加藤のメモ的日記
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2014年11月30日(日) |
安倍「官房機密費」6億3000万円は闇に消えた ① |
つまり記者クラブは本来の意義を失い、権力に都合のよい既得権益として逆利用されてしまったのです。この15年間、私が記者クラブシステムを危惧し、批判してきた最大の理由がこれなのです。日本の記者クラブに特有のぶら下がりはそのそも記者クラブだけに許された非公式な懇談なのです。中しても会見拒否ということはできません。仮に、会見に雑誌やフリーの記者らを入れれば厳しい質問も飛ぶでしょうが、政権にコントロールされた記者クラブの記者だけを相手にするから、安倍首相が独壇場となってしまうのは当然なのです。要するに、これは安倍首相の勝利というよりも、冒頭の元政治部記者の言うとおり内閣記者会をはじめとする日本の政治メディアの敗北に過ぎず、この1年間に起きたことは、いわばメディア崩壊だったのです。
特定機密保護倉美
過去のこうした経緯と現実を知っていながら、単に傍観し政治に制度設計をゆだね、自らそのシステムを変えようとしてこなかった日本のマスメディア。私からすれば、そうした彼らが今更「特定秘密保護法案」への反対を叫び、新聞・テレビがデモに賛同し、ジャーナリストたちが横断幕を掲げている姿を見ても、どうしても醒めた気持ちになってしまうのです。
霞が関とメディアが一体のとなって情報操作を行なってきたこの国では、そもそも記者クラブ自体が、[特定機密保護法クラブ]として機能してきたのではないでしょうか。霞が関官僚に都合の悪い情報を報じて出入り禁止になることを恐れて報道を自粛し、記者懇談会でもひとたび「完全オフレコといわれれば半永久的に秘密にしておくことが善とされた。それがこの国のメディアの実態であり、だからこそ、10年ほど前、私はそれを「官報複合体」と名付けて批判したのです。それは、今回の法案に関わる外交上の特定秘密においても同様です。
2010年3月、岡田克也外務大臣が前年から調査していた日本の核持ち込みなど「四つの密約について広義の密約があったことを発表した時もそうでした。私は大臣によるこの内部調査を、その後もずっと民主党政権最大の功績と評価してきましたが、記者クラブメディアは数回報じただけでばったりと取り上げることを止めてしまいました。その日の会見でも、岡田大臣の直前に座っていたのは私で、見渡せば隣席のニューヨークタイムズのマーティン・ファクラー氏ら海外特派員ばかりの参加が目立ちました。
海外メディアが一斉にこのニュースを報じたのも、外務省が密約の大部分を破棄していたことがわかったからです。それこそ日本の歴史の一部を永遠に破棄し、特定秘密の最たるものを官僚自らの手で隠滅したのだから当然の扱いのですが、日本の報道との温度差を感じる象徴的な光景でもありました。これでお分かりでしょうが。これまで記者クラブは、常に特定秘密を守る側に付いてきたのです。だからこそ、この法案が成立しても、実際にはこれまでと何も変わらないだろう、というのが私の見方で、テレビや新聞の今更ながらの叫びや他のジャーナリストたちの反対運動を醒めてみてしまうのです。もちろん、私のこうした姿勢は決してよいことではありません。実際、私自身はこの法案には問題があると考えていますし、心情的にも反対です。
仮に、法律の恣意的な運用が可能であるならば、例えば「核機密」についていえば、外交機密を暴こうとした岡田大臣が逮捕され、記録を破棄した外務官僚が守られるというのが、この法律だったら充分あり得るとも考えるからです。
『週刊ポスト』1.1
普通のサラリーマンだった私は、定年から10年で破産した
妻の病気をきっかけに
「なんでこんな辛い思いをしてまで、長生きしなきゃいけないんでしょうか」着古したジャージに身を包んだ香川庄司さん(仮名/71歳)は、掠れた声を絞り出し、こうつぶやく。6年前に妻を亡くしてから神奈川県の自宅で一人亡霊のような日々を送っているという。
「家事は妻に任せきりにしていましたから、彼女が亡くなってからも自分で炊事することはありません。食事は日に一食。夜にスーパーで半額になる弁当を買うか、チェーン店の牛丼を食べに行くのが日課です。近所付き合いもないですし、毎日することは何もない。家に閉じこもり、テレビを眺めて一日が過ぎていきます。こんな惨めな生活をしているなんて、誰にも言えません。親戚にだって、無用な心配をかけたくないので連絡を取らなくなりました」大学を出て食品メーカーに38年間勤務し、60歳で退職。一人息子は同居している。定年後は妻と穏やかな老後を送ろう―そう思っていた。当時の貯金は退職金もあわせて約3200万円。だが、現在、貯金は底をついている。「
