サッカー観戦日記

2019年11月24日(日) プリンス参入戦 V神戸B-大産大附 一条-履正社

プリンス参入戦について。高校生のリーグ戦は頂点となる全国リーグ(東西)のプレミアリーグ、その下に関西など9地域のプリンスリーグがあって、その下に都道府県リーグ(北海道はブロックリーグ)という仕組みになっている。関西の府県リーグからプリンスリーグへの参入戦は昨年まで府県リーグ優勝チーム6チームが1発勝負で勝者の3チームが昇格することになっていたが、今年から2位までの12チームがトーナメントで2勝した3チームが昇格という方式に変わった。本来なら10月上旬の3連休で2試合をこなし終わっていたはずだが、東日本に甚大な災害をもたらした台風19号のため、高校選手権予選の都合上、決勝がこの時期まで延期されていたのだ。

さて第1試合は2試合同時開催である。場所は堺のS2とS3。観やすいのは圧倒的にS2だ。だからそちらを観戦した。ヴィッセル神戸B対大産大附だ。前者はBチームなので激戦区の関西では昇格すればむろん初の例となる。対する大産大附は高校選手権大阪大会敗退から間があり、3年生のゲーム感、モチベーションなどが気になった。以前東山がプレミアに昇格した時には2年生以下チームに切り替えて勝ったこともあるが、それではあまりにも不利だ。ヴィッセル神戸Bは無論下級生主体だろうが、Jユースの下級生は並大抵のレベルではない。

プリンス参入戦
ヴィッセル神戸B-大阪産業大学附属高校
11月24日 11時 堺S2 ピッチ良 曇


V神戸B         大産大附
-----二四----- ---十番--九番---
-二二--二三--十九- ------------
--二九-三三-三八-- 八番-七番--六番-十一
-三二--二七--三七- 二番-四番--五番-六番
-----四一----- -----一番-----

神戸Bは超攻撃的布陣で自陣から徹底的にパスを回し振り回してくる。しかしAチームほど技術・判断は良くなく、しばしばミスをする。対する大産大附は前から懸命に追いかけ神戸Bに自由に回させない。大産大附は右センターバック5番が高さでは神戸B24に勝てないまでも自由を奪い、右ハーフ11番は素晴らしいスピードとアップダウンを見せる。ただしサイドハーフの負担が大きそうだ。小柄なファンタジスタ10番が変化をつけ、9番が点取り屋である。神戸B24番はポストが確実に納まり動き出しもよく裏も狙える。大産大附11番の右クロスが9番に届くが撃てない。超決定機。16分、神戸B24番がファウルを受け、クイックリスタート、右に出しペナ内左にパス、左足シュートが決まる。1-0.サポーターの声では佐伯と聞こえるが、佐伯はAチームの10番だし、Bチームでプレーするはずは……と思ってしまう。確かに佐伯はレフティーだが。(情報いただきました。泉彩稀(さいき)とのこと。やはり佐伯ではなかった)以降も25分、大産大附はプレッシャーをかけ11番のキープから中に落とし10番左足右シュート、左に外れる。26分、神戸B、スルーパスにいい動き出しの24番が大産大附キーパーと1対1を当ててしまう。超決定機。徐々に大産大附はフォアチェックを緩めペース配分を落とすが、それでもオーバーペースに見える。36分、大産大附11番の右クロスが神戸BのDFに当たり浮いて9番オーバーヘッドは上に外れる。結局前半は1-0で終了。ペース配分から言ってヴィッセル神戸Bの勝算が相当高くなったと感じた。

後半開始。9分、大産大附6番から7番に繋ぎオウンゴールを誘発し、1-1。ここでTwitterでこの後15分がカギになる、という趣旨の呟きをした。13分、大産大附ロングフィードに9番抜け出し左足ミドルが右隅に決まり1-2。15分、大産大附右から崩し左で折り返し押し込んで1-3。勝負所で大産大附のメンタルが上回った。というか神戸Bが崩れた。高校生はいくら観ても分からない。難しい。18分、神戸B37番→4番。明らかにメンタル的理由からの交代だろう。以降両者選手交代を交え、大産大附はペースを落とし、神戸Bがパスを回すが、サイドチェンジが決まらないなどミスが目立ち、あと一歩崩せない。そして89分、神戸Bのビルドアップミスから大産大附9番に渡り、キーパーとぶつかりながら決めて1-4。結局、大産大附はプリンス昇格を決めた。

もうこの結果はメンタルの差としか言いようがない。大産大附の中盤はスタミナの消耗が激しく、勝負どころの後半15分までに追いつけなければ、パスで振り回されて足が止まって相手スペースにドリブルで突っかけられるだろうが、逆転して完全に大産大附の流れになった。




なお隣のピッチでは初芝橋本と関学高が0-0で引き分けてPK戦に。その結果初橋がプリンス昇格を決めた。今年の初橋は強かったし全国ベスト8クラスの力はあったので納得だ。




プリンス参入戦
一条高校-履正社高校
11月24日 13時30分 堺S3 ピッチ良 曇


一条           履正社
---二番--十番--- ---十三--七番---
------------ ------------
十一-六番--八番-九番 十一-八番--五番-九番
二二-四番--三番-十三 二番-三番--四番-六番
-----一番----- -----一番-----

立ち上がり後方で広く回す一条に対し履正社は前から追い、3番が左足で大きく出す。安全第一だが、やがて履正社も後方で回し始める。プレッシング合戦である。セットプレーでは高い4番がファーでターゲットになるが一条は何とか守る。パス回しは似たようなものだがサイド突破力で上回る履正社が次々にチャンスを作るがゴール前で一条がはね返し、前半は0-0で折り返し。

ハーフタイムで履正社右ハーフを代えた。そして11番を右ハーフに回した。一条のストロングポイント22番対策か。後半もやや履正社がサイドで上回るが、徐々に一条がロングボールから流れをつかみ、右カウンターから10番仕掛け、無心のゴールに8番押し込むだけというシーンもあったがバーに当てる。一条の流れが来るが、決め切れずPK戦の気配が漂う後半44分、履正社2番の左足右コーナーに4番が高いヘッドで先制0-1。これで崩れた一条はロスタイムに3失点し0-4で履正社が勝利。プリンス参入を決めた。

履正社はプレミア経験があるが、こういうチームは必ず守備意識が高くなるものだ。以前は3トップで両サイドが奔放なドリブルを見せていたものだが、現実的なスタイルにシフトした。前週も高校選手権予選決勝を戦った一条がコンディション的に有利か?とも思ったが、戦力的には履正社の守備が一枚上だった。サイドから仕掛けられたのでコーナーも取れ、それが決勝点につながった。



2019年11月23日(土) 全女2回戦 INAC-藤枝順心

皇后杯全日本女子選手権2回戦
INAC神戸レオネッサ-藤枝順心高校
11月23日 11時 三木防災公園陸 ピッチ良 晴


INAC         藤枝順心
-----岩渕----- 斉藤①--谷②---渡辺
-八坂--増矢--中島- ---小原--柳瀬②--
---杉田--伊藤--- -----浅野-----
守屋-三浦--三宅-髙瀬 金子-長江--井手②角田
-----武仲----- -----松井-----



INAC神戸レオネッサ 監督:鈴木俊
GK  1 武仲麗依  92/05/18 170/67
DF  2 守屋都弥  96/08/22 165/53
    5 三宅史織  95/10/13 165/52
   11 髙瀬愛実  90/11/10 164/61
   16 三浦紗津紀 96/06/16 163/52
MF  6 伊藤美紀  95/09/10 150/44
    7 中島依美  90/09/27 158/48
    8 杉田妃和  97/01/31 162/53 藤枝順心
    9 増矢理花  95/09/14 160/52
   28 八坂芽依  96/12/05 158/48
   10 岩渕真奈  93/03/18 156/52

控え選手
GK 21 スタンボー華 98/12/24 175/68
MF 13 仲田歩夢  93/08/15 162/54
   23 吉田凪沙  96/10/26 166/52
FW 14 京川舞   93/12/28 163/54
   18 河野朱里  96/12/16 160/56
   22 島袋奈美恵 98/06/10 156/52
   24 水野蕗奈  01/01/31 159/52

