いい本を読んだ

今日読んだ本 雪のひとひら(SnowFlake) ポール・ギャリコ著 矢川澄子訳 新潮文庫

評:名作。
  雪が生まれてから、天に還るまでのショートストーリィで、まるで、人の一生を見ているような感じ。
  ぎゅっと凝縮されていて、一気に読めてしまう。
  全てのシーンが素晴らしいが、一つだけ、書いておきたい。
  雪のひとひらが、雨のしずくと連れ合うシーンである。

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      このときからというもの、ともども川を流れつづけながら、二人はもはや二人

     ではなく、一人でした。

      彼女は雨のしずくであり、彼は雪のひとひらでした。もちろん、さまざまな点

     でいまだに自分自身ではあるものの、いまではたがいに相手の一部でもあるので

     した。

      あまりにもしっくり溶け合ってしまったために、あたかもおなじ頭で考え、お

     なじ声でしゃべり、おなじ心で生きているようにさえ思われるのでした。

      相手のいいたいことや感じたことは、口に出すよりさきに察しがつきました。
           
     たがいに力を藉しあうこともできました。こうして結ばれていれば安心で、どん

     な運命もおそれるには及びませんでした。
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  素晴らしいシーンだと思う。
  こんな相手に巡り合いたい。

2002年01月04日(金)

日々 / いけだ