定年してから半年後、妻に乳ガンが見つかったんです。進行した乳ガンでした。手術しましたが、すでに全身に転移してしまっていた。現役時代、私は家庭を顧みずすべて妻に任せて働いていました。これからは妻を楽にさせてあげようと思っていたんです。だからこそ、何をしてでも元気になってほしかった。病院を転々と転々とし、最新の放射線治療も受けました。それに漢方や健康食品など、体にいいと聞いたものは何でも試した。
彼女が自力で歩けなくなってからは、300万円出して車いすを乗せられるワゴン車を買い、ガンに聞くと言われる温泉にも連れて行った。けれど結局、闘病の末に亡くなったんです」妻の命のために、カネを惜しむという選択肢はなかった。ガン保険に入っていなかったため、3000万円という貯金額は、6年間でみるみるうちに目減りしていた。気づいた時には、もう手遅れ。現在は月14万円の年金だけで生活している。
「妻はウチにには、40代になる息子がいて、うつ病を患って会社を辞めてから、家に引きこもっているんです。私の年金だけでは暮らしていけない。少々具合が悪くても病院にも行けません。絶対悪い病気が見つかるに決まっていますから。毎日、目が覚めるたびに気が重くなります。何度も死のうと思いましたが、息子がいますし、天国の妻がそれを知ったら悲しむだろうなと思って、必死で生きている状態です」
悠々自適な老後を送れるはずだったのに、気がつけば想像だにしない厳しい現実と向き合わざるを得ない。香川さんのように破産状態に陥る高齢者が急増している。9月28日に放映されたNHKスペシャル『老人漂流社会 老後破産の現実』では、「生活保護水準以下の収入しかないにもかかわらず、生活保護を受けていない」破産状態にある高齢者の現状を「老後破産」と呼び、特集を組んだ。番組を制作した板垣淑子プロデューサーが語る。
「少子高齢化が進み、年金給付水準を引き下げざるを得ない一方、医療や介護の負担は重くなっています。自分の年金だけを頼りに暮らしている一人暮らしの高齢者の中には、崖っぷちでとどまっていた人達が崖から転げ落ちてしまう、いわば『老後破産』ともいえる深刻な状況が広がっています」
いったい破産世帯はどれぐらい存在するのか。河合勝義明治学院大学教授が語る。「私たちが実施した東京都港区と山形県における調査では、生活保護基準よりも低年収である高齢世帯の割合がどちらも56%と。高齢世帯のほぼ半数にのぼることが分かっています。現在、一人暮らしの高齢世帯はおよそ600万人。推定で300万人が低年収世帯といってよいでしょう」そこから、生活保護を受給している高齢世帯を差し引いた、200万以上もの人々が老後破産の状態にあると推定される。日本全国で65歳以上の高齢者の数は3200万人。およそ16人に1人が老後破産の状態にあり、独居高齢者に限れば3人に1人にも上がる。
『週刊現代』10.11
2014年11月18日(火) |
北京マラソンは命がけ |
参加者は命がけ 北京マラソンの効用
それは世界に例を見ない過酷なサバイバルレースだった。10月19日朝8時、天安門広場で第34回北京マラソンの号砲が鳴ると、広場を出たあたりから、バッタバッタとランナーたちが倒れ始めた。救急車がフル回転するが、倒れる数があまりにも多くて追いつかない。途中棄権したランナーが、咳き込みながら語る。「今年のPM2.5は、400前後まで跳ね上がっており、走り始めるやすぐに目まいがして喉が痛くなってきた。続いて頭痛がしてきて、背骨まで痛くなったところで棄権した」
確かに視界はわずか数十メートルで立っているだけで咳き込んでしまう。こんな最悪の環境下で、マラソン大会を強行するとは狂気の沙汰としか思えない。そんな中、胸を張って軽快に走っているランナーも散見された。彼らはなんとガスマスクをつけて走っているではないか。間違いなく世界でここだけしか見られない「ユニフォーム」だ。
それでも実況中継した中国中央テレビは、ランナーが倒れこむたびに、巧みにカメラアングルを変えて、世界に誇る偉大なマラソン大会であることを強調したのだ。北京在住ジャーナリストの季大音氏が語る。「大会終了後、なぜこのような環境下でマラソン大会を強行したのかと、主催者の北京市体育局に抗議が殺到した。すると体育局長はこう答えたそうです。
『10月20から共産党の重要会議である4中全体会が開かれ、11月10日にはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)が開かれる。君たち3万人ものランナーが40㎞以上走り、深く息を吸い込んでくれたことで街の空気は正常化された。国家への貢献に感謝する』市民はこんな自虐的なジョークで慰め合っているのです」来年からはガスマスクを「公式ユニフォーム」に指定してはいかが?
