだろ、さっさとしろよ」 カシスが剣の柄に手をかけた。 「え、あっはい」 二人の男はイーリスから離れ、べグゼッドとカシスは金貨から離れた。イーリスは走って二人のもとを離れ、べグゼッドとカシスの側に寄った。男二人は金貨を大袋につめて背負う。 「これで、取引終了だ」 「じゃ、達者でな」 「……」 腕の縄をカシスが切った。少ししびれているが、動かせる。 「じゃ、追うか」 「頼むよ、カシス」 カシスが勇んで駆け出した。見えなくなりつつある男二人を追った。そして、すぐ帰ってきた。 「ぜんぜん、相手にならなかった」 「だろうね」 べグゼッドはつまらなそうだが、ほっとした顔をする。 「あんたも災難だったね。でも、無事でよかった」 「まあ、これくらいなら」 兵士が数名駆け抜ける。あの二人を捕まえるためだ。帰ったのではなく、男二人の目から見えないところに待機していたのだ。 「袋の中、金貨じゃないね」 イーリスが言う。 「うん、木の木っ端とかなんだ」 「金貨が入ってたらあれだけ走れないぜ」 「なんで、気づかなかったんだろ」 「さあ、重みを知らないんじゃないか?」 確かに、あの二人に、これだけの金貨を稼ぐという重みは知らないだろうと彼は思う。 べグゼッドは、帰ろうと言って二人を促した。 「イーリス、腹減ってるだろ」 「うん、それに寝巻きだし」 「帰ったら、風呂も用意してもらおう」 「ありがとう」
後に誘拐犯二人を問いただした時のこと。 「魔族だよな、誘拐の手伝いをしたのは?」 「ああ、そうだ」 「でも、本当にどこかにいっちまったんだ」 魔族が報酬もなしに人間の手伝いをしたというのは考えにくいが、その後も音沙汰もまだない。何が起こるか、気をつけなければならない。 だから、この誘拐事件は未解決だった。
イーリスの章 了
が、横転して配達されなかった。今朝のパンは主任が地元コンビニで買ってきました。朝食時間も30分遅くなりました。 それにしても日●パン(うわぁい、伏字伏字)、大丈夫なのか?
べグゼッドが再び寝てしまったのでカシスも寝ることにした。グオンも部屋に戻る。 「今晩は、オフィーリス嬢」 「今晩は、グオン」 部屋に戻ったグオンを出迎えたのは、黒いワンピース姿の黒髪の女性だった。それが、魔族であることは、グオンはもちろんべグゼッドとカシスも知っている。 「お客が来ているんですって? それもかなり特殊なお客様のようね」 グオンは上等なソファーを勧めて、座らせた。ワインをグラスに注いで渡す。何気ない動作で彼女も何気なく受け取って礼を言った。 「そうらしい」 「あの子、朝には寝不足でふらふらよ」 「そうだろうな。で、あの客人は何者なんだ?」 「あの子は嘘は言っていないわ。だって、あの子の血は……」 「もういい」 少し沈黙。彼は首を振ってその話題を払った。そのことを考えるのはやめるようにした。 「すまない。それより」 「わかってるわ。やったのは魔族だけど、もういないわ。別のところに行ってしまっているから……」 「あとは人間が相手か」 「だから、私が手伝うのはここまで」 オフィーリスはグラスの中身を飲み干し、テーブルに置いた。 「じゃ、おやすみ」 「お休み、オフィーリス嬢」 オフィーリスは微笑みながら消えた。
(朝だな) イーリスは布からもれる光で朝を感じた。少しは眠れたらしいが疲れはとれてない。腕を後ろに縛られた格好で寝たため片方の腕がしびれている。それなのに、空腹を覚えた。 「よし、要求金額は、金貨五千とんで五十二枚だ」 (一晩中、もめてたのか?) イーリスは少し呆れた。しかも、なんて中途半端な額なんだろう。 「お目覚めか? 王子様」 目隠しが外されて光が飛び込んでくる。まぶしさに目を細めた。 「ああ、おかげで腕はしびれるし疲れはとれないし最悪だ」 「そうかそうか」 やや寝不足気味の二人よりは眠れたのだろう。ふたりは少し恨めしく彼を見た。 「で、なんでそんな中途半端な金額なんだ?」 「いろいろ事情があんだよ」 「国の財政を考えつつ、俺たちの借金の返済と儲けを考えて出した金額なんだ」 「……」 再び呆れた。なんだか頭がふらふらする。 「そういうわけで、王子様よ。もう少しの辛抱だ」 (そういえば……) 誘拐されたときのあの嫌な予感は、消えていた。
お祭りなどでよく見られる、アレです。実は、簡単に出来ることが発覚。ただ、ホットケーキミックスをとろく溶いてつけるだけじゃ、生地はつかないのです。小麦粉をまぶしてから生地をつけることで、きれいに仕上がります。