藤枝順心 監督:多々良和之
GK 12 松井里央  01/10/20 166/59 富山レディースSC
DF  8 角田菜々子 01/10/11 168/53 藤枝順心SCジュニアユースブルー
   10 長江伊吹  02/03/03 159/51 富山レディースSC
   25 井手ひなた 03/08/10 166/55 PSTC FUKUOKA U-15
MF  5 浅野綾花  01/10/13 162/56 FCヴィトーリア
    6 金子麻優  01/11/05 159/52 藤枝順心SCジュニアユースブルー
    7 小原蘭菜  02/03/21 161/53 豊田レディースSC
   16 柳瀬楓菜  02/06/06 153/47 FC.フェルボール.MIMOSA
FW 13 渡辺凛   01/04/07 157/51 オールサウス石山SC
   20 谷穂花   02/06/05 166/58 FCグローバル
   27 斉藤花菜  03/05/04 165/53 ノジマステラ神奈川相模原アヴェニーレ

GK  1 伊藤三紗  01/09/08 164/65 藤枝順心SCジュニアユースブルー
DF 18 宮本仁奈  02/04/02 166/60 栃木SCレディース
   19 木許和心  02/11/22 155/50 FCヴィトーリア
MF 24 堀内意   03/12/05 168/54 日テレ・メニーナ・セリアス
FW  9 甲斐奈菜美 01/09/20 153/44 アスルクラロ沼津
   11 野嶋彩未  01/10/27 162/52 藤枝順心SCジュニアユースブルー
   26 窓岩日菜  03/08/06 155/44 福井丸岡RUCK



高校女子は常盤木・藤枝順心・日ノ本の3強時代がやや崩れてきているが、依然としてトップにいる藤枝順心である。そのフォーメーションは長らく4-3-3。このゲームでは守備時に両ウイングが引いて4-1-4-1気味だが、攻撃時にははっきり4-3-3である。一方INACはかつてはなでしこリーグの1強だったが、日テレに4連覇を許し、最も恵まれた環境にいながら最強とは言えない。このゲーム、形としては4-2-3-1だが⑩岩渕が自由に引くゼロトップでその天才を活かし、藤枝順心の守備を混乱させる。⑥伊藤が強いパスでノーミスで繋ぎ、⑧杉田が繊細な左足で勝負パスを見せる。⑨増矢はドリブルで無双。高校レベルではちょっと止められない。左サイドバック鮫島がいないのは痛いが、右の髙瀬が⑦中島をフォローする。
5分、INACロングフィードで裏を取った⑨増矢が1対1、DFをかわし決める。1-0。
藤枝順心のいいところは⑯柳瀬⑦小原が体重はないのに必死に身体を張りチャージでINACの自由を奪うこと。中盤で自由にさせていない。つまり単なるテクニカル系チームではなくトータルで強いチーム。そして㉕井手の力強い守備と⑩長江の確実なパスで後方からビルドアップ。しかし悪い癖でINAC相手にゆっくり組み立ててしまう。素早く攻め切ることができない。INAC相手に高校生が完全に崩すことなど至難だ。一つにはアタッカー陣のスピード不足もある。藤枝順心みたいに繋いで崩すチームはアタッカーに上手い選手をそろえてしまう。42分、INAC、右クロスが中にこぼれ⑩岩渕決める。2-0。前半2-0で終了。

ハーフタイムで明らかに通用していなかった㉗斉藤→⑱宮本を右サイドバックに入れ⑧角田を左サイドバック、スピードのある⑥金子を左ウイングに。47分、(後半2分)またも岩渕が決めて3-0。以降INACは余裕の選手交代を織り交ぜて藤枝順心の遅攻を受け流し、余裕で3-0で勝利した。



2019年11月17日(日) 高校選手権和歌山大会 和歌山南陵-和歌山工

高校選手権和歌山大会
和歌山南陵高校-和歌山工業高校
11月17日 10時 紀三井寺陸 ピッチ良 晴



和歌山南陵        和歌山工
---江川--川邊--- -----田中-----
-----渡辺----- --武山----泉②--
宮口-春日--石丸②坂田②神森②岩橋陽岩橋累②小倉②
---森-土居-百々-- ---藪-中正司②岩渕-
-----工藤----- -----山田-----



和歌山南陵 監督:羽畑公貴
GK  1 工藤楽人  3年 165/60 高槻mydFC
DF  5 百々昌良  3年 173/70 海陽中
    2 土居奨真  3年 165/61 吉備中
    6 森陸人   3年 179/69 海南FC
MF 15 坂田達哉  2年 167/55 ジュネッスFC
   18 石丸里生  2年 174/74 サザンウェーブFC
   10 春日雄至  3年 167/62 旭町中
    7 宮口大輝  3年 168/63 富田林第一中
    8 渡辺要   3年 170/54 長坂FC
FW 11 川邊海人  3年 174/68 尾張クラブ
   20 江川公亮  3年 177/75 新池中

和歌山工 監督:大宅光
GK  1 山田尚輝  2年 179/69 アルテリーヴォ和歌山U-15
DF  3 岩渕来玖  3年 177/60 日進中
   15 中正司裕心 2年 173/65 串本中
    7 藪恒星   3年 169/54 東中
MF 14 小倉雄吏  2年 165/53 カナリーニョFCリオ
   19 岩橋累斗  2年 170/57 ミラグロッソ海南SC
   10 岩橋陽世  3年 180/61 和大附属中
   16 神森渚生  2年 170/56 岩出中
   20 泉裕大   2年 160/52 下津第一中
    4 武山遼太郎 3年 171/60 明和中
FW 11 田中彪   3年 173/64 海南中



和歌山南陵監督の羽畑さんは元Jリーガー。サテライトの得点王になったこともある。そしてセンターフォワード⑳江川は羽畑さんに似ている。強烈なパワーで起点になるタイプ。対する和歌山工は古豪。和歌山では新宮や新宮商という新宮勢に和歌山市勢で対抗していた。

さて両者3バックで安全策でスタートする。和歌山南陵はロングボールに⑳江川が競って後方に逸らし⑪川邊が裏抜けを狙う。⑦宮口がアップダウンの激しいキーマンだがクロスは上げられない。対面の和歌山工⑭小倉がウイングバック的なタテへの推進力があるタイプじゃないので、宮口がどんどん押し込む。和歌山工は④武山がエースでキープ出来てターンから仕掛ける。背番号4のアタッカーはたまにいる。ヌワンコ・カヌーの影響かな?って今の若い子は分からないか。93年に日本でU-17世界選手権が開催された時のナイジェリアのセンターフォワードで、96年アトランタ五輪でも対戦した。197cmの長身でテクニックとスピードもあり、未来のフットボーラーと呼ばれたが、心臓の疾患が見つかり、期待ほど大成しなかった。その彼が4番を好んだため、4番のアタッカーが増えた。
⑦藪は左足ロングフィードあり。そして和歌山工はパスも上手くないなりに繋げて、スルーを多用するなど連動性もあるので和歌山南陵を振り回せる。⑪田中はカウンターの起点になり仕掛けてパスを出せてスルーも多用というセンターフォワードらしからぬ選手。
さてゲームは安全第一。サイドも使わず、前線に当てる。守備はタフに走り、中盤の運動量勝負だ。17分、和歌山南陵⑩春日に警告。故意。和歌山南陵は⑳江川は勝てるのだが逸らすことはバレバレで、左足のキープも味方の上がりが遅れて失ってしまう。和歌山工はシュートがないが、ボールを回せて押し気味である。そして24分、④武山が左でキープ、中に出し⑪田中スルー右で⑳泉に渡りシュート撃てたが切り返してその間に戻った和歌山南陵⑥森のスライディングタックルでカット。超決定機。39分、和歌山工④武山キープから⑯神森がミドル左隅。0-1。初シュートで先制した。前半終了。

ハーフタイムで和歌山南陵⑮坂田→⑨土井豊典。いきなり強烈なロングスロー。しかし何というか和歌山南陵はセットプレーがデザインされていないというか、愚直に上げるだけで、⑳江川任せな部分がある。56分、(後半16分)和歌山南陵⑪川邊→⑰伴野大作。右サイドに入って⑨土井がフォワードに。67分、和歌山南陵⑩春日のスルーパスに⑨土井ゴールキーパーと1対1は上に外す。超決定機。70分、和歌山南陵、左コーナーキックに⑨土井がニアでヘッド、和歌山工ディフェンダーライン上ブロック。超決定機。72分、和歌山工⑳泉→⑥芝﨑斗和。74分、和歌山南陵⑧渡辺→⑬三橋由季。78分、和歌山南陵②土居に警告。結局0-1で和歌山工が勝ち、全国へ。

和歌山工はまあ三強(初芝橋本・近大和歌山・和歌山北)ほどの力はないだろう。しかし全員よく走り身体を張り連動してスルーや無駄走りも逃げなかった。たぶん選手自身全国に行く可能性を大会前はそれほど大きく信じていなかったと思うが、それでもどこかで信じていたからこれほど頑張れたのではないだろうか?年末年始、いい思い出を作ってほしい。



