凪の日々
■引きこもり専業主婦の子育て愚痴日記■
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来月はアイの学校は運動会がある。
が、今年はなんの間違いか、アイ、リレーのアンカーに選ばれてしまったそうな。
最初聞いたとき「え?それって新たないじめ?」と聞いてしまった。 だってアイがリレーの選手ってだけでも意外なのに、 それもアンカーって。 皆がやりたくないからアイに押し付けたとか?
アイが「さすがにクラスの成績を犠牲にしてまでの壮絶は虐めは無いだろう」と言ったのでちょっと安心。 (運動会はクラス対抗なので) 少なくともアイはそう思っているって事で、アイについては問題ないかと。
聞けばちゃんと50mのタイムでそれなりの速さの子を選んであるらしい。 でもアイのタイムは特別早いってわけでもなく平均っぽい気が… メンバーはアイ以外はバリバリの体育会系。 しかもアイを目の仇にしている例の子と一緒。
色んな意味で、大丈夫なのか?!とかなりの不安が。
「皆がアンカーいやだっていって私になった。 〝抜かれても知らないからね!〟って言っておいたから大丈夫」と本人は言う。 「滅多にない事だからちゃんとビデオに撮って残してね」と前向き。
本人が前向きでやる気ならいいか。 アンカーで転んだりしたらまたいじめられるんじゃないかと あれこれ不安はつきないけれど、不安に思っているのは私だけで 本人は張り切っているから応援しよう。 うん。
母から小包が届いた。 母の日のプレゼントのお返しらしい。 ご近所からのおすそわけらしい野菜の中からアイ宛に手紙が入っていた。
何故私でなくアイに。 訝しんだけど、元々母の考える事なんか昔から理解できたためしがないので とりあえずアイに渡した。
アイに「なんて書いてあるの?」と聞くと 「なんかお母さんが子供の頃の事が書いてあるけど内容が重くてよくわからない」という。
見せてもらうと、私が中学の頃、自分がどれだけ苦労していて、 娘に手をかけてあげられなかったか、がダラダラと書いてある。 更には私自身が何度も何度も何度も何度も聞かされた 母自身の子供の頃の学校での自慢話エピソードも。
「私にこんな事言われてもどうすればいいかわからない」とアイは言った。 そう。それは私もずっと母の子どもとして育ってきて思い続けていた事。
子どもの私に向かって己の不幸な幼少時代の話を延々話して聞かせる。 父親が死んで周りは手のひらを返すように冷たくなった話だの 父親が生きていればそこそこの生活が出来たのにだの 学校で自分はいかに成績が良かったか、 それなのに家庭の事情で上の学校に行けなかっただの なにくそ、と頑張ってきたけど、どうしてもひがみ根性が出てしまう、という話だの。
だからあなたはどうこうしなさい、とか、 私は子供であるあなた達にそんな思いはして欲しくなくて こうしてあげるんだ、とか そういう我が子へ繋がる話は出ない。 延々、己の不幸な境遇を子ども相手に愚痴り続けるだけ。 呪詛のように、延々と、何度も何度も。
子どもである私は、それを私に聞かせてどうしたいの?といつも思っていた。 いらいらいらいらしていた。 ただ単に、愚痴のはけ口にされている事も分からず。
子育ては己の子供時代の追体験をする、という。 母は私を育てながら、己の不幸な生い立ちを思い、自分自身が、そして自分の母が、不憫でならなかったのだろう。 そして、今、子どもを育てる私に、やっと、自分が母親になってからの体験を思い出し、その苦労して子育てをしてきた自分の姿を思い出し、また自分が不憫になって、今度はその愚痴を孫であるアイに垂れ流している。
どこまでも、自分が世界の中心で、悲劇の主人公。 周りは皆、恵まれた人達で自分を助けてくれる人なんかいない。 そこでも負ける事無く必死に生きている健気で不憫な自分を ただひたすら愛しているのだろう。
この人を反面教師にして生きていかねば。 最低限、我が子を愚痴のはけ口にしない事だけでも、気をつけていかなきゃ。 そうは思うのだけど。 私は、母の呪詛が解けないままなのかもしれない、という恐怖は消えない。
なんにもない母の日だった。
いつだったか、母の日に夫が子どもと板チョコをプレゼントしてくれた事があって 子どもが自分の小遣いで買ってくれたなら感動だけど 夫が出費して板チョコかい、と腹が立った。 しょせん私への感謝の気持ちなんて板チョコ二枚程度なのね。 それなら腹が立つだけだからいらない、と、まではさすがに言わないけれど 嬉しくもなんともなかった。 せめてシュークリーム程度ならまだ嬉しかったものを。
腹が立つことをされても迷惑なので 「母の日は何もいらないからカレー作って」とアイにお願いして 母の日はカレーを作ってやる、が定番になりつつあった。
どちらも思いっきりCMに踊らされている感が強くて 興ざめこの上ないけれど(だからチョコは腹が立ったってものある) カレー作りは子どもの料理の練習にもなるし、 本人達もCMで見てるから納得してもらいやすいかと思って。