王族の誘拐は、終身刑。 多分、べグゼッドと間違って誘拐された。もしかして、誰でも良かったのかもしれない……。 幸い、ここは暖かい。やわらかいのでベッドの上なのかもしれない。場所は目隠しされているから良く分からない。ただ、近くで話し声がぼそぼそと聞こえるだけだった。 「明日は……」 「だから…………だろ?」 聞かなくたって分かる内容だ。これからの手配と身代金の額。考え付くのはそのくらいなのかとも思いたい。 しかし、さっきのあの宙に浮く感じはなんだったのだろうか? 嫌な予感ばかりする。さっきから嫌なものの感じがしてならない。
「魔族だな」 べグゼッドがつぶやいた。 夜中、グオンはべグゼッドとカシスをたたき起こした。イーリスがいないことを告げると二人は眠気も不満もすっ飛んでしまった。 「消え方といい、それしか考えつかんが。なんであの者を」 「間違えたんだろ?」 カシスはあくびをかみ殺して言った。 「ともかく、助けないと。その内要求が来るだろ」 「そうだな、お前の子孫だしな」 「子孫?」 「グオンには言ってなかったね。千年後から来た俺の子孫なんだってさ」 「まあ、本気で信じる奴もいねえけど……」 カシスはまたあくびをかみ殺す。 「でも、嘘とも限らない。イーリスには悪いけど一晩我慢してもらおう。要求が来ない時は探し出さなきゃならないけど、ね。それに俺、今夜は貧血だから」 「オフィーリス嬢が来たのか?」 「うん、後でグオンのところによるって……。じゃ、お休み」
マイ登録していた方の日記がなくなってしまった。ちょっと悲しい。人の都合なんで仕方がないことですけどね。
「じゃ、おやすみ」 べグゼッドは短く言って、自分の部屋に消えていった。イーリスもカシスも同じように言って隣の部屋に入る。カシスはさっさと着替えてベッドにもぐった。自分が入る予定のベッドを見るとカバーの上に寝巻きが置かれている。それに着替えて彼もベッドにもぐった。 (それにしても……) ずいぶん遠くへ来たなと思った。千年も昔の世界。そこは見慣れた城であるのに、全くの別世界の城で、かつて賢王と呼ばれたべグゼッド王が自分と同じくらいの歳の姿でいたのだ。 自分は一体いつまでここにいなければならないのだろうか……。この時間の障害はいつまで続くのだろうか……。 疲れているのに、彼は眠れなかった。カシスが寝息を立てている。その音は騒音ではないが、耳に付いて離れない。 (少し、夜風に当たってみようかな……) この部屋にはテラスがあるはずだ……。 ベッドから降りて窓を開けた。夜風が冷たい。冷たすぎた。すぐに身体が冷えるが彼は戻らなかった。隣の部屋のテラスに、グオンがいた。 (グオン……) 暗いが隣の部屋にはランプが置いてある。だから、グオンだと認識できた。 「おい」 グオンが声を掛けてきた。知っているいつものような声だ。少々不機嫌な声だった。 「何しに現れたのか知らんが、厄介なことは起こすな」 「……」 「もう戻れ。風邪引くぞ」 そう言ってグオンは部屋に入った。 急に寒さが身にしみた。自分も部屋に戻ろうとする。しかし、それはかなわなかった。足元から床が消えた。身体が一瞬宙に浮かんだ気がした。グオンが慌てて部屋から出てきたような気がする。そして、わけも分からないまま目の前が真っ暗になった。
ほっときぱなしのホームページを更新しようと思って、数ヶ月。いまだやってない。最近、ちょっとだらけすぎのようだ……。 「キノの旅Ⅷ」を読んで……一瞬、乱丁かと思いました。 言い訳。 オーフの話の補足。(補足をつけなければならない話って問題あり、ということをいつも書くときには忘れている) アンは……「赤毛のアン」が再放送していたので、つい、アンと名づけてしまった。中世ヨーロッパが舞台なんですが、その時代にどんなものを食っていたかとか、どんな洋服着ているかなんていうのは漫画でしか見てないんで分かりません。(昔、ヨーロッパでは男性はズボンなどはいてなかったそうです……)なので、ヨーロッパと銘打っていますが、その辺は適当です。 あと、オーフ自体も適当に名前付けて適当に登場させた挙句、仲間になってしまい始末に困ったキャラの一人、です。(泣)再登場させたからには、使ってやろうという心意気でなんとかこぎつけました。今では愛着が湧きつつあります。 そして、意外に書きにくいイーリス。しゃべらないからだけではない。いまだ掴みきれない性格のキャラの一人。だから、いまだ何を書いていいのか分からないのです。とにかく、必要以上しゃべらせない、というのが彼の書き表し方なんですが、内なる言葉は豊富なんです。 まだ、八人残ってますね……だから、年内で終わるのか。(別に終わんなくてもいいけどね)
