加藤のメモ的日記
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平和になると困るのは、例えばアメリカと北朝鮮だ。GNPの30%を超えるような軍需関連産業を持っていれば、生産過多になる。つまり「消費」しなければ成り立たない。他の商品ならば売ればいい。輸出も内需もOKだ。しかし、武器はどうやって消費かつ換金するのか。内戦を煽って双方に武器を売るか、自ら戦争を起こすかだ。
それしか消費はない。一時的には失業した若者をアフガニスタンやイラクやリビアに派遣できるから。横暴な理屈だが、雇用対策にもなる。資金は、サウジアラビアや日本から「寄付」させ、中東やアフリカの資源を再びブンどってくればいい。数十年前に欧米の搾取を取り除き、資源の主権を奪い返したフセインやカダフィが殺されるのは、欧米にとって必要なことだと考えたわけだ。
ソマリアという国がある。ここは今、3ないし4の「国」に分かれて激しい内戦をくり返している。海賊問題でも。陸地では泥沼の殺し合いが続き、毎日大勢の餓死者が出ている。隣国ケニア軍も業を煮やして戦闘を始めた。その報復として、ソマリアの一部の軍が、ケニアの首都ナイロビに、テロを準備中と英情報機関が把握した。
そんな情報を公表されたら、たとえ事実だとしても実行は難しい。それを「事前に止めた」といことで。情報機関の予算は前年度比で減らずに済む、ということか。もはや在日本のソマリア大使館は存在しないのだ。3ないし4に分かれた旧ソマリア各国は、勝手に国境線を引いて、そこでビザ代という名の賄賂をとりた立てている。ビザとは何か、国境とは何か、国とは何か。
人類発祥の地にして、天然資源の宝庫であるゆえにだろう。餓死者と戦死者を大量に続出しているアフリカ大陸に比べれば、ユーロ圏の経済危機など全然問題外だと敢えて言っておきたい。
『週刊現代』
金正恩を頂に置いた新王朝は、誕生の直後からあまりにも多くの不安材料を抱えており、あっという間に崩壊する可能性が否定できない。まず、王朝の内部に反抗勢力が存在している。金正恩とおりに触れ対立してきた金永春・人民武力部長が、中華人民軍の後ろ盾を得て、正恩から実権を奪う機会を虎視眈々とうかがっている。
「もし正恩が本気で拉致問題の進展に動き出したとき、軍部の強硬派は正恩を失脚させるために、思い切った行動に出るでしょう」(中国の外交関係者)さらに、正恩の側近にも反乱分子がいると見られている。金総書記は死亡の二カ月前のある日、正恩を帯同して平壌にある「護衛司令部」を訪れた。護衛司令部とは北朝鮮の高官の護衛と、暴動の鎮圧をになう部隊で、金総書記や金正恩ら指導部が最も信頼を置く部隊とされている。
「この部隊は大変重要な働きをしている。食料は確保しているか。豆や肉は十分に供給されているのか?」金総書記は部隊の担当者にこう言葉をかけ、食料の供給を約束するなどして、彼らを労ったが、この訪問の裏側にはこんな事情があったと韓国国防部関係者が説明する。
「金総書記が異例の労いを行なったのは、この部隊の中に正恩の後継に疑問を持つ勢力がいる、との情報が入ったからです。最側近の部隊の中にさえ不満を持つ兵士が現れていることが、金王朝の末期的な状況を示しています」北韓大学院の柳教授も「北朝鮮のエリート層の中でも、全員が正恩体制に賛成しているとは見られないところが多々あります。今後、指導部内で対立が生じて、金正恩を最高指導者とすることに反対する勢力が、クーデターを起こす可能性も否定できないでしょう」と指摘する。
指導部層や軍部からだけではない。市民から蜂起の火が上がることも、十分に考えられる。現在、北朝鮮には約80万台の携帯電話が出回っており、外部からの情報の収集、接触は一昔前に比べてはるかに容易になっている。「昨年2月には、北朝鮮政府が公式に設けている投稿サイトに、携帯電話から『金正日総書記と金正恩を追いだし、この国に新世界を作ろう!』という書き込みがなされました。おそらく韓国側の人間がイタズラで書き込んだものだと思われますが、中東のジャスミン革命のように、インターネットを通じて純民が蜂起する可能性も否定できないでしょう」
現在のところ金正恩は、平壌市内に魚や寒さ対策のための衣料品などを配給し、市民の不満を和らげている。しかし十分な配給物資がなくなれば、住民の怒りは一気に高まり、北朝鮮国内の治安は急速に不安定になっていくだろう。
『週刊現代』
米国テネシー州ナッシュビルおバンダビルド大学」のキ・ダイ博士らは、ワシントン州キング郡に在住の日系アメリカ人1936人を9年間追跡調査し、どのような食事を摂っている人がアルツハイマー病を発症し、どのような食事の人が予できたのかを調べた。その結果、野菜・果物ジュースを週に1回未満しか飲んでいなかった群では、517人中30人がアルツハイマー病を発症したのに対し、3回以上野菜・果物ジュースを飲んでいた群では、785人中22人しか、アルツハイマー病を発症していなかったことが分かった。
さらに、週1~2回飲んでいた群では、257人中11人がアルツハイマー病を発症していたことから、週3回以上、野菜・果物ジュースを飲むことによって発症リスクを76%、週1~2回飲むことにより発症リスクを16%減少させることができると推論したのである。