『週刊現代』11.8
2014年11月16日(日) |
泥船から逃げ出す人々 |
閣僚が株取引を行なうこと自体に法的な問題はない。だが、彼らには取引によって得た利益を報告する義務がある。これは国の経済と国民の暮らしを左右しうる閣僚にとって当然のことだ。そうした自覚もなく、ずさんなカネの管理を恥じることもない人々が、急激な増税を進め国民に経済的負担を強いる安倍政権の一翼を担っているのだからちゃんちゃらおかしいというものである。これほどの疑惑が次々と噴出している以上、もはや次なる辞任が出るのは時間の問題だと思われる。3つ目のドミノが倒れた瞬間、今度こそ安倍政権は崩壊の連鎖に突っこんでゆくことになるだろう。
そして、その日は間もなくやってくる。政権の動揺を最も近くで目撃している自民党の議員たちが、泥船から逃げ出す準備を始めているのだ。「この一ヵ月ほど、夜の会合ではもっぱら『いつ安倍総理の体調は限界を迎えるのか』、そして『そうなったら誰につくか、誰を担ぐか』という話ばかりです。小渕さんの辞意を外遊の帰国途上で耳にした安倍総理は、東京に着いてからも顔色が悪く、夕食の時の酒にはほとんど口をつけませんでした。最近は会見でも呂律が回っていない時がある今、総理の体調と精神状態はこの2年間で最も最悪です」(前出 自民党中堅議員)
改めて指摘するまでもなく、第一次安倍政権は閣僚の相次ぐ辞任と、それに伴う安倍総理の体調不良によってあっけなく幕を閉じた。今自民党内では「最近の総理の表情は、第一次政権の末期によく似ている」(冒頭のベテラン議員)という声さえ聞こえ、いよいよ本当に「終わり」が近づいているのだというムードが支配的になりつつある。政治ジャーナリストの野上氏が言う。「拉致問題は成果が出ない、アベノミクスに打つ手がないとすれば、ここから先は政権にとっていい話が一つもない。これまでのような支持率政治は早晩破綻することになります。
しかも、12月には消費税再増税の決断が否応なく待ち受けている。それを花道にして、体調が思わしくない安倍総理が退き、例えば居抜きで麻生太郎元総理がポスト安倍を狙うという可能性も、論理的には充分にあり得るのです」閣僚の相つく不祥事で、潮目は確実に変わった。安倍長期政権がただの夢でしかなかったと、すでに誰もが気付いた以上、間もなく政界は大動乱の時を迎えるのだ。
『週刊現代』11.8
2014年11月15日(土) |
机上の「戦争ごっこ」はよせ |
○ なぜすぐボロを出すような議員が閣僚クラスまで増えているのか。それは、小泉純一郎元首相の「小泉劇場」以来、劇場型選挙が当たり前になったことも一つの理由です。海外に留学したとかシンクタンク出身とか、経歴に横文字が入る人の当選確率が高くなりましたがそういう政治家は偏差値秀才で、頭はいいけどハートがない。良し悪しは別にして、日本の政治家はどこか義理人情で人間関係が構築されてきました。それがいっぺんになくなったのが、政治家の劣化を招いたと思います。
● 松島氏もそうですが、言葉に力のない政治家が増えましたね。政治家の劣化のもう一つの理由は、戦争を知らない世代が増えたことだと思います。彼らの安全保障論を聞いていると机上の「戦争ごっこ」のようなレベルの時がある。かっては戦争体験者が叱るのが自民党の安全保障論議だった。タカ派の若手や情勢議員が愛国心を声高に誇っても、軽薄に見えてしまう。
○ 結局、最近の政治家は保守を語るにしろ、長期的な展望や国家観を持っておらず、場当たり的なんです。高市早苗総務相、有村直子女性活相、山谷氏の三閣僚が靖国参拝したのも、国としての日中関係改善に向けた動きを無視したただの人気取りです。本人たちは勝手に「安倍総理の意図を汲んだ」と考えているかもしれませんが、それは安倍総理も同じ。この国を思っての「女性活躍」ではなく、あくまでも票稼ぎですから。