そんでは、また明日。
ちょっと楽しみにしていたケーキバイキング。それが、本日だけで6千人の客が来た。明日は日曜日。それよりも人がやってくるかもしれない。それならケーキ屋さんでケーキを買って食べた方がよいと、家族会議(ものの数分)で決まった。
「本当に魔族を切れるのか?」 ヘネシーも魔族を切ることは出来る。もしかしてビアソーイダの血筋かもしれない。 「ああ、信じがたいことに」 カシスは苦笑いで答える。 「魔族を切れるのはティママンの剣だけなんだ。でも、あの人は普通の剣で倒してしまう」 と、べグゼッド。ティママンと聞いてイーリスはすぐに伝説の英雄のことを思い浮かべなかった。 「ティママンって……英雄のこと?」 「そうなんだけど、実際は魔族だから」 「ふうん」 お茶はカップに少し残っていたが、冷たくなっていた。それを取り替えると言ってメイドが入ってきた。 「どうぞ」 メイドが部屋を出ると話は再開する。 「ティママンは魔族なんだ」 「ああ、なんだかお間抜けな理由でこの世界に残った魔族で今も生きてる」 「何でそんなこと知ってんだ?」 「会ったことがあるから」 べグゼッドがカシスを見て言った。 「で、あんたはどうして、この時代に?」 イーリスは言葉少なく手短に説明した。突然、何人かが受けなければならなくなった時間の障害。そして、行き着くところはわからないことも。 「へえ、でも偶然にしちゃ出来てるね」 そうだ。こうして先祖に会った。千年も昔の次期王に。 「まあ、全く知らないところに行かなくて良かったよな」 カシスは、楽天家らしい。その気楽さで彼は安心できた。 二杯目のお茶が冷めるころ、べグゼッドは立ち上がった。 「そろそろ、戻ろう。夜更かしするとグオンがうるさいから」 「あいつ、ほんっと、うるさいよな」 「仕方がない。夜は彼の時間だから」 グオンは今でも、夜が活動時間だ。見た目には一日中活動しているようにも見えるが、昼間は休んでいることが多い。 「さ、戻るよ」 ろうそくの火を移して、部屋のろうそくを消した。あたりが急に暗くなる。 「ランプもあるけど、もったいないからね」 質素なのは、ここも変わらない。
を、見てびっくりした。電撃文庫の広告が載ってたから。(しかも一面目に)「キノの旅」映画化するんだね。 でも、よくよく考えたら角川系列だから載っても不思議はないのか? しかし、今までなかったのでやっぱり驚き。
夕食は国王とべグゼッドとカシスと自分で行われた。豪華ではないが、どれもおいしいものばかりだった。それに、イーリスの代になっても質素なのは変わらない。国王は気難しいように見えたが、今は談笑しあっている。 「イーリスは少し無口なんだね」 そんなことを言われるのは初めてだった。「少し」と言われるのは。いつも「かなり」とか「ひどく」とかが付く。 「いや、少しって言うのは……」 と、カシス。彼は素直だった。べグゼッドににらまれたらそれ以上は何も言わない。 「おしゃべりな者よりはいい。必要なことは言わなければならんが」 国王はそう言って笑う。 食事が終わるとお茶が出される。それを飲み終わると国王は立ち上がり、仕事が残っているというので出て行った。足を引きずっている。 「昔、戦争で痛めたんだって」 気づいたのかべグゼッドは小声で教えてくれた。 「さてと、イーリス。あんたは大体何年後の子孫になるんだ?」 「千年」 「……」 「……」 二人は黙ってしまった。 「どうかした?」 「いや、あまりに遠くて……」 「つーか、あまりに変わらない服装だから、ちょっとショックで……」 「だから、べグゼッド王がいた時代の事はあまりわからない」 「でも、千年以上続くのは確かなんだ」 「ビアソーイダは残ってるか?」 「うん、あるよ」 カシスがビアソーイダの王族であることを聞いてイーリスは驚いた。後に思い直せは不思議はないのだが。 「サミクラスっていう人の伝説は残ってるけど」 「それ、俺の兄貴……」 それには大いに驚いた。何故なら、サミクラスは魔族すら消滅させてしまうほどの力を持った男だったというからだ。
決して薄着ではないんですが、冷えます。今日、日食があったけど見なかったです。北海道はかなりかけて見えるのに……。