2019年11月16日(土) 高校選手権滋賀大会決勝 近江-草津東

高校選手権滋賀大会決勝
近江高校-草津東高校
11月16日 12時15分 皇子山陸 ピッチ並 晴

近江           草津東
-----池田--中村- ---渡邉-------
-冨坂--------- -------夏川---
----森--山中--- 川﨑-小酒井-四元-川畑
金田奈須-末井-今若前田 前川-野崎②-小林-南堀
-----田中----- -----長澤-----



近江 監督:前田高孝
GK  1 田中壱京  3年 174/60 守山北中
DF  2 今若太陽  3年 170/60 MIO東近江
    6 那須日夏留 2年 169/59 FOSTA FC
   18 金田弦也  3年 171/59 粟津中
   20 前田陸   2年 165/53 VALEIA SC
   10 末井友真  3年 169/58 ATS
MF  8 森雄大   2年 174/63 FOSTA FC
   11 山中亮弥  2年 169/57 京都サンガU-15
    7 冨板優馬  2年 172/60 E.C REVANTE
FW 21 中村匡汰  2年 177/68 MIOびわこ滋賀
   14 池田海翔  3年 174/66 VALEIA SC

草津東 監督:牛場哲郎
GK  1 長澤輝   3年 182/70 長浜FAC
DF  3 南堀悠人  3年 175/63 FC SETA
   13 野崎陽登  2年 189/71 FC湖東
    4 小林悠衣斗 3年 171/67 長浜FAC
    2 前川慶輔  3年 173/63 BIWAKO SC 
MF 11 川﨑寛太  3年 174/62 セゾンFC
   10 小酒井新大 3年 177/67 FC湖東
    8 夏川大和  3年 173/65 セゾンFC
    6 四元舜希  3年 172/61 BIWAKO SC
FW 18 川畑雄斗  2年 168/50 長浜FAC
    9 渡邉颯太  3年 179/67 甲南中



草津東は名将・小林先生が定年退職され監督が代わっている。スタイルもややカウンター寄りのチームからポゼッション寄りにシフトしている。近江は相変わらず5バックの超慎重派だが後方で持てるのでビルドアップ時は持ち上がる。そして㉑中村、⑭池田に当てて全体をゆっくり押し上げる遅攻スタイル。草津東は⑨渡邉という絶対的なセンターフォワードがいるので近江としては5バックで深い位置にだけは入れさせたくないのだが、キープされてしまい守備の大前提が崩れてしまう。
5分、草津東⑩小酒井ループはキャッチ。草津東は⑧夏川が渡邉の右引き気味からスペースに飛び出す運動量でかき回す。⑬野崎は圧倒的な高さ・強さに加え左足ロングフィードもあり、来年の中心選手。というかすでに中心選手だが、④小林がより計算が立つ選手なので。⑩小酒井の捌きが的確で押し込める。近江は⑩末井が的確に散らし⑱金田が運べる。8分、草津東、右クロスに⑨渡邉ヘッドは右に外れる。立ち上がり、草津東ペース、というよりシンプルに力で上回る。12分、近江、左コーナーキック、⑧森の右足は草津東マンマークで防ぐ。18分、近江、右コーナーキック、これも⑧森が右足で担当。21分、近江左コーナーキック⑧森の右足に誰か?未確認が決めて1-0。しかしここから草津東が地力を見せる。まず④小林が強烈なロングスローを左右から放り込んでくる。そして⑨渡邉の高さが絶対的でしかも近江は高さが無いのでことごとく苦戦する。24分、草津東④小林の右ロングスロー、中で競って⑩小酒井、左角度のないところから上に突き刺す。1-1。31分、草津東⑧夏川の右コーナーキックに対し近江はゾーンで守りカウンター、左コーナーキックゲット。逸機。35分、草津東⑨渡邉に当てる。渡邉が身体も技術も受け方の巧さもあるのでどうにも止まらない。そのキープから⑥四元右シュート、決まって1-2。この後も草津東は徹底して⑨渡邉に集め、近江は自陣深くで持たれてしまう。前半1-2で終了。

前半シュート数2対5、ファウル数4対0。近江は5バックだから後方で回すのだが、渡邉は追わないし持ち上がったらカウンター時怖い。2人がかりでも止められないから5バックは崩しにくい。フットボールはピッチ内の責任はあくまで11分の1だ。しかし⑨渡邉が強すぎて別次元。身長は足りないが動き出しの良さも含め大学経由でもプロを狙えるのではないか?

後半開始。草津東、いきなり左裏に流れて受けた渡邉に対し、近江ゴールキーパー①田中がぶつかり警告。故意。身体を当てねば決定機だったのでナイスファウルだ。46分(後半6分)、草津東⑱川畑→⑯川東孝太郎。48分、近江左クロスに草津東ゴールキーパー①長澤と近江⑪山中ぶつかるがノーファウル。49分、近江、後方でのパスを草津東⑨渡邉カット、持ち込むがシュート寸前に近江⑩末井が素晴らしいスライディングタックルでブロック。超決定機。その右コーナーキック⑧夏川のキックこぼれを再び⑩末井ナイススライディングタックル。更に⑱川畑の右クロスはゴールキーパー①田中がナイスキャッチ。近江、必死に守る。54分、近江㉑中村ナイスターンからシュートが右隅を襲うが草津東ゴールキーパー①長澤ナイスセーブ。⑨渡邉、どこか痛めたか、足を伸ばしている。61分、草津東④小林のロングスロー、中で競って⑩小酒井が左でドリブルシュート、決まって1-3。ここで近江⑳前田、㉑中村→⑬市田倫久、⑮岡村翔生。走力を削られているので運動量アップ狙いだろう。しかし大勢は変わらず。72分、近江右から左の⑦冨坂に渡りシュートに行くがスライディングタックルでカット。73分、草津東⑥四元→⑮宇野颯人。近江②今若→勝間斗河。74分、草津東⑨渡邉→㉕藤田大地。機動力のある選手。その後近江にシュートチャンスが増えるが枠に飛ばない。79分、草津東⑪川﨑、③南堀→⑲木村成寿、㉓西川裕。結局草津東が1-3で快勝した。
結局⑨渡邉が止まらなかった。これに尽きる。④小林のロングスローに対して高さ負けした近江はとにかく高い選手を起用しなければどうにもならない。コーナーキックもゾーンで守るには高さが足りない。これしか戦い方がなかったものか……。

全国に行く草津東だが渡邉が軸になる。もう少し⑩小酒井を中心とした中盤のパスを素早くしたい。中盤の強さが売りだが、攻守に渡りもう一段階上げたいところだ。



2019年11月10日(日) 高校選手権奈良大会準決勝 五條-生駒 香芝-一条

この日の会場の橿原公苑陸はピッチが荒れていると聞いていたが思ったほど悪くはなかった。「良芝」とも表記できないが……。


高校選手権奈良大会準決勝
11月10日 11時 橿原公苑 ピッチ並 晴
五條高校-生駒高校

五條           生駒
--和田谷②-菅田--- ---中町--西田---
------------ ------------
小西-瀬羅--池田-井澤 加来②石川-中谷-市来崎②
米川-和田--吉田-井本 丸山②藤巻②-津田-浦井
-----中尾----- -----巽------



五條 監督:吉岡一也
GK  1 中尾優貴  3年 180/72 ディアブロッサ高田FC U 15(ママ)
DF  5 米川優希  3年 170/61 高市中
    3 和田拓海  3年 173/63 五條フットボールクラブ
   15 吉田真都  3年 182/68 御所中
    2 井本郁弥  3年 170/62 白鳳中
MF  7 池田達哉  3年 180/65 ディアブロッサ高田FC U 15(ママ)
   18 小西拓海  3年 175/68 桜井西中
   11 瀬羅威吹  3年 167/56 ディアブロッサ高田FC U 15(ママ)
   24 和田谷蓮貴 2年 165/56 五條フットボールクラブ
FW  9 井澤悠   3年 170/63 ディアブロッサ高田FC U 15(ママ)
    8 菅田剛平  3年 174/66 ディアブロッサ高田FC大和 U 15(ママ)