週に1~2回の野菜、果物ジュースでは不十分で、毎日の摂取こそがアルツハイマー病の予防には必要だということである。ビタミンC、ビタミンE、βカロティンによる予防効果は確認されなかった。サプリではなく複数の野菜・果物の摂取が重要なのである。
『週刊現代』
『日本経済の奇妙な常識』(吉本佳生著、講談社刊)という本によると、ターニングポイントは1998年だったと断じている。一般家庭が貯蓄するように企業も貯蓄する。しかし、企業はそれを上回る設備投資をするるので、家計の貯蓄を銀行なとを通じて借りて使う。これが正常な姿である。ところが‘90年代の中ごろから、企業の貯蓄が増加の一途をたどる。それまで賃金アップや借り入れが設備投資とバランスがれていたものが、企業の内部保留ばかりが増えるというアンバランスな傾向になってきた。その頂点が1998年だというのだ。
著者は、この翌年に日本の自殺者が急増したというグラフを見せてくれた。それまで2万人台だったものが、この年一気に3万人を超え、それ以降ずっと3万人台になっている。その前年の‘97年4月、橋本龍太郎内閣は、それまで3%だった消費税を、5%に上げた。それから「小泉改革」なるものを経て、日本の「格差社会」はどんどん拡がっている。それはそうだろう。物価が上がらず、賃金も上がらずなら悪い意味でバランスはとれているが、恵まれた一部の人には、賃金上がったに等しい効果があるのだから。
そんな中で、野田首相は「不退転の決意」で消費税アップに全力を傾けている。そのために、あれほど抵抗を示していた、問責決議を受けた二人の大臣(一川防衛、山岡消費者各相)の更迭をするという。そこまでして野党の合意を取り付け、消費税を上げたいのは、一にも二にも財務省の意向に従いたいからである。消費税アップとなれば、直撃されるのは低所得者層と、中小企業である。それも吉本氏が一番やってはいけないという「小幅な増税」のくりかえしだという。
昔青島幸男は、佐藤栄作首相を「財界の男メカケ」と呼んで物議をかもしたが、野田首相も少なくとも「強い者の見方」のようだ。本来なら、内部保留という貯金を殖やしている大企業にこそ増税すべきなのに、消費税にしてもTPPにしても、しきりに”強い者”にすり寄っている。いつまでも彼を放置してよいのか。
『週刊現代』
2012年01月23日(月) |
アジアの先住民族(4) |
アイヌに文字がなかったのはなぜか
私は、金田一京助先生の仕事を、昭和35年(1960)から昭和42年(1967)年まで手伝っていました。ユカラの訳をを手伝っていました。そのとき先生が、いろいろな話を私に聞かせてくれました。そのとき先生が一番聞かせてくれた話は、この世界における文字の成り立ちでした。
「本当は、日本にも文字はなかったんだ」と。「日本も隣の中国から借りてきた文字の一部を、アイヌより早くカタカナにし、ひらがなにしたというだけです。世界中で本当に内側のものとして文字を作ったのは、古代ローマとか中国とか少ない。それらを世界中の人々が借りて使っているんです。だからね、菅野さん、あなたの民族であるアイヌに文字がないことは文化の程度が低いことではありませんよ」と、そういうふうに言われました。これは金田一先生の受け売りですけど。
アイヌに文字らしきものはありません。アイヌは日本語のひらがなとカタカナを使っています。そんなわけで、文化の高い低いとか精神文化については文字と関係なく、いいものがアイヌ社会、アイヌの考え方にあるんだなとそんなふうに考えています。
『アジアの先住民族』
米国ヘッジファンドマネージャー、カイル・バス氏の告白
「日本は倒産する。国債を買うのはバカだ」「多くの人が資産を失う」「持っているなら今すぐ売れ」
日銀の白川総裁はこの四カ月ほどの間、議会でもプライベートでも日本の金利上昇(国債暴落)のリスクに言及し始めている。日本の未来は厳しいものになると警戒している。それでもどうして日本人は国債が安全だと考えてしまうのでしょうか。もし私が日本人なら、すべての資産を他国の銀行、カナダやオーストラリアのように財政赤字があまりない国の銀行に移すでしょう。ノルウェーもいい。
日本やヨーロッパの国債には投資はしない。私たちがやるべきことは、お金を失わないようにするということです。だから私は今、世界中を見渡して、高い金利を払ってくれる企業の社債を買っています。逆に日本国債に投資するのは最もクレイジーなことです。すでに持っているならすぐに売ったほうがいい。いざとなったら政府が助けてくれなど悠長に考えている人は、国債に投資した額の70~80%を失うことになるでしょうね。
10年物国債を保有している人は、金利が1%上がるだけで、国債の現在価値が10%目減りし投資額の9%を失うんです。2%だと20%近くなくす計算になる。しかも日本国債の金利が2%上がると、その時点で政府が国債の利子をペイできなくなるから、一気にデフォルト金利まで急上昇する。15%かそれ以上までいくんです。その時日本人全体の貯蓄の3分の1が失われると私は見積もっています。日本の人口状況を見ると、人口の3分の1近くが60歳以上で、25%近くが65歳以上。これから引退に入る人たちが一気に貯蓄を失うのだから最悪です。ではこれから日本の国債はどうなっていくのか。