だが、城の中は変わっていた。長い年月で改装でもしたのだろうか、と思う。 「部屋はカシスと一緒でいいか?」 べグゼッドが聞いたのでうなずいた。 「一応親父にも話しておくか。カシスの友達ってことにしておけば、説明も楽だよな」 一人でうなずいて納得して、べグゼッドは彼を国王の所まで連れて行った。国王の部屋は普通の部屋だった。謁見の間とは違うらしい。 「親父、ちょっといいか?」 ノックしてドアを開ける。そこには初老の国王と美男がいた。それも、よく見慣れた美男だ。 (グオン……) 「なんだ? べグゼッド?」 「ああ、この人だけどイーリスっていうんだ」 「初めまして」 「カシスの友達でね。旅先で知り合ったんだって」 「お前に似ているな」 「だろ、だから俺も驚いたし、話も聞きたい。しばらく泊めたい」 国王は渋い顔を作ったが、うなずいて承諾した。 「ありがと、親父」 「ありがとうございます」 グオンは何もいわない。ちらっとこちらを見ただけだった。 「夕食は一緒にとろうな」 「うん」 部屋を出ると、次は客部屋に向かう。それはべグゼッドの部屋の隣でカシスがいつも使っている部屋だった。 「悪いけど二人で使ってくれよな」 「ああ、それはかまわねえさ」 いつも使っている割にはきれいで二つあるベッドも整っている。 「こいつ、ベッド二つつなげて寝ているんだ。寝相も悪いから気をつけてくれ」 確かにベッドは合わさっていた。それをカシスが引き離す。 「これでいいだろ」 「うん」 「二人はいつもそんな感じなのか?」 イーリスは二人を不思議そうに見た。 「ああ、そうさ」 「実は俺たち、会ったのは数年前なんだよ。でも、なぜか昔からの友達っていう感じなんだ」 「ふうん」
ほんっと、なんも考えてないんすよ。
店内は薄暗く、静かだった。客もいない。少々狭いがテーブル席もある。彼にとっても好きな環境だ。 べグゼッドは一番奥の席を指した。そして、好きなものを注文していい、と言った。 「じゃあ、ストロベリージュース」 店主は聞いたのか聞いてないのか分からなかったが、とりあえず席に着いた。 「さて、俺に何か?」 「実は……」 「お待たせしました、ストロベリージュースです」 店主がテーブルに黒い箱を開いて見せた。そこには各種の拷問用具が納まっていた。 「店主、本物のストロベリージュースを頼む」 「かしこまりました」 「気にしなくていいよ。ここはいつものことだから」 と、べグゼッドは言った。 目当てのものがそろうと三人は話もせず、ジュースを飲み始めた。飲み終わってから、やっと話を始める。 「実は、用事があるというのは嘘なんだ」 「嘘?」 「ただ、自分の先祖がどんな人なのか……」 「先祖?」 「と、いうことは、お前べグゼッドの子孫か。どうりでそっくり」 カシスが、にやにやと笑った。べグゼッドも驚いたようだ。 「へえー、でもなんで、ここに? いや、でも……」 べグゼッドは声を潜めて続けた。 「今は何が起きても不思議じゃない。そういう時間だから」 時間と聞いてイーリスは、ドキッとした。自分が受けているのは時間障害だ。 「きっとあんたは、何かに巻き込まれてこの時代に来たんだね。いいよ、ゆっくりしていけば? 歓迎するよ、子孫ということは身内だからね」 「べグゼッド、そんな簡単に……」 「カシス、お前の野生の勘は何か訴えてるか?」 「……いや、ない」 「じゃ、決まり決まり」 「俺には話が通じるけど、他の奴らには……」 「大丈夫大丈夫、何とかなるだろ。話はつけるし。いざとなったらカシスの友達ってことにしとけばいい」 「ありがとう」 「だから、気にすることないって」 店を出て、べグゼッドは城を案内した。 「ああ、案内しなくても平気か?」 「うん」 城のある場所は変わっていない。
横須賀ですね。 JALツアーなどで三万円代でいけるのは魅力的。泊まるのを一泊にして最終日空港近くでホテルを取っておくといいかもしんない。(今思いついた) 妹が昨夜札幌から帰ってきて、ゴルマ(フリマの拡大版)からぬいぐるみとハガレンバスタオルをお土産にかってきてくれた。 ぬいぐるみはライオンとクマのですが、バスタオルはどうやらユーフォーキャッチャーの景品らしい。売っていたおじさんがオマケでストラップをくれると言い、更に「鋼で誰が好き?」と聞かれて妹が「エド」と答えたら、「それってどれ?」……だったら聞くなよ! というほほえましい事件があったそうです。
ああ、今日ガンガンの発売日だった……。(忘) 今日はちょっと疲れたのでお休みします。すいません。歳です。
書き込みって思ったら、登録が消えてあんの。IDを入れたら戻ったけど、どうゆうこった?