生駒 監督:古田泰士
GK  1 巽旭陽   3年 175/73 天理フットボールクラブ
DF  4 丸山琳久  2年 170/57 奈良クラブジュニアユース
    5 藤巻祐翔  2年 174/64 奈良クラブジュニアユース
    2 津田心平  3年 174/63 緑ヶ丘中
    3 浦井たくや 3年 170/60 法隆寺フットボールクラブ U 15(ママ)
MF  9 秋山じゅん 3年 177/65 SOLESTRELLA NARA2002
    8 仲谷綾太  3年 170/63 奈良クラブジュニアユース
    6 加来優斗  2年 162/56 YF NARATESORO
    7 西田瑛達  3年 166/56 SOLESTRELLA NARA2002
   14 市来崎裕也 2年 165/56 郡山中
FW 11 中町拓磨  3年 170/63 法隆寺フットボールクラブ U 15(ママ)

生駒のインサイドハーフについて。場内発表では

10 石川陽真 3年 166/58 SOLESTRELLA NARA2002



に聴こえたしピッチ内でも10番に見えるが、場内放送では9番に聴こえたので併記する。たぶん10番が正しい。場内放送があまりよくない。

五條の瀬羅威吹について。百人一首の「かくとだに えやは伊吹の さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを」の「えやはいぶきの」と「せらいぶき」と語感が似ている。命名の由来だったりして。「燃ゆる思ひ」というのも命名っぽいし。

両チームの特徴がアップ時から出ている。五條はドリブルからアップ。生駒は対面パスからアップ。つまり五條は徹底的にドリブルするチームで、関西では野洲や久御山、興國などが同系統のチームである。そもそも吉岡先生はドリブルで知られるディアブロッサ高田の故中瀬古先生の片腕だった。夏の全国高校総体奈良県代表。対する生駒は耳成高校時代時代にゴールキーパーとして全国に出た元Jリーガーの古田先生のチーム。正統派として後方で大きく回し丁寧に繋ぎ、相手る選手を使いピッチの幅をフルに活用するパスサッカーだ。更に香芝を都会的でスタイリッシュなショートパスサッカーで全国に導いた米原先生も昨年からコーチにいる。(注:情報をいただき米原先生が今年度より大阪の金光大阪高校へ転任されたとのこと。奈良の県立高校から大阪の私学ということは教師としての身分は不確実になりそうだが、それだけサッカーに賭けていらっしゃるのだろう)イマイチ壁を越えられなかった生駒がこれからどうなっていくか。得てして壁を超える時が一番きつい。力で無理やり超えるか、勢いに乗ってポンと超えるか。逆に名門校・強豪校というものはたとえ劣勢でも粘って勝機を見出すものである。双方中体連が多いのも特徴だ。つまり高校に入ってからきっちり育成している証左だろう。

さて試合はやはり予想通りの展開となった。五條⑨井澤は昨年の観戦記でも本山雅志に例えたが、技術と一瞬の加速、相手を見て逆を取るドリブルで密集を突破していく。身体はないがプロで見たい選手。⑧菅田もポストをこなしつつ本質的にはドリブラーで前を向けば仕掛けていく。⑦池田は失わない選手で相手を潰しつつタメを作り、小さくなりがちな五條にあって大きく展開し、空いたサイドを使う。⑪瀬羅は判断が素早く正確でしかも大胆だ。⑮吉田は詰める一歩目が早く、対人マークが得意だ。身長はあるがむしろ地上戦がいい。①中尾は後方から声で統率。五條のイメージから来る繋ぐタイプではなくて割と蹴ることが多いがキックが伸びる。
対する生駒でまず目を引くのが左サイドバック④丸山で五條⑨井澤に対峙するから守備の意識が高いのだが守→攻に切り替わった途端素早い判断で上がりタッチライン際を駆け上がる。この頭の回転の速さ、運動量は素晴らしい。対人守備では井澤に苦戦するがこれから良くなっていくだろう。他の選手と連動して守る戦術眼も素晴らしい。しかもまだ2年生だ。ゴールキーパー①巽は古田先生の指導もあってかほぼ完ぺきに見える。声出し、ハイボールの処理、ビルドアップ、ロングキック。上背がないのが惜しいが大学レベルまでなら十分やれそうに見える。⑤藤巻、②津田のセンターバックコンビの連動とビルドアップもいい。大きく開きゴールキーパー①巽とともに後方から丁寧に組み立てる。一方で前線は細かく鋭いパスに欠け、対人守備の得意な五條に止められてしまう。
さてゲームだが双方ロングキックがほぼなく、したがってオフサイドもまるでない丁寧なゲームである。ロングスローもなく、タッチから丁寧に繋ぐ。8分、五條左コーナーキックに対し生駒は元Jリーガー監督らしくゾーンで守り、これに対し五條は枠をとらえたキックを生駒キーパー①巽がこのゲーム唯一のミス、パンチミスが五條に正面に、至近距離ヘッドは正面に飛びキャッチ。決定機。14分、五條⑨井澤、右から3人抜きドリブルからスルーパス、㉔和田谷が倒れるが明らかにPKではない。18分、⑪瀬羅の右シュートは上に外れる。20分、五條⑦池田タメて⑨井澤がタテに仕掛けクロスは中にカット。井澤はサイドアタッカータイプではないがそのようなプレーもできる。更に⑧菅田ドリブルから㉔和田谷潰れ⑱小西へ、しかし生駒センターバック②津田がきっちり止める。いい形。22分、五條、左フリーキック、⑪瀬羅のキックに⑤米川ボレー、当たり損ね。生駒はゴールキーパー①巽がいきなりロングキック、⑪中町が頭で後方に逸らし⑥加来が左足ボレー、左を襲う。決定機。よくデザインされたプレー。25分、五條⑨井澤の右クロスにこぼれを⑦池田がはたくが奪った生駒がカウンター、④丸山が素早い切り替えで上がるロングカウンター⑪中町がタメて⑦西田が右クロスにニアに中町詰めるが合わず。しかし生駒右コーナーキック、五條もゾーンで守る。もうすっかり高校サッカーでもコーナーキックの守備がゾーンなのはトレンドだ。日本代表でトルシエ監督が採用したときは心無い評論家にボロクソに言われたものだが。しかもその評論家連中は責任も取らず相変わらず放言しているが。34分、五條⑨井澤から⑦池田、⑱小西に繋ぎ生駒がゴールラインに逃げ、左コーナーキック。⑨井澤のキックは実らず。36分、五條⑦池田が中盤で奪い50メートルをドリブル、からパスもオフサイド。38分にも五條右コーナーキックだが、生駒のゾーンを崩せる気配がない。前半終了。0-0。五條ペースながらも生駒も守備がいいチームらしくきっちり守った。

前半シュート数6対2、ゴールキック数4対1、コーナーキック数4対5、オフサイド数1対1、クロス数3対2、ファウル数2対3。極めてフェアなゲームだった。当然危険な位置でのフリーキックもなし。フェアというか、双方守り方がいいからファウルをする必要性がない。

筆が乗って字数オーバーペースなので後半は比較的簡単に。44分(後半4分)、五條、左コーナーキック、⑪瀬羅のキックに②井本競って㉔和田谷左ミドルが右隅を襲うがゴールキーパー①巽ファインセーブ。決定機。53分、五條、左からの攻め、⑧菅田が密集を細かいドリブル突破左パスに詰めた⑨井澤が流し込むだけ。1-0。9割がた菅田のゴールだった。こうなったら生駒が更に後方で大きく回しサイドバックの上がりを活かしたいところだが活かせていない。やはり攻撃得意の米原先生の高速パスはまだ浸透していないのか。57分、⑪瀬羅がドリブルからスルーパス、㉔和田谷シュートはわずかに左。決定機。19分、五條⑱小西→⑩中山幹太。判断の早い選手でドリブルの決断もはやい。64分、五條⑪瀬羅が豪快なヘッド、右コーナーキックへ。生駒③浦井→?。右センターバック②津田が右サイドバックに。69分、生駒⑧仲谷の右コーナーキックこぼれを蹴り出すも④丸山左クロス、しかし五條ゴールキーパー①中尾素晴らしい飛び出しでキャッチ。71分、生駒⑭市来崎→㉒西岡將瑛。五條⑧菅田→⑳齋藤蓮。74分、五條⑪瀬羅が中盤で持ち30メートルを豪快に振りぬき左隅に突き刺す。圧巻のスーパーミドルだった。2-0。これでは生駒のゴールキーパー①巽もどうしようもない。75分、五條②井本→⑬辰巳遼河。井澤が足を攣る。五條は時計を進め、ロスタイム3分、⑨井澤→⑰𠮷田歩樹。結局五條が個人能力の高さを見せて勝利した。