問題は政府の財政にあります。日本の税収は約40兆円ですが、そのうち半分以上の20兆円ほどを国債関連の支出に充てている。中でも大きいのが国債の利子の支払いで、これが10兆円。つまりは税収の4分の1ほどを国債の利子の支払いに使っている。この「税収のうち国債関連の支出に使っている割合」を世界各国と比べると、日本は今「国際危機」が問題視されている欧州のどの国よりも大きいい。つまり日本政府の財政状況は世界で最悪なのです。
今日本政府の国債の金利は世界で見ても非常に低い所に落ち着いていますが、もし上がったらどうなるか。実は金利が1%上がるごとに、新たに10兆5000億円ほどの金利を支払わなくてはならなくなるんです。そして2%上がるとそれだけで国債関連にかけるお金が税収を超えてしまう。つまり金利が2%上がると日本は倒産するんですよ。そして、この国債を支払えなくなる状況が。今から12カ月以内に起きると私は考えています。なぜか?IMF(国際通貨基金)のレポートを見ると、日本国債の唯一の買い手は日本の銀行だと書いてある。つまり、日本政府が銀行に国債を買うように強制しているのが現状。逆にいえば、日本国内の銀行が買い支えているから、金利が安く抑えられているんです。
しかし、日本の銀行はもうこれ以上は日本国債を買えないと言い出している。なぜなら預金額が減ってきているからです。実際、ゆうちょ銀行はこの第3四半世紀に、預金の減少が起きている。背景にあるのは人口減少です。先ほど言ったように、日本の人口の3分の1近くが60歳以上で、4分の1近くが65歳以上。こうした高齢者の多くが引退を始めており、彼らが預金するより、それを引き出して使わなければならなくなっています。事実、2012年には個人預金の増加率が0%以下になると言っている大手銀行もある。早晩、日本の銀行は「もう新たに国債を買わない」だけでなく、「今保有している国債を売らなければならない」状況に追い込まれるのです。
現在の欧州問題を解決するにはIMFによる資金援助が必要だとの意見が出始めている。これが実現するとIMFの二大貢献国である日本とアメリカがカネを出さなければいけない。しかし、日本にもアメリカにもそんなカネはない。全員が同じボートに乗っていて、そのうちの1カ国が援助を必要としているが、ほかの国もそのためのカネを出せない。誰も助けられる人がいなくなり、世界は混乱へと陥ることになる。そんなシナリオがいま、現実に起きようとしているのです。
国際危機はまずヨーロッパで起きました。そして次が日本、その後にアメリカでも起きるのです。日本人は目覚めて、現実を直視し、認識を改めるべきです。日本国債にリスクがないという考えが日本人の頭の中にプログラミングされているが、これがもっともリスキーなことです。日本国債は破綻する。それも近い将来、確実にです。
『週刊現代』
毎日勉強に励んでいた私の視力は、1.0から0.1近くまで下がってしまいました。日常生活に不便を感じるようになった私は、1年後の免許の更新日を目標に、視力の改善に取り組みことを決意したのです。
目の疲れを感じたら、睡眠を十分にとり、遠くを意識してみる
私が実行したのは次の三点です。 ①目の疲れを残さない 眼が疲れると視界が悪くなるだけでなく、勉強の集中力も低下しました。「目の疲れは脳にも悪い」と直感した私は、疲れを感じたら勉強をやめ、睡眠を十分にとるようにしました。
②偏食をしない コーヒーや糖分は体を冷やします。体が冷えると眼の周囲にある毛細血管の血流が悪くなるので、体を冷やす糖分の缶コーヒーは我慢し、体を温める根菜類を積極的に食べるようにしました。
③遠くを意識してみる 日常生活で遠くを見る機会は意外と少ないものです。そこで外出するときは、遠くにある看板を意識してみるようにしました。眼に疲れを感じたら、看板の上下左右をパッパッと素早く見るようにして、眼の周辺の筋肉を動かすようにしました。
以上の三点を心がけた結果、一年後には両眼の視力が0.7までに回復。裸眼で運転免許を更新することができたのです。その後もこの三点を意識した生活を送っていたら、三年後には元の視力まで戻りました。
視力に回復には、眼と首の筋肉をほぐし血流を高めることが必須
今振り返ると、学生時代に実践した独自の視力回復法は、あながち間違いではありませんでした。眼科医の立場から見ると、私が行なった三点は以下の二つにまとめることができます。
①ピントを調節する毛様体など、眼の筋肉の緊張をとること 学生時代のように、私は今でも目の疲れを感じたら、街の看板の上下左右を素早く見るようにしています。顔は動かさず、視線だけを移動させることで、こり固まった眼の筋肉をほぐすことができます。
②眼と首の血流を活性化させること 眼は手足の先と同じように、体の抹消にあたります。体の抹消は血流が悪くなりやすく、毛様体の老化を招きます。