イ-リスの章
彼は自分に似た少年を見つめていた。同時にその少年もこちらを見つめている。
そこが自分の国だと分かったのはたやすかった。まるで変わってない、建物に変化はあるが、城の形は全く同じだったからだ。ただ時代まではわからない。当てもなく、露店を眺めていたら、少年が声を掛けてきたのだ。金髪の少年が気さくに声を掛けた。人違いだった。 「何やってんだ? カシス」 そして、その後ろから更に声がかかる。どうやら、このカシスという少年の目当ての人物だった。その人物が自分に似ていた、ということだった。 「それにしても、そっくりだよな」 「お前、目が悪かったか? 俺の髪、こんなに伸びてんだぞ」 その少年は、邪魔くさそうに髪をかき上げた。 「あ、そうだったな。悪かったな、間違えて」 「あ、うん」 「それにしても、べグゼッド。今回はなんだ?」 べグゼッド? 聞いたことがあった。かなり古い文献で歴史として残っている。賢王とも言われたフォーランズ王……。 「べグゼッド!?」 彼は珍しいことに叫んだ。本人は、振り返った。 「お前、知り合いか?」 と、カシス。 「なら、挨拶くらいするだろ。あんた、何か俺に用か?」 聞かれて思わずうなずいた。 「怪しいなあ。どっかの刺客かなんか、じゃねーの」 「何馬鹿言ってんだ、お前は。ここじゃなんだし、いつもの店に行こう」 「いつもの店って、あそこか?」 オレンジジュースを頼むと武器を売ってくれるという店である。この二人は喫茶店としてでしか利用していないが。 「あ、あんたの名前は?」 「イーリス……」 「じゃ、ついておいでよ」 べグゼッドは、彼に笑いかけてからその店に向かった。
何がって、友人が。 台風はそれていったけど、爪あとが……。前日は停電に見舞われ、出発前の電車は止まっており、ギリギリで飛行機に乗ったのとか。ご苦労様です。
オーフの話が終わりました。明日は……まだ考えてません。(本当) あれじゃ、オーフかっこよすぎてどうしていいかわからん。元に戻ったら、いつものルイのことについてはダメダメな男に逆戻りにするつもりです。 あー、ほんと、次誰にしよう……。
再度プレー企画。 「ボクと魔王」を再度やろうかと。目指すは「スタン様」。(笑) 無責任ファミリー好きですよ。特に、お母さんが最初で歌ってる「ひとづまよ~」って、怪しくて素敵。……あと、ジェームス。
そんため、また停滞するゲームも……。
では、今日はこのへんで。
2004年10月09日(土) |
明日、横須賀の友人が |
いとこの結婚式のためにやってくるのだが、台風22号の影響が心配。幸いここに台風は来ないんですが……もしかして、飛行機飛ばない? 何てこともあるかもしんない。 それにしても、18号よりも強い台風なんて……またこないでしょうね。
アンを草の上に寝かせ、オーフはその世界をあとにした。白い羽根はいつものと同じようにして消えてくれた。 「さよならだ、アン」 ふと、気づいて彼はアンの額に手をのせた。しばらくして彼は、ちょっと顔をゆがませた。 帰るのは悪魔側の自由である。彼は、模様の付いた石版の上にいた。 「お帰り。遅かったわね……記録的に長かったわ」 職員がいやみを言った。それでもちゃんと仕事をこなした点はほめた。 「でもね、あなたが天使のハーフとは聞いてなかったわ。だから、」 「だから?」 「くび。こっちとしても人手不足だから非常に残念なんだけどね」 とりあえず、一回分のバイト料だけはもらった。そして彼は追い出されたのだ。彼はわけが分からず、ルイファーナの家に戻って言った。 「お帰り。遅かったな」 「ああ、まあ」 「聞いたよ。ハーフなんだって?」 ルイファーナはテーブルに皿を置いた。おなか空いてる? と聞いてきたのでうなずく。 「うん。俺のお袋は天使だ。この通り悪魔の方が濃いけど」 「そお?」 「でも、なんでそんなのこだわるんだ?」 「あんたは、本当にこの世界の悪魔なのか? 天使とは相容れぬ者同士だからだよ」 「はあ?」 「……シチューとパンしかないけど」 「ああ、十分」 「あんた、どこから来たんだ?」 シチューをよそいながらルイファーナは聞いた。責めているわけではなく、興味から聞いているようだった。 「未来から、って言えばいいかな。ちょっとした事故で」 「そう。じゃあ、あんたの時代は天使とも相容れているんだな」 あつあつのシチューを前にしてオーフはアンを思った。彼女もシチューを作ってくれた。 「いいな、そういうの。出来れば……。さ、食べて食べて。またあんたのバイト考えないとな」 「頼むよ」 食べながら、思い返す。 アンの一番楽しい思い出は自分といた日々だった。今の彼女の思い出には自分のことなど一切消えている……全て持っていった。残していったのは、あの白い羽根だけだった。
オーフの章 了
頭痛いし、眠いし、だるいしでなんもやりたくないわけさ。だから、とっとと書きますわ。