やはり五條のドリブルは全国でもトップレベル。守備のいい生駒をドリブルで崩してしまった。生駒はまたしても壁を破れず。一度壁を越えて全国に行けばチームとして見える景色が変わってくると思うのだが。とは言え持ち味は発揮したゲームだったのではないでしょうか。出来れば好サイドバック④丸山あたりをもう少し活かしたかったが。










高校選手権奈良大会準決勝
香芝高校-市立一条高校
11月10日 13時30分 橿原公苑陸 ピッチ並 晴
香芝           一条
---米田--中山--- ---梅景--佐藤---
------------ ------------
福井-田中--八田-山岡 松山-樋口②山田跳山田将
山本-中村--西岡-吉武 片山②-要--大谷②平井
-----田中②---- -----平井-----



香芝 監督:御神本真一
GK  1 田中夢玖  2年 178/64 法隆寺フットボールクラブ U 15(ママ)
DF  4 吉武和真  3年 166/57 香芝北中
   13 西岡祐弥  3年 163/62 法隆寺フットボールクラブU 15(ママ)
    3 中村圭太  3年 170/60 畝傍中
    2 山本達也  3年 165/56 法隆寺フットボールクラブU 15
MF  8 山岡杏輔  3年 168/59 東和フットボールクラブジュニアユース
    5 八田紘輝  3年 171/55 法隆寺フットボールクラブU 15(ママ)
    7 田中翔基  3年 176/62 F.C.Anillo
   11 福井翼   3年 163/48 ディアブロッサ高田FC大和U 15(ママ)
FW  9 米田敏也  3年 173/57 香芝東中
   10 中山草太  3年 170/54 奈良クラブジュニアユース

一条 監督:澤井匡生 部長:前田久
GK  1 平井遥希  3年 173/67 法隆寺フットボールクラブU 15
DF 13 西岡祐弥  3年 163/62 法隆寺フットボールクラブU 15
    3 大谷泰雅  2年 184/68 スクデットフットボールクラブ
    4 要隆太   3年 180/73 F.C.Anillo
   22 片山裕人  2年 170/62 奈良YMCAサッカークラブジュニアユース
MF  9 山田将也  3年 168/58 富雄南中
    6 山田跳馬  3年 181/68 法隆寺フットボールクラブU 15(ママ)
    8 樋口翔大  2年 168/60 ディアブロッサ高田FCU 15(ママ)
   11 松山知樹  3年 173/63 名張FCテコス
FW 10 佐藤力丸  3年 169/60 ディアブロッサ高田FCU 15
    2 梅景俊輔  2年 176/65 奈良YMCAサッカークラブジュニアユース



このカード、リーグ戦では香芝が3-3、4-2と1勝1分けである。

一条について。部長と監督を併記したのは昨年まで長年監督を務められた前田先生が今年から監督を退かれたからだ。一条は市立校のため転任が少なく、長期政権が可能だ。前田先生といえば、それまで奈良育英の1強が続いた奈良県において一条に当時奈良では斬新なバックラインを押し上げてのプレッシングからのショートカウンターを完成させ2強体制を作り上げた。当時は裏を再三とられたが完成度が上がり、高校レベルではプレッシングをかわせる高校はほぼなくなった。他方、プランBを用意できず、一時4-3-3にして繋ぐスタイルを模索した時期もあったが、前田先生はそちらの戦術指導は不得手だったのか上手くいかなかった。そして今の奈良県ではプレッシングからのショートカウンターといってもむしろ対戦相手は一条相手に繋がないことが多いし、そもそもしっかり繋ぐサッカーでなければ全国上位には勝ち進めない。そういう事情で、そういう指導に適した先生を監督にしたのではないか?澤井先生もA級ライセンスを持っている。だから今年の一条は全くのニューモデルだ。
対する香芝は米原前監督のショートパスサッカーの精度が落ちてはいるが、今のところ力を維持しており、相変わらず奈良県上位の力を持つ。2強時代の奈良を崩したのは香芝だった。2010年、奈良育英をPK戦で破って県代表になった。ただしその年は平城遷都1300年祭を優先して高校選手権奈良大会には行かなかったのだが、まさにその日に香芝が勝ったのだった。

一条において2番は守備のエースナンバー。いい左センターバックがつけることが多いが、今年はレフティーのフォワード②梅景がつけている。エースナンバーは各校異なるが2番は珍しい。ゲーム前の紹介で放送設備が悪いこともあり、「2番がいない?」と驚いたがフォワードだった。
さて立ち上がり、一条がバックライン、時にはゴールキーパー平井も加わり後方で大きく回す。これに対し香芝は何とか前から追うが守備が連動してなくて奪いどころがない。また観る限り攻撃時にボールが集まり仕掛けられる⑨米田やスペースに走れる⑩中山は中心選手で「走れるだけ走って交代」という作戦を採りにくい。そのため一条はじっくり回し空いた中盤を使い丁寧にビルドアップ。香芝を振り回す。しかし香芝も中盤インサイドとサイドをバランスよく使い、立ち上がり互角である。一条は左サイドバック㉒片山が鋭く上がり変化をつける。これに対し香芝は⑧山岡が気を取られ、徐々に右から押し込まれる。14分、一条、左で細かくつないで⑧樋口の左クロスに⑩佐藤が5メートルのスタンディングヘッド、丁寧に逸らすが右に外れる。そして18分、一条ゴールキーパー①平井のロングフィードに香芝バックラインとゴールキーパーが互いに躊躇、バックラインはついていかず、ゴールキーパーは出ない裏に一条⑩佐藤が飛び出し難なくループを決めて先制。0-1。これは香芝痛恨のミスである。動揺が走るのが手に取るように分かった。非常に痛い。直後に一条②梅景が引いて左足ロングフィード、またしてもバックラインとゴールキーパーの間に落ち、走り込んだ⑩佐藤ループ、今度は外す。超決定機。完全にまずい。26分、一条⑨山田の右クロスのファーにフリーで走り込んだ⑪松山決めて0-2。明らかに香芝は動揺・混乱している。この時点で思ったのは前半何とか耐えてくれ、このままだとショッキングなゲームで高校サッカーを追える選手も出る、ということだった。以降も一条は⑧樋口の左コーナーキックにファーにフリーで誰か飛び込むなどチャンスを作り、一方的に流れをつかむが、得点ならず前半は0-2で終了した。ハーフタイムが非常に重要になる。特に香芝にとって。

ハーフタイムで香芝はメンタルを立て直したらしく連係ミスはなくなったが、一条の流れは変わらない。いきなり⑩佐藤が右に現れてクロスにファーで⑪松山フリーで現れて上に外す。超決定機。一条⑩佐藤は流れるし自らドリブル突破もあり捕まえにくい選手。おまけにポスト役の②梅景もただ前で張っているだけでなくポジションを入れ替え柔軟なスタイルだから一条のアタッカーはマークしづらい。一条の攻勢が続き、20分、たぶん㉒片山の左クロスにニアに⑪松山飛び込み浮かせて決める。0-3。これで勝負はほぼ決まった。力では一条だし、流れも一条だ。高校生のメンタルだから分からない、というにはメンタル的にも香芝が苦しい。香芝⑦田中→⑥安井大生。63分、一条⑨山田→⑦岩本涼太。24分、香芝⑧山岡→⑭井手上僚兵。フォワードに入り⑩中山が右ハーフに。むろん前から追うためだ。一条㉒片山→⑲香取拓真。右サイドバックに入り、右の⑬西岡が左サイドバックに回る。71分、一条⑧樋口→⑰藤武樹。73分、一条⑬西岡→⑱谷口凛太朗。78分、一条⑩佐藤→⑭山敷裕也。ロスタイム3分のラストプレー、一条右コーナーキック②梅景の左足に香芝オウンゴール。0-4。結局一条が大勝した。

香芝としては非常にショッキングな負け方だっただろう。僅差の勝負に持ち込める力はあったのに、みすから失点して崩れてしまった。観ている方もショッキングだった。一条はトータルで強いチーム。全国で勝てるスタイルだ。土台を築いた前田先生は偉大だったが、監督職を譲るということはなかなかできない。今年のチームはそれが上手くいっている印象だ。一方的な展開であまり触れられなかったが、③大谷と④要の両センターバックはノーミスだった。やはり一条はセンターバックがいい。

決勝について。昨年が五條が回し一条がタテに速いカウンターだったが今年は構図が逆になるだろう。五條はカウンターから単独で局面打開できるチーム。勝負は何とも言えない。