眼の血流を高めるには、前述した看板の上下左右を見るトレーニングも有効ですが、ひどい老眼や近視の患者さんには「アイネック体操」というストレッチをすすめています。「アイネック体操」とは眼と首を同時にほぐす体操です。これは、首の後ろに両手を当て、上下、左右に首を振る運動です。
私は長年の診察経験から、若い時から老眼に悩まされたり、ひどい近視に悩む患者さんの多くは、首のこりが顕著であることに気づきました。首のこりが続いて筋肉が硬くなると、頭部への血流量が減少し、視神経にも悪影響が出ます。眼で見たものを映像としてとらえるのは脳ですから、首の筋肉をほぐして頭部への血流量を増やすことは、とても重要なのです。
アイネック体操をすることで、眼の血流が良くなり、老眼や近視が改善したという人は大勢いらっしゃいます。老眼鏡や近視用のメガネが不要になったという方も少なくありません。もちろん私も眼の疲れを感じたときは、アイネック体操をしています。
「本当にこんな簡単な体操で改善するのですか」と思われる方も多いと思います。でもどんな簡単なことでも続けるのはなかなか大変です。視力の低下は病気です。「病は気から」といいますが、まずは自分自身が「絶対に視力を回復させる」と強く意識して、アイネック体操を試してみてください。
『健康365』
……いわゆる””偽装難民”と、外国人不法労働者に対して、日本人は冷たい。それにやわらかに反論しつつ、朴は、「それにしても、彼らがいざ日本で職を得たとしても、今の日本が、彼らにとって家族を連れて来たいようないい国であり得るのだろうか」とも書く。強制的に連れてきて強制労働をさせ、つい最近まで、”在日韓国・朝鮮人”を「国民健康保険」に加入させなかった日本。
韓国の文通団体から日本人との文通を望む韓国の若者のリストは1万人分、日本の文通団体に届いているが、日本人が文通を望む相手の95%がアメリカ人だという。まさに、長谷川慶太郎の犯罪的駄本の題名のごとく、「さよならアジア」なのである。朝鮮学校の生徒がしばしば、イジメの対象になることについて、朴はこう嘆く。
「”パチンコ疑惑”が取り沙汰される中で、チマ・チョゴリ姿で民族学校へ通う女子学生に、各地で暴行、嫌がらせが続出しているという報道に接するたびに、悲しくてやりきれない気持ちになってしまう。チマ・チョゴリの少女たちが、一体何をしたというんだろう。「日本を開く」道は、はるかに遠いという気がする。
平成サラリーマン川柳傑作集
○ああ言えばこう言う奴ほど偉くなり ○OAとOL俺の手に負えず ○人生が酔いつぶれている終電車 ○残量は御酒も出るのと子に聞かれ ○上役のふったパイではあがられず ○上役は一人でできる趣味をもて ○2メートル先の椅子まで15年
「私は途中から引き返したから、ギブアップという言葉を知ったけれども、サラリーマンは倒れるまで走り続けるんでしょうね。功なり名を遂げた人は、それを乗り越えたか、誰かが身代わりになって死んだ人ですよ」内部告発小説を書いて大丸を追われた作家の渡辺一雄はこう告白する。走り続けた後の過労死なのだろう。とすれば、途中で「降りた」人こそ正常な人間というべきだが、世界に冠たるこの会社国家では、”正常”はむしろ”異常”とされる。
「動機」は「結果」を”浄化”しない。大体、「動機」も自分で言うほどキレイだったのか怪しいのが「大東亜戦争」である。大東亜戦争はアジア解放のための戦争であったと強弁する日本人に対して、アジアの人たちは「それは違う。日本の敗戦によって、解放という結果を見たにすぎない。解放の戦いならば、あれほどアジアの人々を殺戮するはずがない」と鋭く反論するという。
深田佑介の『黎明の世紀』(文芸春秋1300円)は、「大東亜会議とその主役たち」を描いて”動機擁護”の印象が強い本だ打、中に、全アジアの「満州国」化を図る日本に抵抗するアジア各国の独立運動家が出てくる。例えば、フィリピンのラウレルは「率直に云い、日本は比島人の真理をつかみむ失敗せり。比島民衆はこれ3年間、初めて多数の日本人と接触して残忍なる民族との観念を抱くに至れり。その理想は我等の共鳴を得られず、その行なう所は民衆の生活を顧みず、却ってこれを不安ならしめ、軍に対する不平不満の声は全国に蔓延す。ことに憲兵の横暴に対する反感は、政府要路の者に至るまで浸潤し、到底救うべからずに至れり」
と、当時の駐比大仕使、村田庄蔵に迫り、秋の大統領の義父にあたるベニグノ・アキノ国会議長も「日本の占領はスペイン時代を再現したようだ。しかもスペイン時代は、名目だけでも裁判制度があったのに、日本の憲兵は、裁判もなく相手がなんぴとだろうが意に介しない。これは日本の比島政治史上の大失敗である」と語ったという。
日本の「傀儡」と言われた中国南京政府の汪兆銘も、後年こう批判している。「日本政府に対して言いたいことは山ほどある。上役がよろしいと受けても下が聞かん。前任者が言ったことを後任者はそんなことは俺は知らんと問題にしない。左右の連帯も全く欠けている。外務省がいいことを言ってくれたと当てにしていると、陸軍は一つも聞いてくれない。外務省が言ったことなど俺が知るかという態度だと。これが海軍、陸軍、外務省全部に通ずる。これが日本の悪い所」
佐高信
2012年01月15日(日) |
羆嵐〈くまあらし〉(1) |