翌朝、オーフがまだ寝ている間にアンは家を出た。いろいろな買い物を済ませてから家に戻ろうとする。帰り際、噂を聞いた。町の教会が動かないので国の教会が視察が来たらしい。 アンは急いで家に帰った。嫌な予感がする。家の近くまで戻ると火が放たれていた。 「アン、逃げろ!」 オーフがアンの腕を掴んだ。そして、森に入るように促す。 「すまん、火の回りが速くて手の打ちようがなかった」 「オーフ……」 彼が無事だったのは良かった。しかし、アンは悔しさで一杯だった。 「アン、逃げないとあいつらが……」 「どうして」 アンが泣き始める。 「どうして、あたしがこんな目にっ!」 わっと泣き出したアンとそれを抱きかかえるオーフの前に男たちが囲む。 「魔女は排除されるべきだ。公開処刑が出来ないのは残念だが」 「今ここで殺そう」 「神の名の元に」 男たちが口々に言う。えらそうなことを言っているが、結局はアンを体よく殺す話だった。 「お前ら、本当に人間か? そんなひでえのは魔族だけで十分だろ?」 「悪魔が何を言う? お前もこの魔女と一緒に葬ってやる」 棒がアンに振り下ろされた。それも二、三人がいっせいに。アンをかばうように抱いていたオーフもそれを受けた。 (このままじゃ、アンは……) 悪魔は殴られたところで死にはしない。人間であるアンは、打ち所が悪ければ死んでしまうし、助かっても後遺症が残るらしい。 「ちっくしょー!」 オーフは思いっきり羽を広げた。自分でも何故そうしたのか分からなかったのだが。飛んで逃げようにも打ち落とされてしまうと思っていたのだが。目の前が急に明るくなる。そして、 ドーンッ! 雷が落ちた。何が起こったのか、オーフには分からなかった。回りの男たちがざわざわしている。 「て、天使か……!」 「天使様が……!」 「ああ、本当に神の使いだったらお前たちに天罰とやらを与えるだろうな」 アンは気を失ってるらしい。たいした怪我はなさそうだ。ふと、足元を見ると白い羽根が二、三枚落ちていた。首をひねる。本当に天使でもやってきたのか、と。 「さてと、お前ら。とっとと帰れ。二度とアンに手を出すな。あと、あの家もちゃんと元通りにしろ」 「わかりました。すべては御心のままに」 「はあ?」 「だからお許しください、天使様」 「主は我々をおためしにしなったのでございますね」 「はあ?」 男たちがすごすごと帰ってゆく。 「のちほど大工を呼んで家を作らせますので」 「ああ……」 オーフはやっと気づいた。足元に落ちていた羽根が自分のものであることに。 「あー、ちゃんと血は受け継いでんだな……」
はじめます。
教会の修道士がだいぶノイローゼ気味になった。アンとオーフはそれを確認してから行動に出る。今度は眠っている修道長にささやいた。 「多くの罪なき人が、理由もなく殺されている。私は悲しい……」 オーフの夢を見せるという能力を生かして修道長に、マリア像が、そうささやいている夢を見せ続けた。それも、何日も繰り返す。そして、いつしか町に噂が流れた。(と、いうかアンとオーフで流した) 「魔女狩りなんてばかげたことやるから」 「マリア様がお嘆きになるのは当たり前だ」 「あの教会はそのうち天罰を食らうぞ」 町でも教会が魔女狩りについて批判していることがわかってアンはほっとした。教会でも、むやみやたらに「魔女だ」と言わなくなった。 アンは笑いたくて仕方がなかったが、町の人々とは深刻な顔をしてうなずいていた。家ではオーフと笑い合った。 「教会もこれで、手出しはしないでしょ」 「まあ、あれだけやれば悪魔でも精神がへたばるわ」 「ありがと、オーフ」 「ま、それが仕事だからな」 「じゃあ、明日は盛大にパーティをするわ。だから、明日までいてくれる?」 オーフは少し悩んだ。何故なら、仕事が終わったらすぐに戻る、というのがルールだったからだ。しかし、これもまあ、仕事かと割り切って、うなずいた。 「ああ、楽しみにしているよ」
2004年10月06日(水) |
あー、そういうふうになるんだったのね |
ここで終わってもいいけど、映画で続きを見てね感も無きにしもあらず。 夢オチで終わるかなとも考えたけど……。ありえねー……(いや、もうアニメは最初の方からありえねーと思っていたけど) それでも、終盤は「あーもー、どうでもいいや。とにかくすごい展開にはなってるから見てよ」っていう気持ちでした。
