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2003年05月05日(月) ニワトリの頭をこづく

僕の両親は毎年ゴールデンウィークに旅行をする。
同じように商売を営んでいる仲のいい4組の夫婦が集まって旅行する。
僕が小学生の頃からだからもう20年近く続いている。

過去全てが国内旅行で、以前は乗用車2台に分けて行っていたのだが、
ここ5年はサロンカーとでも言うのだろうか、
小型観光バスを運転手付きでチャーターしている。

いくら社長連中だからと言っても、この不景気な時期にたった8人だけで
あの小型観光バスを借り切って旅行するのはどういうものかなと、
僕の常識じゃ首をかしげるが、
乗用車2台で行くのと料金的にあまり変わらないそうだ。

オヤジ連中は4人とも酒を飲むタイプなので運転の心配をしなくていいのが大きな利点のようだ。まあ年に一度の事だから目をつぶろう。

そんな訳で毎年僕は留守番役をまかされる。
別に店は休みなので一日中家にいる必要はないのだが、
①朝方新聞と牛乳を取るのと②夕方植木に水をやるのと③適当な時間に
ニワトリに餌をやる仕事がある。

3日間だけだから①②③全て放棄しても大した損害はないのだが、
今年は特に出かける予定もなかったので仕方なく①②③毎日やってあげた。

①②は特に問題はないのだが、③だけは少しちゅうちょする。
卵焼きは好きだし、鳥の唐揚げや焼き鳥も大好物なのだが、
本物のニワトリとなると話は違う、あの首の動きといい、くちばしといい、とさかといい、あの足といい、正直言って苦手なのだ。

うちでは親父の趣味でニワトリを飼っているのだ。
以前に比べて数は少なくなったが現在は卵を産むめんどり2羽と、
この春から仲間入りした雛どり3羽がいる。

そのニワトリ小屋は2坪ほどの広さで人間も余裕で入れる大きさだ。
雛どりの3羽はまだ来て間もないので小屋の中にあるまた別の小さな小屋の中に入れられている。

結局2カ所のエサ箱にエサを入れてやらなければならない。
僕がエサを持って小屋の中に入っていくと、めんどり2羽が突進してくる。
これが僕にとってはヴギャーな状態なのだ。

そんな最終日の今日、小屋の中で予想外のハプニングが起きた。
隔離されている雛どりのうちの1羽がその小屋から出てしまったのだ。
エサを入れようと扉を開けたほんの一瞬のことだった。

その1羽が外に出るやいなや、めんどり2羽が襲いかかったのだ。
こいつらはみんな仲間だと思っていた僕には予想外の出来事で、
雛どりが殺されてしまうと感じた僕は、エサをやるために手にしていたオタマで咄嗟にめんどりの頭を叩いた。

こづくなんて程度のものではない。おもいっきりブッ叩いていた。
それぞれ3回づつブッ叩いた。
そして触るのも嫌だった雛どりを捕まえて小屋の中に戻した。

あっという間の出来事だったが騒ぎはおさまり、
ヤツらは何事もなかったかの様にエサをついばんでいた。
首が折れるような勢いで叩いたはずだったが特に苦しそうな動きはしていない。なんだかホッとした。
そしてなぜ隔離されていたのかを理解したのだった。

あの時の僕のめんどりに対する憎悪は本当にすごかった。
後になって豹変してしまった自分に驚いた。
ニワトリの頭をオタマで叩いた音とその腕の感触が残っている。



2002年05月05日(日) ミルクセーキ

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