アイヌの羆撃ち専門の猟師から耳にした羆の習性を披露するものもいた。羆に襲われた折に死んだ真似をすれば助かるという説は根拠がなく、羆を仕とめるか逃げる以外に助かる道はないらしい、と彼は言った。羆は悪食で墓をあばき死者の肉まで食い漁ることから考えても、死んだふりをよそおった人間が食欲の対象からはずされることはあり得ないという。 羆が賢い動物だということも、彼らの話題になった。羆は山中を自由に行動するが、老練な猟師の追尾を受けているのに気付くと、足をはやめる。人間が通りにくい足場の悪い険阻な場所をえらんで猟師の接近をはばもうとする。 戻り足というものもある、あ或る男は言った。 羆は、土に印される自分の足跡が猟師の執拗な追尾をまねく原因になっていることに気づき、空気の流れに交る人間の体臭、銃の油の匂いなどから自分をねらう人間が背後にせまっていることをかぎとると、巧妙な手段をとって追尾者を襲うことを企てる。羆は立ち上がり、歩いてきた道を引き返す。その折、羆は、自らの足跡を慎重に踏み直してゆき、一定の距離をもどるとひそかに近くの繁みに足を踏み入れ、身をかくす。 やがて猟師が姿をあらわし、羆が近くにいることを察して銃をかまえ足を早める。かれは大きな足跡をたどってゆくが、不意にそれがある個所で断たれていることを知る。戻り足だと気づき狼狽して立ちすくんだ瞬間、羆が後方から襲うという。
銀四朗が、急に背をかがめ足音を殺しながら丘陵の方向に進みはじめた。区長は、動悸がたかまるのを意識した。銀四朗は雪を静かにふんで歩み、区長はその後からついていった。 丘陵が、迫ってきた。銀四朗は、その傾斜に足をふみ入れたが、不意に動きをとめた。体は前方に向けられていたが顔が右方にねじ曲げられている。 区長は、その視線の方向に眼を向けた。そこは、村落の渓流のふちからはじまる山の頂にある平坦地で、トド松が雑木とともにまばらに立っている。彼の眼には、なにもとらえられなかった。ただ樹木と雪の白さがひろがっているだけであった。 銀四朗の体が、かすかに動いた。彼は丘陵の傾斜に踏み入れた足をおもむろに引くと、丘陵のふちに沿って歩きはじめた。風に吹きさらされた平坦地に、雪は少なかった。銀四朗は、静かに雪をふみ、その足跡に区長は足をふみ入れた。 突然、区長は自分の体が凍りつくのを意識した。樹幹の間から、茶色いものがみえた。ナラの大木がそびえ立っていて、その傍らに毛をかすかにふるわせているものいる。距離は、30メートルほどであった。 彼の体に、銀四朗の腰にしがみつきたい衝動が起こった。大鎌が手からはなれ、雪の上に落ちた。足が硬直し、全身に痙攣が走った。かれは、雪の上に腰を落とした。 かれのかすんだ眼に、銀四朗が一歩一歩進んでゆくのがとらえられた。羆は、逞しい背を向けて立っている。山の傾斜をのほってくる男たちの動きを見下しているようだった。 銀四朗の動きがとまった。かれは、ニレの巨木に身を寄せ銃をかまえた。 区長には、その立射の姿勢が美しものにみえた。銀四朗は背筋を正しく伸ばし、両足をわずかにひらいて水平に銃身を突き出している。銃に傾けた顔の角度も、安定感にみちていた。 凄まじい発砲音が、凍てついた空気をふるわせた。金属の板を一撃したような甲高い音響であった。 区長は、茶色い大きな岩石のようなものが2メートルほどはね上がるのをみた。そして、それが重量感あふれた音を立てて落下すると、周辺の樹木から雪塊が一斉に落ち、あたりは雪片で白く煙った。 区長は、眼前の光景が何を意味するのかわからなかったが、やった、やったと胸の中でうわ言のように叫んでいた。 しかし、羆の生命はまだ絶たれていなかった。茶色い毛が逆立つと、ゆっくりと立ち上がった。うるんだような眼が、こちらに向けられた。大きな体であった。血のあふれ出る口が半ば開かれ、異様な吠え声がふき出た。 銀四朗の立射の姿勢はくずれず、早くも次の弾丸を装填したらしく、再び銃声がとどろいた。羆の体がのけぞり、仰向けに倒れた。 銀四朗が第三弾を装填し、銃口を羆に向けた。羆の体から長々と呻き声が起こっていたが、徐々に弱まって、やがて消えた。 物音は、絶えた。区長は、これほど深い静寂を味わったことはない、と思った。感覚も思考力も失われ、わずかに雪の中で座っているのを意識するだけだった。 銀四朗の姿勢が崩れ、銃をかまえながら羆に近づいてゆくのみえた。 区長は立ち上がろうとしたが、筋肉に力が入らず前のめりに倒れた。。眩暈がおそってきて、かれは、雪に埋もれたまま頭を垂れていた。そして、雪を口にふくんで大鎌にすがって立ち上がった。 区長は、足をふらつかせながらも銀四朗に近づいた。 羆を見下ろしている銀四朗が、振り返った。その顔を眼にしたかれは、再び意識がかすみかけるのを感じた。銀四朗の顔は、死者のそれのように血の気が失われていた。唇は白け、日焼けした顔の皮膚には皺が不気味なほど深くきざまれていた。 区長は、羆に視線を据えた。剛毛におおわれた胸部と頭部から靄のようなものが立昇っている。それは、額と胸部から流れ出ている多量の血液から湧いている水蒸気であった。 オーイという声が、かすかにきこえた。区長は、その声を何度も耳にしていたことに気づいた。霞んだ意識の中で、それらは空気のように流れただけであった。 かれは、銀四朗の傍からはなれると、大鎌の柄に体を支えながら雪をふんで平坦地のはずれに立った。トド松が密生した山の傾斜の下方に、男たちの姿がみえた。 「オーイ、ドウシタ」 樹幹の間を縫って、また声がした。 区長は、放心した表情で傾斜を下りはじめた。足が無感覚になっていて、彼は何度も雪の中で倒れた。男たちが、足を早めてのほってきた。 「銃声がしたが、どうした」 近寄った分署長が、甲高い声をかけてきた。 「仕とめた」 区長は、ひきつれた声で言った 分署長の傍にいた男が、眼を大きく開くと叫び声をあげ、手にした銃をあげて体をはずませた。その叫び声と動作に銃後の男たちは事情を察したらしく、歓声をあげて傾斜を駈けのぼってきた。