● 今の政治は、党内で論議が浅いんです。かっての梶山静六さんのような人がいない。梶山さんは、元特攻隊員の武闘派でした。しかし、日米安保や周辺事態法はやらないといけないけれど、一方で必ず「それを行使しないために何をすべきか」を議論する必要がある、とも語っていました。
○ 梶山さんといえば。「愛郷無限」と「激変緩和」がモットーでしたね。つまり党内でも対立があって当たり前、論議を盛んにしたうえでソフトランディングさせることが大事だと。対して、現在の安倍政権は、第一次に増して総理のお友達内閣になってしまい、辛うじて菅官房長官が重石になっている程度。さらに批判をそらすために女性閣僚を登用した結果が、この不祥事です。
● 安倍総理としては、早々に二人を辞任させ、一定の危機管理はしたつもりでしょう。ただ、問題は大臣辞任だけにとどまらないかもしれない。ボディブローのようにじわじわとダメージを与えると思います。
○ 党内でも、女性登用のワリをくった順番待ちの議員、とくにハト派の間で安倍批判がくすぶり、「次の総裁」をめぐる動きも活発になり始めています。
● 谷垣幹事長を擁立する動きですね。しかし、安倍総理が一人で突っ走る今、党内でバランスをとろうというのは、健全なことかもしれません。
○ やはり、この女性閣僚二人の辞職劇は安倍政権の根幹を揺るがしかねない。後に振り返った時、潮目を変える事件だったと評価されるでしょう。
○浅川ひろただ 1942生まれ 政治評論家 40年以上政治家の取材を行なう ●鈴木てつお 1958生まれ ジャーナリスト
『週刊現代』11.8
2014年11月08日(土) |
河野談話の根拠崩れる |
元慰安婦報告書 ずさん調査 氏名含め証言曖昧
産経新聞は15日、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年8月の「河野洋平官房長官談話」の根拠となった、韓国での元慰安婦16人の聞き取り調査報告書を入手した。証言の事実関係は曖昧で別の機会での発言との食い違いも目立つほか、氏名や生年すら不正確な例もあり、歴史資料としては通用しない内容だった。軍や官憲による強制連行を示す政府資料は一切見つかっておらず、決め手の元慰安婦への聞き取り調査もずさんだったと判明したことで、河野談話の正当性は根底から崩れたこといえる。産経新聞は河野氏に取材を申し入れたが、河野氏は応じなかった。
慰安所のないところで働いた
平成5年7月26にから30日までの5日間、ソウルで実施した聞き取り調査に関しては9年、当時の東良信内閣外政審議室審議官が自民党の勉強会で「強制性認定の明確な根拠として使えるものではなかった」と緒言している。ところが政府は、この調査内容を「個人情報保護」などを理由に開示してこなかった。産経新聞が今回入手した報告書はA4判13枚で、調査対象の16人が慰安婦となった理由や経緯、慰安所での体験などが記されている。騙されたり、無理やり連れて行かされたりして客を取らされるなどの悲惨な境遇が描写されている。
しかし、資料としての信頼性は薄い。当時、朝鮮半島では戸籍制度が整備されていたにもかかわらず、報告書で元慰安婦の生年月日が記されているのは半数の8人で空欄が6人いた。やはり朝鮮半島で重視される出身地についても、大半の13人が不明・不詳となっている。肝心の指名に関しても、「呂」と名字だけのものや「白粉」と不完全なもの、「カン」などと漢字不明のものもある。また、同一人物が複数の名前を使い分けているか、調査官が名前を記載ミスしたとみられる個所も存在する。
大阪、熊本、台湾など戦地ではなく、一般の娼館あっても慰安所はなかった地域で働いたとの証言もある。元慰安婦が台湾中西部の地名「彰化」と話した部分を日本側が「娼家」と勘違いして報告書に記述している部分もあった。また、聞き取り調査の元慰安婦の人選にも疑義が残る。調査には日本での慰安婦賠償訴訟を起こした原告5人が含まれていたが、訴状と聞き取り調査での証言は必ずしも一致せず、二転三転している。