2019年11月09日(土) 高校女子選手権関西大会準々決勝 大商-八商 神戸弘陵-大阪学芸

高校女子選手権関西大会準々決勝
大商学園高校-八幡商業高校
11月9日 三木防災公園球技場1 11時 ピッチ良 晴

大商学園         八幡商
---大住②-福田--- ---松原①-林①---
------------ ------------
宮本②北田--北岡①河原②村田-森川②-池田②山田②
田中-伊東②-渡邊-誰々 -東②岸田②-小田①秋道
-----竹下②---- -----藤井①----



大商学園 監督:岡久奨
GK  1 竹下奏彩  2年 02/10/21 INACレオンチーナ
DF
    3 渡邊澪   3年 02/10/02 FC GRAHRIO SUZUKA
    4 伊東珠梨  2年 02/10/02 FC GRAHRIO SUZUKA
    2 田中万梨乃 3年 01/10/10 INACレオンチーナ
MF 13 河原林紬  2年 02/10/28 スマイルセレソン
   14 北岡梨愛里 1年 03/08/12 INACレオンチーナ
    5 北田琴理  3年 01/08/08 楠クラブ
    8 宮本妃菜里 2年 02/08/24 RESCGIRLS U-15
FW 19 福田陽菜  3年 01/09/20 SC鳥取プエデU-15
    7 大住六花  2年 02/10/17 徳島ラティーシャ

注:渡邊澪は3年生表記でありながら2年生の学年生まれになっている。④伊東と間違って記載されたものと思われる。

八幡商 監督:森薫
GK  2 藤井百花  1年 03/07/04 JOYクオリアント
DF  5 秋道花音  3年 01/12/14 彦根東中
   14 織田真由  1年 03/04/13 INAC神戸U15
   15 岸田亜莉沙 2年 02/05/19 JOYクオリアント
   16 東真理亜  2年 02/07/17 日吉中
MF 17 山田望佑羽 2年 02/05/31 JOYクオリアント
   12 池田鈴花  2年 03/01/30 ルネス甲賀レディース
   18 森川亜南  2年 03/01/30 JOYジュニアユース
   10 村田樹里  3年 01/08/29 栗東リブロFC
FW 19 林真寿   1年 03/07/21 JOYクオリアント
   20 松原心海  1年 03/05/17 MIOびわこ滋賀レディースU-15



八商は意外に引かない。②藤井の大声での指示で押し上げ、マークを離さない。サイドは大商⑧宮本の左足を駆使した仕掛けと八幡商⑤秋道の間合いの取り方の上手い守備がカギになる。大商学園は後方で大きく回し③渡邊④伊東のビルドアップやロングフィード、、そして⑲福田に納まり、しかも福田も流動的で捕まえにくいが八幡商も巧みに受け渡す。
8分、大商⑧宮本の左足右コーナーキック、バーをかすめる。18分、大商ベンチの指示で⑧宮本がフォワードに⑦大住が左サイドハーフに。その直後⑲福田のポストから左に出し⑦大住が蹴り込んで1-0。24分には大商⑭北岡の正確な右足左コーナーキックにファーで⑤北田高いヘッドで2-0。北田はビルドアップにも加わりパワーと正確なキックを兼ね備えた選手で北岡戸のインサイドは失わない。35分には大商学園ミドルのこぼれを⑲福田が蹴り込み3-0。前半を3-0で終えた。勝負ありとみてもう一方のピッチに移動する。結局大商が勝ち全国へ。

なお前半のスコアは分からないが和歌山北対京都精華は予想通り京都精華が大量リードらしい。しかも保護者の話では主力を温存、手の内もすべて隠して余裕のゲーム運びらしい。
後半はこちらを観たが、ずっと反対サイドで進み、京都精華がかつてのドリブルチームのイメージからショートパスで崩すチームになって、まあ和北が密集で守っているというのはあるが、とにかくハーフコートマッチで全く分からなかった。結局京都精華が勝ち全国へ。




高校女子選手権関西大会準々決勝
神戸弘陵高校-大阪学芸高校
11月9日 三木防災公園球技場2 13時30分 ピッチ良 晴



神戸弘陵         大阪学芸
-----竹内②---- ---新田--矢野---
木村-河村-鈴木②坊ノ内② ------------
-----大場①---- 山本-小林--前原-永田
村上①太田--遠山①三丸②小原-谷口--速見-中尾
-----合田②---- -----津田-----



神戸弘陵 監督:山口実奈美
GK  1 合田朱里  2年 02/06/18 神戸LFC
DF  2 三丸あい  2年 02/11/22 西宮女子FC
    3 遠山清颯  1年 03/04/18 緑ヶ丘中
    4 太田千颯  3年 01/04/29 鳴門ポラリスLFC
   21 村上あい  1年 03/11/21 アルベロ神戸
MF  6 大場柚季  1年 04/01/03 バニーズ京都SC
   14 坊ノ内希愛 2年 03/01/26 矢渕中
    8 鈴木陽茉理 2年 02/05/21 福知山JSC
    7 河村祐実  3年 01/09/08 神戸LFC
   10 木村美桜  3年 01/04/20 神戸LFC
FW 11 竹内彩加  2年 02/12/19 FC今治

大阪学芸 監督:副島博志
GK  1 津田明日翔 3年 02/01/08 美津島中
DF  2 中尾純菜  3年 01/06/06 INAC神戸レオンチーナ
    5 速見リカコ 3年 01/06/16 ヴィスポさやま
    4 谷口涼   3年 01/12/12 A.C.Sakai
    3 小原愛生  3年 02/01/07 大阪桐蔭アスリートクラブ フラミンゴFC
MF 11 永田晶子  3年 01/12/27 セントラル豊橋レディース
    6 前原日向子 3年 01/11/13 LEON福岡U-15 
   10 小林結奈  3年 01/08/06 大阪桐蔭アスリートクラブ フラミンゴFC
   14 山本菜々美 3年 02/03/05 INAC神戸レオンチーナ
FW  9 矢野梨紗  3年 01/11/21 INAC神戸レオンチーナ
    7 新田萌夏  3年 01/09/07 ヴィスポさやま



大阪学芸が大きく回しポストに当てて押し込むが神戸弘陵も必死に耐え終盤勝負へ。結局0-1で大阪学芸が勝ち全国へ。



2019年11月04日(月) 高校選手権京都大会準々決勝 洛北-京産大附 山城-東山

高校選手権京都大会準々決勝
洛北高校-京都産業大学附属高校
11月4日 宝ヶ池 9時30分 人工芝 晴


洛北           京産大附
-----十一----- -----九番-----
-九番------十番- 七番-十四--二十-十一
-六番--七番--八番- -----八番-----
二番-三番--四番-五番 五番-二番--三番-四番
-----一番----- -----十二-----



洛北(選手名は高校選手権予選決勝のテレビ放送による)
GK  1 竹村直哉
DF  2 森顕登
    3 伊藤颯真
    4 大西りく
    5 久世道大
MF  6 湯浅裕貴
    7 長元真夢
    8 中島悠
FW  9 横田裕澄
   10 友守奏太
   11 山嵜洸太朗



立ち上がり洛北センターフォワード11番を京産大附は誰が見るが曖昧で危なっかしい。7分、洛北、右クロスに11番、中でトラップも事なきを得る。京産大附は8番が心臓で右足フリーキックも蹴る。14分、洛北8番の右クロスにニアで京産大附オウンゴール。ファーネットへ。直後にも洛北ロングフリーキックに11番逸らし右に外れる。決定機。18分、洛北、右クロスに10番中に突っ込むが外れる。超決定機。洛北は完全に勢いに乗っている。更に9番の右クロス、10番マークを上手く外しフリーも届かず。23分、洛北ミドルは左上を襲うが京産大附キーパーナイスセーブ。決定機。その右コーナーキック、5番がアウトにかけ7が競るが外れる。25分、洛北カウンターから2対2、9番シュートはセーブ。超決定機。直後に右フリーキック、11番逸らし右隅に決まる。2-0。32分、洛北9番→14番。洛北はコーナーキックに対して京産大附はゾーンで守るがふわっとしたというか、最後マークを外されている感じがする。38分にも洛北は左右のクロスが入り、終始勢いに乗ったまま洛北が2-0で折り返した。

後半も洛北ペースで入り、50分(後半10分)、京産大附11番→10番。11番は身体を張り続けた。10番は左ハーフ、14番が右ハーフ、20番がボランチに入り7番がシャドーと大きく布陣を変える。これが功を奏し左右のフリーキック、2番の左足、8番の右足が威力を増す。そして58分、洛北キーパーのミスから京産大附20番カット、7番が決めて2-1。直後に洛北2番に警告。64分洛北左クロスはバー。バーというのは決まらなかったということでもあるが、あの乾いた音は攻撃側に勢いを取り戻させる効果音というイメージもあり、再び洛北の流れに。70分、京産大附4番→6番。身体を張り続けたキャプテンを下げざるを得ないということ。71分、京産大附、裏を取った6番シュートはセーブ。超決定機。72分、京産大附、その右コーナーキック7番の右足は実らず。結局追撃実らず勢いのまま洛北が2-1で勝利した。