吉村昭
いくら自分の希望した戒名があったとしても、いざ自分が死んでしまった後からでは希望通りにはいかない。戒名にはその戒名に応じた価格というものがあるからだ。戒名料の多寡に関係してくるのは「院号」と「位号」の部分だ。位号の価格は。一般的な相場なので地域によって違いがあるだろうが、『信士』『信女』が20万円~30万円。『居士』『大姉』が30万~50万円といわれている。『大居士』を選択すればさらに高額になる。
そして「院号」。これは「○○院」とつくだけで、なんと50万円以上。なかには100万円以上になる地域もあるらしい。ちなみに院号には『○○院殿』というのもあり、さらに値段は高騰することになる。そもそも「院号」とは、皇族が寺院の建立に布施行をしたとき、その徳をたたえて寺から贈られるものであったという。
それなのに現在、どの程度の人が「院号」を授かっているかというと、私が見つけた統計では、昭和40年代にはすでに50%以上の人が、そして60年代には60%以上が「院号」のついた戒名を授かっているという。平成の不景気でも少しは減ったかもしれないが、それでも半数以上は院号を授かっているだろう。確かに近所の霊園をぶらぶら歩いて墓碑銘に刻まれた戒名をみれば院号が多い。
これらの院号がすべて、寺院の建立に布施行をしたという本来の理由で授かったものならば、日本全国寺だらけになってしまう。しかし、この戒名料を払う払わないという決断が、どんな状況で行われるかを考えてほしい。身内が亡くなる哀しみのどん底で、遺影用の写真を探さなければならないわ、てんてこ舞いの中で戒名の相談は行なわれるのだ。通夜までに戒名を決めねばならないという時間的な制約もある。
こんな極限状況の中で、僧侶が提示してきた戒名に「こんな高い戒名料払えません」といえるだろうか?ネットの掲示板でも、戒名料に関する不満は渦巻いている。「泣く泣く言い値で払った」「父が院号だったので、母も同じにしないとあの世で釣り合わないと言われた」「いい戒名じゃないと成仏できません」悪い戒名というのがあるのか?もしこんなことになっても、死んだあなた自身はこの交渉には参加できない。完全に後の祭りなわけだ。
それにしてもどうしてこんなに戒名が高いのか?というと、「いやいや戒名料なんてものは存在しないんです。あれはお布施です」という僧侶も出てくるだろう。確かに戒名料とは、正しくは御布施である。キリスト教にしてもイスラム教にしても、日本以外の仏教国でも、その宗教で葬式をあげるものは、必ず日ごろから教会や寺院にお布施をするのが普通だ。
そもそも、仏教は「空」であり「無」を根本とする。亡くなった後の戒名に上下格差が生じるなんて、これほどおかしいことはない。第一、院号なんて、元は皇族や公家(○○院)、将軍などの武家(○○院殿)しか授けられなかったものだ。それがいまでは両者の間にも格差が生じて、○○院よりも○○院殿の方が格上ということになっている。極端にいえば、金を積めば誰にでも授けれらるものになってしまった。
戒名料が遺族側にとって厄介なのは、自分たちが不要だと考えている「院号」を僧侶がつけてきたときだろう。一般的に院号がつくかつかないかで数十万円の格差が生じるからだ。実際、そうした不満は渦巻いている。「だいたいこの辺りは、皆さん院号をつけておられます」などと言われたら心は揺れるだろう。「お布施の一回払いですよ」などといわれるケースもあるかもしれない。葬儀ってそういうものなのだと、いわれるままに払うしかないと思うかもしれない。
『週刊現代』
「緑茶でガン予防」はウソ 今は健康にこだわる人ほど、かえって不健康になっている可能性が高いのです。それは誤った情報や常識に踊らされているためで、それならハナから健康に無頓着な人のほうがはるかにマシだと言わなくてはなりません。例えば食べ物の栄養素についてふれた、こんな健康情報がよくあります。「鉄分が豊富なホウレンソウは貧血予防にもいいが、シュウ酸も多く含まれてます。シュウ酸は、カルシウムとくっつくと結石の原因になるので注意しましょう」この情報に何の意味があるというのでしょうか。だったら、ホウレンソウを食べたとき鉄分だけを飲みこんで。シュウ酸は吐き出せとでもいうのかと言いたくなります。
そもそもどんな食品にも、健康にいい面と、そうでない面の二面性があります。例えばニンジンは皮膚を上部にしてくれるカロチンが豊富だけれども、アスコルピナーゼという酵素が多く、これがビタミンCを破壊してしまう。牛乳はカルシウムが多く含まれているものの、動物性脂肪が多いから、たくさん飲むと脂肪のとり過ぎになってしまう。