日本側の聞き取り調査に先立ち、韓国のアンビョンチョクソウル大学教授(当時)が中心となって4年に行なった元慰安婦への聞き取り調査では、連絡可能な40人余りに5,6回面会した結果、「証言が意図的に事実を歪曲していると思われるケース」(安氏)があったため、採用したのは19人だった。政府の聞き取り調査では韓国側の調査で不採用となった元慰安婦も複数対象としている可能性が高いが、政府は裏付け調査や確認作業は一切行っていない。
談話作成に関わった事務方トップの石原信雄元官房副長官は産経新聞の取材に対し「私は報告書は見ておらず、担当官の報告を聞いて判断したが、談話の大前提である証言内容が杜撰で真実性、信憑性を疑わせるとなると大変な問題だ。人選したのは韓国側であり、信頼関係が揺らいでくる」と語った。
◆河野談話
平成5年8月、宮沢喜一内閣の河野洋平官房長官が元慰安婦に心からのお詫びと、反省の気持ちかを表明した談話のことである。慰安婦の募集に関し、強制連行の存在を示す政府資料が国内外で一切見つかっていないにもかかわらず、「官憲等が直接これに加担したこともあった」「募集、移送、管理なども甘言、強圧によるなど、総じて本人たちの意志に反して行なわれた」などと強制性を認定した。閣議決定はされていない。
河野洋平 1937(S12年 1月16日 77歳)
『産経新聞』10.16
2014年11月07日(金) |
小学校のいじめは最多の11.8万件 |
全国の小学校などが2013年度に把握したいじめは18万6800件だったことが、10月16日文部科学省の問題行動調査で分かった。このうち小学校は11万8805件で、2年連続で過去最多を更新した。文部科学省は「学校などが掘り起こしを進めた結果だ」と分析している。小学生による暴力行為は、1万896件となり、1997年度の調査開始白井始めて1万件を超えた。
小中高などのいじめは過去最多だった2012年度の19万8109件に次ぐ件数である。小学校のほかは中学校が5万5248件、高校1万1039件などだった。認知件数はいじめが社会問題化すると急増し、翌年以降はいじめが大幅に減る傾向にあったが、大津市のいじめ自殺事件後の2012年度から連続して高い数字となった。
いじめの内容はからかいや悪口が64.4%で最も多かった。パソコンや携帯電話での非簿中傷は過去最多の8787件(4.7%)文化相は交流サイトのSNSなどが関連する新たな形態が増えているとみている。いじめを1件以上把握した小中学校などは51.8%にあたる2万000校だった。昨年の2013年九月施工のいじめ防止対策推進法は児童生徒が生命身体に大きな被害を受けるいじめなどを重大事態として規定している。2013年度は159校で181件発生した。
◆
円安加速で消費に冷や水
円安株高が続いている。市場ではさらなる円安を見込む声が多い他、輸出に追い風となる半面、食料品やガソリンをはじめとする物価が上昇し、個人消費を冷やす恐れも指摘されている。安倍政権は株価を重視しているが、景気と株価に温度差が生じているとの声も出てきた。「家計の負担が増え、円安は短期的に見れば悪影響の方が大きい」SMBC日興証券の丸山義正シニアエコノミストは、一段の円安は消費税増税の影響でただでさえ元気のない消費に新たな打撃となるとみる。
第1生命経済研究所の試算では、1ドル=100円から110円に円安が進むと食料品は1.7%、電気料金は3.2%、ガソリンを含む石油製品は3.2%も上がるという。円安になると海外での売り上げが円建てで膨らむため、輸出企業の業績を押し上げる効果がある。だが自動車や電気の大手企業はすでに海外での生産比率を増やしており、実際の輸出数量は伸びないままになっている。ホンダの7月の輸出は、メキシコの新工場が稼働した影響で前年同月の実績から7割以上減っている。