夜中、アンとオーフは教会の前にいた。 「じゃあ、まず中に入ってマリア様の像を泣かせる」 「……マリア様?」 「女の人の像よ」 礼拝堂の中は真っ暗だった。ろうそくだけでは暗すぎる。 「ちょっと待ってろ」 オーフは明かりをともした。礼拝堂に置かれていたろうそくに火をともしたのだ。 「火神の力を借りたんだ。火神といっても俺のダチだけど」 「……多神教は異端とされるから気をつけて」 「イタン?」 「ああ、あなたは悪魔だったわね。忘れて」 とにかく、マリア像の頬に水をたらして泣いているように見せる。そして、二人はそっと教会内を回った。アンは泣きまねをしてオーフはアンを持ち上げて飛び回る。そして再び礼拝堂に戻って隠れた。しばらくして、数名の修道士が現れた。 「誰か消し忘れたのか?」 そこで、アンが泣きまねをする。押しこらえるような嗚咽を繰り返した。 「な、誰かそこにいるのか?」 「おい、見ろよ……」 「マリア像が!」 ようやく、男たちが気づいて、騒ぎ出した。 「すぐ、修道長に知らせよう」 男たちが礼拝堂を出ようとすると、ろうそくがいっせいに消えた。風はない。オーフが消したのだ。 「うわあああ!」 男たちが悲鳴を上げて駆け出していく。その後、しばらくして修道長らしき男が見にきたが、二人は動かなかった。今夜は、ここまでだ。また、明日同じことをやる。それを続けてから、次の作戦に移るのだ。
2004年10月05日(火) |
ゆかわさん、その他を |
ブックオフにて引き取ってもらった。総額6500円也。(ゲーム機・ソフトのみで)見事、6500円が懐に入ったのだ。これをドラクエⅧの足しにするつもり。(笑) ちなみに友人に、「いるか?」と問い合わせたところ、「いらない」と言った。ご冥福を……って、どっちかというと、いらない娘を嫁に出す心境に似てるかも……。(断腸の思いではないけど、ちょっと名残を惜しみつつってな感じで)
「思い出?」 「そうだ。あんたの一番楽しい思い出をもらう」 「……いいわ。持っていってちょうだい」 そして、アンは黒いローブを脱いだ。ローブ下には普段着らしい服を着ている。 「さて、まずは掃除しなきゃね。オーフは座ってって」 掃除用具を持ってきて腕まくりをする。 「何か手伝うか?」 「いいのよ。座ってってちょうだい」 一人がけ用のロッキングチェアを指差す。彼はおとなしく座っていたが、せわしなく動くアンを見ているうちに暇になった。 床を箒で掃き、ガラス破片を集めて麻の袋に入れる。その他、テーブルなどに乗っている破片もかき集める。 「そこは俺がやるから、あんた、他のとこやってくれ」 「ダメよ。そんなのあなたにはやらせられないわ」 「サービスだ。二人でやった方が早いだろ。その分俺の仕事も早く終わる」 「……わかった。あたし一人じゃ、明日になっても終わらないわね」 こうして、二人が掃除に取り掛かる。二人掛かりで次の日までかかった。その前に夜までには台所と寝床をすっかり片付け、食事を取り夜中は眠った。 「おかげで昼前には終わりそうね」 「そうだな」 朝食にはアンがパンを焼いた。 「あんまりうまくないけど。昨日のはとなりのおばさんがおすそ分けしてくれたのだからおいしかったんだけどね」 「でも、スープはうまいぜ」 「それは、おばあちゃまが作ったのよ」 「……」 それでも、パンも不味くはないし、絶妙な焼き加減のソーセージはうまかった。オーフは知らないが、かなり豪華な朝食である。 「じゃあ、今夜あいつらをぶっとばそうな」 「そうね」 二人は顔を見合わせて笑った。
まーだ、ハガレンの最終回撮ったまま見てないのよ。これが。
静かになると、オーフはゆっくりと顔を出した。そこには誰もいない。 「アン、お前はまだここにいろ」 アンは小さくうなずく。オーフは穴から出て、階段を上がった。階段を上がった先にはドアがあり、それを開けると玄関口に出た。さっきの場所は地下室のようだ。 (洞窟じゃなかったのか……) 家の中はシーンとしている。念のため、家の中をあちこち調べた。どこもかしこも散らかっている。さっきの男たちが荒らしたようだった。 「誰もいないようだな」 彼は地下室に戻ってアンをつれてきた。 「派手に荒らされたわ」 彼女は憤慨したようである。 「全くあいつらは人のものをなんだと思っているの!」 黒いフードを掴み取って床にたたきつける。彼女は、やはりまだ少女だった。 「ああ! これまで壊していったの! 信じらんない! これ、おばあちゃまの咳止め薬なのに!」 床にこなごなになったガラスがちりばめられている。その他、いろいろなものが床に散乱している。 「ああ、ひでえな……」 改めて見て、オーフはつぶやいた。そして、この幼い少女がなぜこんな排除を受けなければならないのか、と思った。 「アン。もし、俺を食べて力が付くんだったら、俺は食べられてもいい。しっかりあいつらに痛い目見せてやれ」 「……やめる」 アンが急にしおらしくなる。それまでの勢いが急に引っ込んだ。 「食べるってどういう意味か、知ってる?」 「……知らんが、食べるに意味があんのか?」 「やっぱり知らないのね。だからいいわ。オーフ、あなたの力を借りたい。あいつらにこんなまね二度とさせないように」 「わかった。ただし、報酬はアンの思い出だ」
書いた今回の文章。 先行き、いまだ不安。つかめず。 でも、オーフがだいぶいい味を出してくれて助かってます。 この先、書いていくのが楽しみです。(不安じゃなかったのか?) では、今日はこの辺でお休み。
もう寝るってかいっ! 昨日のハガレンの最終回、まだ見てないです。後で見る予定ですが、見るのが怖い気がして……。まさか、続きは映画でGO-! じゃないよね?