だったら、カルシウムは煮干しでとったらよかろうと思うかもしれないけれど、煮干しもまた過酸化脂質が多いためシミやニキビの原因になるというマイナス面があります。つまり、そもそも一つの食品だけで健康を語ること自体がナンセンスだというわけです。しかも、テレビ番組が大好きな「××を食べると○○にいい」式の情報には、ウソやまやかしが少なくありません。
例えば「緑茶がガン予防にいい」として、緑茶の消費量が多い茶どころの静岡県掛川市が「人口10万人以上の市区町村の中で、ガン死亡率が日本一低い」と強調していた番組がありました。ここで重要なのは、罹患率と死亡率を混同してはいけないということです。掛川市は、「ガンの罹患率が日本一低い」というのなら、この地域の食生活に特徴的なことが影響している可能性はあります。でも、「ガンの罹患率が日本一低い」というのなら、この地域の食生活に特徴的なことが影響している可能性はありますでも、「がんの死亡率が低い」のなら、まず第一の要因として挙げるべきは医療の充実です。しかるに、この番組では罹患率と死亡率をごっちゃにしていました。
ヨーグルトに意味なし
「ビフィズ菌がお腹をきれいにすると聞いたから」と、毎日大量のヨーグルトを食べている人がいます。ヨーグルトを食べると腸内の善玉菌がすぐに増えるわけではありません。大切なことは善玉菌が棲みつきやすい腸内環境をつくること。このためには食物繊維が必要となります。食物繊維は、大腸で分解されるのですが、その際、メタンガス、炭酸ガス、水素ガスなどを発生させます。これらはオナラなどになって排泄されますが、悪臭はありません。
さらに、食物繊維が分解されることで大腸の働きが活発になり排便が促され、大腸内の酸性度も高まります。すると酸に弱い悪玉菌の増殖が抑えられて腸内がきれいになり、ビフィズス菌などの善玉菌が増殖していくのです。つまり、普段からご飯、イモ、豆類をしっかり食べていれば腸内に善玉菌は自然に増えていくので、ヨーグルトを食べても食べなくても関係ないのです。
また、「タマネギは血液をサラサラにする」とよく言われますが、これもほとんどがマユツバ。タマネギの血液サラサラ効果を科学的に実証するデータはなく、発表されている論文も「そうだったらいいな」というレベルのものなのです。ノンアルコール飲料も同じ。あれはアルコールなしでありながらアルコールを飲んだような気分にさせるために、香料をはじめいろいろな添加物が使われています。つまり、ノンアルコールという一つの健康を生みだすために、いくつもの不健康な混ぜ物が入っているわけです。
さらに、多くの野菜ジュースには果汁が入っていますが、その果汁のほとんどが濃縮還元果汁。これは果汁をいったン乾燥させて粉末にし、これに水を溶かしたものですが、これだけでは香りが足りない。そこで香料を加えています。ストレート果汁を使ったものはごくわずか。野菜ジュースは健康にいいか、と聞かれると、大きな問題はないが、「とくに健康にいいとは言えない」というのが私の結論です」
それにしても、普通のお茶を「健康茶」と銘打っただけで高く売れ、そこに御用学者のヨイショがあれば、さらに売れる。そこで大手メーカーは資本力にものをいわせて、あれこれと情報を発信し、健康ブームを継続させる。こうしてつくられた巨大なヘルシー食品市場の中で翻弄されているのが、今の気の毒な消費者です。かくして御用学者は引っ張りだこ。
『週刊現代』
震災で自宅の壁に数ヵ所ヒビが入り、兵が倒壊した茨城県の50代の男性が嘆く。「立て直そうと考え、地震保険の保険料をアテにして査定を受けました。が、査定は『一部損』で支払われたのは10数万円。これじゃ塀も直せない。地震保険は、「地震」「津波」「噴火」を原因とする火災・損壊・埋没・流出の損害を補償するものだ」。
地震保険に精通する不動産コンサルティングの三上氏が解説する。「火災保険では、地震が原因の火災被害や家財の損壊は保障されません。地震保険はそれを補完するため、火災保険に付帯する方式でつくられたので、必ず主契約となる建物や家財の火災保険とセットで契約することになります」地震保険の対象は、住居用の建物と家財(店舗、事務所は対象外)。支払額は、火災保険で支払われる額の30~50%の範囲とされ、限度額は「建物5000万円」「家財1000万円だ」。
つまり、地震保険がカバーできるのは、最大で家屋の価値の50%。地震保険だけで家は再建できない。「地震保険という名称から”地震で壊れた家屋や家財を元通りにしてくれる”と思われがちですが、これは勘違い。『地震保険に関する法律』にあるように、あくまで〈地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的とする〉ものです」(三上氏)
保険料は、木造か非木造かの「建物の構造」、予測に基づく地震発生のリスクで区分けされた「住居の所在都道府県」により算出される。またどの損保会社に加入しても補償内容や保険料はほとんど変わらない。大規模な地震が起きたときに、損保会社が保険金を支払えない事態が起こらないように、「地震保険に関する法律」によって政府が保険内容を詳細に規定しているからだ。