高校選手権京都大会準々決勝
山城高校-東山高校
11月4日 宝ヶ池 11時30分 人工芝 晴

山城           東山
---十番--十一--- -----十番-----
------------ -----七番-----
九番-六番--八番-十三 二十-十六--六番-八番
七番-二番--三番-四番 五番-四番--三番-二番
-----十二----- -----一番-----

洛北の先生が山城で実績があり、石塚のいた代に全国高校選手権準優勝した(もっとも石塚はケガでイマイチだった)のとは逆に、山城の先生は洛北で実績のある山岡先生である。チームとしては基本的に背番号が1~11が並ぶことが多くつまりレギュラーを極端に固定する傾向にある。基本的にはタテに速いスタイル。対する東山は中盤を厚くしサイドに蓋をするスタイルで、つまり今年のチームは対京都橘に焦点を絞ったチームだ。しかし京都橘以外の力のあるチーム相手にはどうだろう?という気もする。
さて東山はスピードのある両サイドバック、6番の左足、10番の動き出しと裏狙いなどで勢いに乗り早々に先制。24分、10番が左突破からグラウンダークロスに8番ワントラップ右シュートで2点目。前半0-2。
後半、右裏を取った10番のシュートで0-3。更に20分、交代出場24番の左コーナーキックに24番の右シュートで0-4とし、15番をいれて10番を右ハーフに回す余裕も見せ結局0-4で圧勝した。

なお東山は対京都橘以外では、という懸念通り準決勝で洛北に敗れた。



2019年11月03日(日) 高校選手権大阪大会準々決勝 阪南大高-履正社

高校選手権大阪大会準々決勝
阪南大高-履正社高校
11月3日 鶴見緑地 11時 人工芝 晴


阪南大高         履正社
---篠畑--清水--- ---藤原--榮----
------------ ------------
窪田-中村--河上-柳- 笹尾-平岡--上西-下野
小西-高木--橋本-北村 中尾-加藤--二二-七番
-----中本----- -----二一-----



阪南大高
GK  1 中本汐音  3年 ディアブロッサ高田
DF  4 北村隼   3年 千里丘FC
   19 高木践   3年 SCエルマーノ大阪
    2 橋本直旺  3年 ガンバ大阪門真
   13 小西宏登  2年 FC] VOLENTE 大阪
MF 10 窪田伊吹  3年 セレッソ大阪和歌山
    7 中村陽紀  3年 千里丘FC
   17 河上愛斗  2年 川上FC
    6 柳武輝   2年 伊丹FC
FW  9 篠畑純也  3年 奈良YMCA
   18 清水健生  2年 柏田SC

履正社 監督:平野直樹
GK 21 フジワラトウキ
DF  3 加藤千理  3年 ハジャスFC
   22 マエダカンタ
   16 中尾英峻  3年 FC Lazo
    7 イケダヨシハル
MF  5 上西竜司  3年 千里丘FC   
    8 平岡太陽  2年 セレッソ大阪西U-15
   11 下野桂吾  3年 ガンバ大阪ジュニアユース
   14 笹尾拓斗  3年 IFC VIENTO
FW 10 藤原聖大  3年 木津南中
    9 榮龍生   3年 千里丘FC



阪南大高はプレッシングから素早い判断で攻めるチーム。いい時は相手に何もさせず勝つ。対する履正社は⑤上西がしばしば引いてきてビルドアップに加わり、守備では激しく絡めとる。そしてサイドから仕掛ける。共にプレミア経験校なので守備意識は高い。現在は阪南大高がプリンス関西の上位、履正社が大阪府1部の上位である。
まずコイントスでピッチ交代。履正社キーパーは帽子をかぶる、と思ったらゴール前まで行ったら脱ぐ。
立ち上がり、やはり阪南大高はプレッシング。要は⑲高木でバックラインを操り、④北村も動き出しが早い。⑩窪田はドリブラー、⑥柳は速い。⑨篠畑が分かりやすいエースで⑱清水が長身ポスト役。
対する履正社は22番がロングフィードやサイドチェンジを狙っていて③加藤もロングフィードがある。このセンターバックコンビを軸に⑪下野が右から仕掛ける。
3分、阪南大高、右80度35mフリーキック、⑦中村(右足)⑬小西(左足)が構える。⑦中村が入れるがクリア。5分には左フリーキックも逸機。この時間帯、履正社は⑤上西が引いて5バック気味で守る。16分、阪南大高⑬小西の左足右コーナーキック、阪南大高はゾーンで守り跳ね返す。19分、阪南大高⑲高木のロングフィード、⑨篠畑のトラップが大きく逸機。履正社は右コーナーキックを⑤上西が右足で蹴る。まさに攻守のキーマン。30分頃、阪南大高のプレッシングが緩くなる。33分、履正社⑤上西のロングフィードに⑨榮飛び出すが、阪南大高キーパー①中本が飛び出し事なきを得る。38分、阪南大高⑦中村の左コーナーキックにファーで⑱清水ヘッドはクリア。前半は0-0で終了。

ハーフタイムで履正社10番→⑲カンダタクミ。途中で阪南大高18番、17番→14番、16番。↓の布陣。

十番---九番---十六 ------------
---七番--六番--- ------------
-----十四----- ------------
十三-十九--二番-四番 ------------
-----一番----- ------------

総合力で優る阪南大高が攻勢を増した形。履正社9番→13番。レフティーらしさを発揮できず。
後半20分、阪南大高、左コーナーキックにニアで⑲高木ヘッド。1-0.履正社14番→6番。28分、履正社もミドルから追いつくがロスタイム、阪南大高のロングフィードに飛び出した16番が切り返して倒されPK。これを⑲高木が右隅へ。キーパーはあえて動かなかったが高木は動じなかった。結局、2-1で阪南大高が準決勝進出。



2019年11月02日(土) 高校選手権香川大会準決勝 香川西-寒川 丸亀-大手前高松

何故高校選手権香川大会まで足を運んだのか説明しよう。今年は関西外で未見の激戦区に足を運ぶ方針にした。四国で全国制覇により近いのは徳島、というか徳島市立だろう。しかしおそらく徳島は層が厚くない。香川は層が厚い。元々高松商の1強だったが香川西の台頭で香川西の1強となった。しかしライバル校も台頭し、サッカー留学が多い香川西だけでなく、地元の育成も充実してきた。フットサルでも寒川が全国上位に入り、これから
どんどん強くなっていく地区であることが容易に予想される。そういう理由だ。

寒川はフットサルで観たことがある。そのときは全国ベスト4だった。当然スキルフルなチームと予想された。一方の香川西は今期観たプリンスリーグでは今治東に2-6と完敗を喫した。いかに強豪でもチーム状態が気になった。

高校選手権香川大会準決勝
四国学院大香川西高校-寒川高校
11月2日 11時 生島 ピッチ良 晴


香川西          寒川
---十一--十番--- ---二六-------
------------ -------九番---
九番-七番--六番-八番 十四-二七--八番-十三
二番-四番--三番-五番 十番-五番--三番-二番
-----一番----- -----一番-----



香川西
GK  1 寒川響生  3年 176/61 松茂中
DF  2 水元大貴  3年 167/55 フレスカ神戸
    3 ニラタケル
    4 嶺楽音   3年 164/53 ガンバ門真
    5 小林コウヤ?ユウヤ?
MF  6 クボコウスケ
    7 ハラユイト
    8 
    9 カガケイスケ
FW 10 山内タクミ
   11 宮本

寒川
GK  1 イノリュウヤ
DF  2
    3 ??シンジ
    5 ??カズマ
   10 ??ユウト
MF 13 アオキ
    8 ??
   27 ノセ
   14 ノノムラショウタ
FW 26 渡辺淳   レアルコリーダ
    9 ヤブアツキ 


選手名については聞こえにくい場内放送を耳コピ。情報があればぜひください。プログラム販売はなし。寒川は「かんがわ」と読む。


立ち上がり、安全第一である。8分、寒川、右スルーパスに9番シュートはセーブ。決定機。徐々に寒川が繋ぎ始める。香川西は6番が右コーナーキックを右足で蹴る。14分、寒川カウンターから繋いで右に展開、9番の右クロスは合わず。超決定機。18分、香川西9番→18番。クマノコウジロウ?寒川ロングフィード、香川西DFの間で9番に通りこぼれは弱い。決定機。26分、寒川2番のロングフィード9番競って26番落とし8番シュートは右に外れる。決定機。直後にも寒川26番ポストから9番はたき13番左足で右クロスはカット。香川西も10番のミドルが右を襲うがセーブ。決定機。35分には寒川ボレー、決まらず。その右コーナーキック、26番が右足で蹴る。結局前半は0-0で終了。