ボクと魔王のサントラがようやく手に入れることが出来ました。 あうう……。やっぱりほとんど記憶が抜け落ちてるけど。聞けば、こんな曲あったなあって。なんだか、主人公の影が薄くなって世の中からいなくなるって言うのはちょっとショックでした。実際ありえそうで。
P.S.青いくじら様 森先生の名前はないのだよ。(姓しか考えてないのよ)
昔、教科書に載っていたファンタジー小説。 結構好きな話だったんですが、先日古本屋にてその本を発見。即購入。 「きつねの窓」の話も収録されてます。
「じゃあ、願いを言ってみろ」 「あなたを食べます」 「……」 少女が、十字架を手にしてオーフを刺した。 「!?」 十字架は刺さっていたが、オーフは苦しみもせず平然としている。 「あれ? あなた、本当に悪魔ですか?」 「うーん……実はハーフだ。俺のお袋は天使だよ」 「はあ? うそでしょ? あたしは純粋な悪魔を召喚したのよ! それにどう見てもあなたは悪魔でしょ!?」 「あー、悪かったな。ガラが悪くて。俺は親父似で悪魔の血が濃いからこんななりをしている」 彼は黒い羽を見せる。母の白い羽根は受け継がなかった。アンは、落ち込んだように座り込んだ。 「そ、そんな……せっかく成功したのに出来損ないの悪魔を召喚しただなんて……」 「それと、アン。お前はなんで俺を食おうとしている。そんなことすんのは魔族とかと一緒だろ」 「それは……」 アンの家系は魔女である。もともとは薬草をつんで薬を作り、天候の変化から天気を予測したりといったことをして、村人の役に立って暮らしていた。 「だけど、ある日教会が来て、魔女は排除されるべきだって。だから、あたしたちは戦うことにしたの。禁じていた悪魔を召喚して、その力を食べることによって力を得る」 「……無理だな。第一俺はこんなもので死なないし」 「だから、あなたは出来損ないじゃないの?」 「他の悪魔がされたって、これでは死なないだろ。第一これに意味があるのか?」 「……わかった。今はとにかくあたしを助けて。もう、そこまで追っ手が来ているの」 「わかった。とりあえず、ここから出よ……」 階段を登ろうとしたら、上から黒服の男が降りてくる。手には棒やくわが握られていた。それが数名だったが、どんどん人数が増えていく。 「いたぞ!」 「この下だ!」 「来たっ!」 アンの声は悲鳴に近い。部屋の隅まで後ずさりしようとしても、恐怖で足が動かない。 「アン、来い!」 オーフが手を伸ばし、アンの手を引いた。 ドッとアンが立っていた場所に穴が開く。 「潜るぜ」 「え、あ!」 オーフはアンを抱きかかえるとその穴に飛び込んだ。そして、穴は元のようにふさがる。 「消えた!」 「やはり、魔女だ!」 「逃がすな、近くにいるはずだ!」 男たちが叫んでその中から出て行く。それまで、二人は静かにやり過ごした。
キーボードに、numとか何とか書いているキーがありますよね。あれを知らないうちに押してしまい、キーの側面についている文字が出て、さらに戻し方が知らないとかって……今日やってました。その前に妹のパソコンでもやってました。元に戻せてよかった。
早速、オーフはそのバイトに借り出された。 「やり方は、わかった?」 ルイファーナが話をしてくれたようで、職員は分かりやすく説明してくれた。彼は、それで理解が出来た。 人間界では、混乱期である。戦争が絶えず神どころか悪魔にもすがりたい思いでいるらしい。だから、ここは今、人手不足である。 そして、自分の思っている人間界とは違うものらしいことも。 「その世界は封鎖されているのよ」 「封鎖?」 「その昔、ティママンという魔族が閉じたのよ」 「へえ……」 その話は知っていたが、この時代はまだ閉ざされていることは知らなかった。 「じゃ、人間がお呼びだから、行ってあげて」 細かい模様のついた石版に乗る。それが、ぼんやりと光ると、彼は人間界へ飛ばされた。
同じような模様のついた地面に彼は転がっていた。 「いって~」 思ったよりも衝撃は強い。何かが身体の上に乗っている。 「や、やった~、成功よ、成功」 若い娘の声だった。上から聞こえる。 「……どいてくれないか?」 「あ、ごめーん」 「ここは、人間世界だよな」 「ええ、そーよ。大雑把に言うとヨーロッパってとこ」 「よーろっぱ……?」 聞いたこともない地名だった。オーフはとりあえず、よろよろと立ち上がる。 「なかなか、出てこないから失敗しちゃったかと思った。あたしはアンよ。あなたは?」 アンと名乗った娘は、黒いローブに包まれていた。顔もろくに見えない。まだ少女と言って良いかもしれない。 「オーフ」 「そう、変わった名前の悪魔ね。早速だけど、お願いしていいかしら」 アンがしっかりした声で聞いた。 「ああ、いいぜ。ただし、俺を召喚したということは、どういうことであるかは分かっているな」 「ええ、もちろん」 アンが少女らしからぬ笑みを口元に見せた。
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