気になるのは、補償の範囲と被害の算定方法だろう。地震被害を受けると、保険会社から派遣された査定人が被害状況の査定を行なうが、損害の認定基準は『全損』『半損』『一部損』の3段階しかない。その”境界線”は、政府が規定した「地震保険損害認定基準」で定められているが、「最終的には査定人の主観で判断される」(大手保険会社関係者)という。また地震保険の損害認定は、被災後に各自治体が出す「震災証明」屋「被災度区分判定」とは基準が異なる点にも注意が必要だ。「震災証明では半壊と認定されたのに、地震保険では一部損だった」というケースも珍しくない。
建物損壊の査定について三上氏が解説する。「査定で大きな比重を占める基礎部分を中心に見るとわかりやすい。乱暴にいえば、一部損とは、基礎部分に少しひび割れが生じ、屋根瓦が多少落ちた程度の損害で、住み続けるには支障のないケース。半壊は、基礎部分のヒビの本数が多く、屋根瓦の大漁落下、外壁にも損傷が見られるなど、大掛かりな修理をしないと居住できない状態。全損はそもそも修理が不可能で、立て直しが必要なケースです」支払われる保険料は全損で契約金額の100%、半壊で50%、一部損で5%と差が大きい。
「被害は半壊程度だが、多大な修理費用がかかるので、いっそ全損にしてしまったほうが得だと、自ら自宅に火をつけた例もあると聞く。ただ、査定人の目も節穴ではないので、不自然な燃え方をしていたら簡単にバレます。その場合、保険金が1円も下りなくなるだけでなく、刑事罰の対象となる。しかし全損と半損、半損と一部損の不公平感を取り除くのは保険会社の課題です。
東日本大震災で最も多かったトラブルが、車に関する事例だ。自動車は家財とみなされず、車両保険も地震による損害は保証してくれない。「地震保険に入っていれば、地震による損害でも保障されると思っていた人は多かったのですが、地震特約を付けていなければ保険金は支払われません。しかも特約の上限が低く最大50万円程度である。フルカバーは難しい。
●居住都道府県によって地震保険料は変わる 非木造 木造 福岡 佐賀 長崎 熊本 鹿児島 500円 1.000円
東京 神奈川 静岡県 1.690円 3.130円
『週刊現代』
金正恩を頂に置いた新王朝は、誕生の直後からあまりに多くの不安材料を抱えており、あっという間に崩壊する可能性が否定できない。まず王朝の内部に反抗勢力が存在している。金正恩と折に触れて対立してきた金永春・人民武力部長が、中国人民解放軍の後ろ盾を得て、正恩から実験を奪う機会を虎視眈々とうかがっている。
「もし正恩が本気で拉致問題の解決や経済改革に乗り出すとすれば、それは軍部にとって、拉致を直接指示してきた金正日の行動を否定することにつながります。正恩が拉致問題の進展に動き出したとき、軍部の強硬派は正恩を失脚させるために、思い切った行動に出るでしょう」(中国の外交関係者)さらに、金正恩の側近部隊にも、”反乱分子”がいると見られている。
金総書記は死亡の2カ月前のある日、正恩を帯同して平壌にある「護衛司令部」を訪れた。護衛司令部は、北朝鮮の高官の警護と暴動の鎮圧をになう部隊で、金総書記や正恩ら指導層が最も信頼を置く部隊とされている。「この部隊は大変重要な働きをしている。食料は確保しいているか。豆や肉は十分に供給されているのか?」金総書記は部隊の担当者にこう言葉をかけ、食料の供給を約束するなどして彼らをねぎらったが、この訪問にはこんな事情があったと韓国国防部関係者が説明する。
「金総書記が異例の労いを行なったのは、この側近部隊の中に正恩の後継に疑問を持つ勢力がいる、との情報が入ったからです。最側近の部隊の中にさえ不満を持つ兵士が現れていることが、金王朝の末期的な状況を示しています」北韓大学院の柳吉在教授も「北朝鮮のエリート層の中でも、全員が正恩体制に賛成しているとは見られないところが多々あります。今後、指導部内で対立が生じて、金正恩を最高指導者とすることに反対する勢力がクーデターを起こす可能性も否定できません」と指摘する。
指導者層や軍部からだけなく、市民から蜂起の火が上がることも、十分に考えられる。現在、北朝鮮内には約80万台の携帯電話が出回っており、外部からの情報の収集、接触は一昔前と比べてはるかに容易になっている。「昨年2月には、北朝鮮政府が公式に設けている投稿サイトに、携帯電話から『金正日総書記と金正恩を追いだし、この国に新世界を作ろう!』という書き込みがなされました。おそらく韓国側の人間がイタズラで書き込んだものだと思われていますが、中東のジャスミン革命のように、インターネットを通じて住民が放棄する可能性も否定できないでしょう」(韓国国防部関係者)
現在のところ金正恩は平壌市民に魚や寒さ対策のための衣料品などを配給し、市民の不満を和らげている。しかし、十分な配給物資がなくなれば、住民の怒りは一気に高まり、北朝鮮国内の治安は急速に不安定になっていくだろう。
『週刊現代』
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