前半シュート数3対5、コーナーキック数2対1、ゴールキック数4対4、クロス数7対5、ファウル数3対4。

決定機数から分かる通り寒川ペースだったが香川西GK①寒川(ややこしい)の大活躍で耐えた。11人制で寒川を観るのは初めてだがテクニカルなだけでなく大きな展開もあり、トータルで良かった。

ハーフタイムで寒川⑭ノノムラ→㉔イシカワハヤマ。香川西は8番が左ハーフ、18番が右ハーフに。6分、寒川カウンター、10が抜けるところを香川西⑪が倒し警告。抜けられると大ピンチなのでナイスファウルだ。8番が蹴るが実らず。13分、寒川13番アオキ→⑰イノウエアリタカ。21分、香川西左コーナーキック6番にファーでヘッドは外れる。超決定機。23分寒川の右コーナーキックは香川西GK寒川キャッチ。ハイボールの処理が完璧なキーパーだ。寒川は繋ぐが地上のラストパスはGK寒川にセーブされクロスはキャッチされる。66分、香川西2番→12番、寒川9番ヤブアツキ→25番カミツナガ?26番が下がり25番が前へ。26番は起点になれるしパスも出せる好選手。35分、寒川10番がタメを作り24番の左クロスに26番ヘッドで逸らすとファーサイドネットを揺らす。0-1。ここまで寒川の左サイドバックがなぜ10番か、レフティーだけど技術は普通でサイドバックらしいアップダウンもスピードもなく良く分からなかったが、こういうサイドで起点を作るために10番なのか、と思った。というより本来中盤の選手だと思う。香川西は12番→15番。長身。FWに入れる。当然の策だ。サトウ?69分、香川西6番右スルーパスに20番マチダダイチターンから決めて1-1。ロスタイムに寒川が右から崩しシュートは右に外れる。決定機。結局80分間で1-1で終了。

延長前半8分、寒川24番カワカミケイゴ→6番ムラカミ?延長後半91分(延長後半1分)香川西10番の右足左クロスにまたしても20番マチダダイチがワントラップシュートを決めて2-1に。94分、寒川17番→4番ホヅミ。結局追撃ならず2-1で香川西が決勝進出。

押していたのは寒川だがピンチを耐え、少ないチャンスを決める香川西が強豪らしい勝ち方をした。寒川はゴール前でドタバタした感がある。実績から来る自信の差というか、勝った経験の差というか。力で一気に壁を超えるか勢いに乗るか、可能だったと思うのだが、寒川はまたも壁を越えられず。
パーソン・オブ・ザ・マッチは香川西GK①寒川でしょう。彼の安定感がチームを支えた。高校レベルでハイボールを完璧に処理してくれるとチームにとって大きい。彼がいたから寒川はシュートを外した感もあった。更にキックも伸び、しかもミスもなかった。素晴らしいキーパーだ。しかもおそらくゴールキーパーコーチがいないであろう中体連出身だ。高校に入ってからよほど努力したのだろう。






高校選手権香川大会準決勝
丸亀高校-大手前高松高校
11月2日 13時40分 生島 ピッチ良 晴


丸亀           大手前高松
---十四--八番--- 八番---十番---十一
------------ -----九番-----
九番-四番--六番-十番 -七番--五番--十四-
二番-二十--三番-二一 --六番-三番-二番--
-----二五----- -----一番-----

選手名についてはプログラム販売がなかったこと、音響設備の悪い会場での耳コピ頼みで極めて不確かなことをご承知願いたい。大手前高松についてはプリンスリーグ四国のプログラムがあるが、まるで違っていたので分からない。FCコーマラントは提携しているクラブで、大手前高松は地元の選手を育てて伸ばしている。丸亀高校といえば香川県内屈指の進学校で、近年では高校演劇で自らの学校の明治時代の女子サッカーを題材にしたオリジナル作品「フートボールの時間」で全国優勝をしたことでも知られる。顧問の先生は転任されてしまったが。。。。。。



丸亀 監督:マヤヒデノリ
GK 25 タチフジシュン
DF 21 ニノミヤ
   20 ヤノマサト
    3 ヨシムラシンタロウ
    2 フジ
MF  9 ハカセナオト
    4 ヤノタイヨウ
    6 オノシタシュンサク
   10 カメイケンジロウ
FW  8 タクマサトシ
   14 シライワダイチ

大手前高松 監督:川上暢之
GK  1 三谷幸記 
DF  2 糸瀬英哲  3年 169/60 FCコーマラント
    3 八十嶋一斗 3年 167/66 FCコーマラント
   14 佐々原遼人
MF  5 福家正貴  3年 164/53 FCコーマラント
    7 村上乃介  3年 173/60 FCリフォルマ
    8 滝平昴也  3年 171/62 FCコーマラント
    9 富田修成  3年 167/54 FCコーマラント
FW 10 片上椋太  3年 169/66 MFC高松
    6 冨家仁
   11 谷本将虎  3年 166/60 FCコーマラント


注:大手前高松についてはスタメン情報いただいたので訂正しました。


私は発表されたポジションなど当てにしない。しかし大手前高松はホントにアヤックス式、あるいはクライフ式バルサの3-4-3だった。超攻撃的スタイルだ。リスクがあまりの大きいが、これは選手育成にかける信念の現れだろう。パスコースの多さを利してバックラインから徹底してパスを繋ぎサイドから仕掛ける。ロングスローまである。これに対し丸亀はここまで3試合1得点0失点2PK勝ちの数字通り超守備的スタイル。盾と矛の関係だ。サイドを破られても強烈な横圧縮で中のスペースを消す。FWも自陣に引き、バックラインが押し上げられない分、全体に下がってスペースを潰す。これでは丸高というより亀高、亀のように守る。ものすごい集中力だ。更にはGKが当たっており、今大会絶好調を維持していることをうかがわせる。大手前高松はどんどんパススピードが上がっていき、振り回しにかかるが引いた丸亀は運動量のロスを最小限に抑える。しかしカウンターが完全に孤立して全くシュート撃てない。ただPK戦になれば焦るのは大手前高松なので、攻めるしかない。更に20分に⑦村上→⑰ササキコウヨウ。そして38分、いきなり大手前高松⑧滝平が極端にスローテンポに。チェンジ・オブ・ペースが下手だと言われる日本人離れした遅さだ。そしていきなり右に展開し⑭佐々原の右クロスにファーポスト際で⑩片上ヘッドがさく裂し0-1に。

後半は攻めなければならない丸亀だが、ハーフタイムに大手前高松が⑭佐々原→⑳ユルヤマケイと代えたのに対し、どうも丸亀は選手層が薄そうで手が打てない。しかしゴールキーパーを中心に必死に耐える。後半24分、大手前高松⑧滝平の左ロングスローに③八十嶋ヘッド。0-2。そして丸亀⑭シライワにラフで警告。そして後半32分丸亀⑭シライワダイチ→⑳トダケイスケ。
ベンチ「中田スタイルで行こう」。丸亀のベンチは面白い声をしばしば掛け、部が自由闊達な空気なのでは?と思わせる。大手前高松⑧滝平、⑪谷本→⑱カワサキショウタ、⑲マツダ。丸亀も⑤→④カメヤマカンタ。0-2で終了。結局丸亀はシュート撃てずに敗退した。

丸亀について。凄い精神力でした。守護霊ついてましたね。大手前高松が幾ら撃ってもブロックに飛び込んだりセーブしたり。著名なヨーロッパの指導者が「フットボールとは攻撃だ」というのに対し別の著名な指導者が「フットボールとは守備だ」といったという。そのエピソードを思わせる。全員の意志を統一し守れば勝算が見えてくるということが分かった。

大手前高松について。この布陣が対丸亀スペシャルかは分からない。もし普段からこうだとしたら、高校サッカー界に革命を起こせるチームだ。過激なアヤックス式攻撃サッカー。誰もが憧れるスタイルだ。今までカップ戦で香川で勝った経験がないのが一抹の不安だが、力そのものは全国に出てもおかしくない、というより全国に出なきゃおかしい、というところまで来ている。決勝が楽しみだ。強くて魅力的なのは間違いない。


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