モスクワ留学日記
もくじ


2007年04月09日(月) 一番つらかったこと

モスクワ プラス3度 晴れ。気持ちよい天気


「今度モスクワへ行きます!」というフレッシュなメールをいただくことがあります。
初めての海外、初めてのロシア、初めての異国生活・・

ネットなどでいくらでも情報が拾えるようになった昨今においても、
やはり色々な不安はぬぐえないと思います。

それでもえいや!っと母国を飛び立つその勇気を、私は影ながら応援しています。


◇◇◇


私にとって今までの人生で一番つらかったのは、
18で北海道の片田舎から上京して、
世田谷のぼろアパートで一人暮らしを始めた時です。


知り合いも友達もお金もなく、頼るのは自分だけ。


初めての東京、初めての一人暮らし、初めて自分の稼ぎで生活すること・・

当時、休みなく3つ4つ色々なバイトを掛け持ちして、
生活費と貯金にあてていました。


どこからどう見ても苦しい生活で、
でも毎日が一生懸命で、
毎日が真剣でした。





しかし、ふっ と、がんばりの糸が切れてしまったことがあります。







カッターで、手首を傷つけました。


どうしようもない心細さに、耐えられなくなったのです。







血が、流れました。

涙も、流れました。



泣きじゃくり、過呼吸になり、

苦しくて、切なくて、心細くて、、




しびれる手足、うつろな視界、


頭がじんじんして、呼吸が苦しくて、、







もぅ、いいや・・・










ところが



悲しみに途切れようとする精神とは逆の



生命維持装置が働きました。









(家族を悲しませてはいけない)








東京で、頑張っているだろうと思ってくれている家族を


悲しませてはいけない。




みんなつらいのに、背中を押して送り出してくれたのに




こんな簡単に、あきらめちゃいけない。





私は自分で、救急車を呼びました。



苦しくて、何をしゃべったかよく覚えていませんが、


次の瞬間には口にビニール袋をあてられ、

大丈夫か?ゆっくり息をしろ!と救急隊員に声をかけられていた自分。





救急車で外科の病院に運ばれ、入院しました。





ベッドに横になっていると、白い天井が見えるんですね。


小さい頃、病気ばかりして、入院ばかりして、


いつも足の甲に点滴をつながれながら、ベッドの上で白い天井を見ていたなと

昔のにおいを思い出していました。






病室には、ほかの方を介護しているおばちゃんがいたんですね。






「どうしたの?つらいことがあったんだねぇ。つらかったねぇ」と手をにぎってくれた時、




それまで鬱積していた気持ちがあふれて、





声をあげて泣きました。




泣きじゃくり、涙と嗚咽でぐしゃぐしゃで、激しくせきこんで。






「いいんだよ。もう大丈夫だからね。」







あの時、本当に救われました。




こんなに頑張っていたことが、




はじめて会ったおばちゃんに自分の存在を認められたことが、




うれしくて、恥ずかしくて、気持ちがすーっと楽になりました。





その後、知り合いに工面してもらったお金を夜間の専門学校の学費に充て、
昼はバイト、夜は夜間の専門学校に通う日々が始まりました。




あの時の頑張りを思えば、何だって乗り越えられると思っています。




自分ひとりが苦しいんじゃない。




たくさんの人に支えられて今の自分があることに、感謝の気持ちを忘れず、




前に進んでいこう。



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