けれど今年の母の日はアイは部活。 夕方帰宅してからカレーを作ってもらうのも可哀相。 おまけに月曜日、アユムの学校給食のメニューはカレー。 これは今年の母の日は夕飯にカレーは避けた方が無難だなぁと思った。
思ったけど、自分でそう発言するのも何か違う気がして。
あえて何も言わないでおいた。 夕飯作りもカレーの材料と同時に焼肉の材料も用意して ぎりぎりまで何も言わないでいた。 カレーを作ってくれるならそれならそれでもいいかと思って。 カレー作りが無理なら何か考えてくれるのかもと思って。
結果、何もない母の日でした。 アユムは「母の日なのに何も用意してないー」と朝からいってたけど 「何もいらないよー」と答えておいた。 だからかな。 見事に、誰からも、何もなかった。 肩たたきすら。
そっかー私への家族の気持ちってそんなもんなのね。 なんか再認識というか、実感できた。うん。
日頃なんにもしてもらえないで 何かしてやることばかり無償で強いられる母親にとって 母の日ってその苦労が多少なりとも報われているんだって 感じる事が出来る日だったんだなぁと。
私は父の日は毎年子どもと何かしらプレゼントを選んで 夫にプレゼントしてるんだけど。
今年は止めておこうかな。
リクエストしないと、というか、 お膳立てしないと表してもらえない感謝の気持ちって 既に感謝の気持ちじゃないよね。 これからも母の日は何もこちらからリクエストしないでおこう。
なんか、こんなつまらない家族関係続けていくのもしんどい気分。
テレビで「明日世界が滅びるとしたら何をしますか」というよくある質問をやっていた。
はて。明日で世界が終わるとなると、何をするだろう?
アイは「午前中はあれをして午後からあれをして夜はあーしてこーして」と 日頃無計画なくせに綿密に予定を妄想している。
「おかあさんはどうする?」と聞かれ、何も思いつかない。
何もしたい事が無い。 明日世界が滅びようとも、特に何もやりたい事も行きたい所もない。
昔は、結婚するはずだった昔の彼に最後に会いたいと思ったけど。 今はそんな思いもだいぶ薄れてきた。 結婚して20キロ太って若い頃とは見る影も無い夫に年月を思い、 彼もそんな中年男性になっていたら…と思うと会わないほうが幸せなのかも、とも思うようになった。 私自身もくたびれた中年女性なわけだし。
じゃぁ何をしたいか。 いや、何も思いつかない。 何もしたい事が無い。
「何もしたい事が無いなぁ。惰性で生きているからねぇ。」 そういうと、アイは「まぁ、それでもいいんじゃない。人それぞれだから」と私がいつもいう言葉を返した。
いかんなぁ。 母親は子どもの前であらゆるエネルギーに満ちていなきゃいけないよなぁ。 母って大地であり海でありゆるぎない愛であるわけだし 私の精神状態は子どもの情操教育に良くない。 それでなくてもアイの強烈な男嫌いは 私が夫に対する態度を見て育ったせいだろうなぁとへこんでいるのに。
へこんではいるけど、私はもう直せないから アイはこのまま男嫌いで恋愛に苦労する人生を送るようになるのかもなぁ。
アイがすべてにおいてマイナス思考なのは私のせい。 すまん。
G.W.終了。 安堵している人は全国に多く居る事だろう。 家族サービスに徹したあまり、疲れの溜まった重いからだで出勤している方々、お疲れ様です。 本当にお疲れ様です。でもその疲れはちゃんと家族に「感謝」という形で刻まれていると思います。
なんて、世の家族をうらやむ私。
連休は、子ども達をなんとか近場のテーマパークへのバスツアーに連れて行きました。 自分で運転すれば充分日帰りで時間も自由に出来るんだろうけど。 それはあまりに私が辛すぎるっていうか、体力的に無理なので。 現地テーマパークで五時間自由時間ってツアーでしたが 五時間歩き回っただけでクタクタ。 帰りのバスの中では親子で爆睡しました。
あぁ自分で運転すると絶対出来ない事を出来た。 高速道路の外の景色も自由に見れたし。 サービスエリアも勝手に選択して休憩時間入れてくれるし ガソリンの残量だのスタンドの場所確認だのなんにも考えなくていいし 他人任せってなんて楽なの。 もう涙が出る程有難かったです。
でもテーマパークは入場券しかついてなかったので 乗り物全部自腹。 結構単価高くて出費が大きかったです。 子ども達も親の懐具合を慮ってか ちょっと遠慮しがちだったような。 思いっきり遊ばせられなくて反対に申し訳なかった。
それでもツアー代金に含まれていたアトラクションにはそこそこ満足してくれたようで。 まぁそれだけでもつれて行った甲斐があったかなぁと。
少なくとも「連休何してた?」の話題に 「どこどこに行った」って事実だけは作ってあげられたから それで許してもらおう。 今の私の精一杯。
暁
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