円安で儲けが膨らむ上場企業に対し、中小企業を中心とする非上場企業は利益が減る。みずほ銀行の試算では、円安は企業規模による二極化を生む。日経平均株価が上がっても、企業の99%を占める中小企業の業績を含めた経済全体の動きと食い違う可能性がある。
1ドル=110円超の円安を見込むニッセイ基礎研究所の山橋専務理事は「今の円安は内需産業にとって厳しい水準。これ以上の円安が手放しに良いとはいえない」と話す。中小企業の多くは原材料の調達を輸入に頼っており、コスト上昇分を販売価格に上乗せできないと「中小企業を中心に業績が悪化し、景気が後退するリスクもある」(農林中金総合研究所・南主席研究員)
BNPパリバの丸山氏は、年末までは16500円、年明け以降は17000円を超えると予想している。ただ「株価と国内の景気に隔たりがある」として、株高が進むほどには景気が上向いていかないとの見方を示した。
『西日本新聞』9.20
2014年11月02日(日) |
強制連行の根幹は崩れた |
朝日新聞が慰安婦報道問題の報道について、一部の記事が虚構だったことを認めた。だが、その中身は、問題のすり替えと開き直りである。これでは日本がいわれない非難を浴びている原因の究明には結びつかない。最大の誤報は、「慰安婦を強制連行した」という吉田清次氏の証言である。朝日はこれを虚偽だと認め、記事を取り消すという。根拠なく作文された平成5年の河野洋平官房長官談話などににおける、慰安婦が強制連行されたとの主張の根幹は、もはや崩れた。
誤りは逐次正すべきだ
遅きに失したとはいえ、朝日が慰安婦問題の事実関係について検証したことは評価できよう。記事取り消しも当然である。だが、真偽が確認できない証言をこれまで訂正せず、虚偽の事実を独り歩きさせた罪は大きい。訂正に当たる「証言は虚偽だと判断し、記事を取り消します」との表現は特集記事中にあるが、1面記事にもどの面の見出しにもない。削除対象の記事ぐらいは明記すべきだ。
朝日新聞は今回、編集担当名の記事の中で、「問題の全体像が分からない段階で起きた誤り」として専門家による研究が不足していることに責任を転嫁している。取材などで事実が判明すれば、その都度、記事化して正し、必要があれば訂正を行なうのが当然の報道姿勢ではないのか。暴力で無理やり女性を強制連行したなどとする吉田氏の証言は、旧日本軍が慰安婦を強制連行したり、慰安婦狩りが行なわれたという誤報がまかり通るもととなった。
吉田氏は戦時中に山口県労務報国会下関支部動員部長だったと名乗っていた。昭和58年に『私の戦争犯罪 朝鮮人強制連行』という本を出し、昭和18年に韓国・済州島に部下を連れて上陸し泣き叫ぶ朝鮮人女性205人をトラックで強制連行したなどとしていた。朝日新聞は、吉田氏の講演内容を昭和57年に報じたのをはじめ、コラムなどを含め、同証言をたびたび取り上げてきた。しかし、平成4年に現代史家の泰郁彦氏が済州島で現地調査を行なったところ、地元のジャーナリストや古老らがそろって吉田証言を否定し、産経新聞がこの泰氏の調査結果を報じた。
朝日の慰安婦報道の強制連行の根幹は崩れた
朝日新聞は平成9年の特集記事取材で、吉田氏への電話取材や済州島での取材を行なったものの、裏付けが取れなかった。今年‘14年の今年、4~5月、済州島で行なった再調査でも証言は得られなかったという。慰安婦問題は、宮沢喜一政権発足間もない平成3年12月、慰安婦だったという韓国人女性が日本政府を相手取り、謝罪と損害賠償を求める訴訟を起こしたのがきっかけだった。
宮沢首相訪韓を控えた平成4年1月には加藤紘一官房長官が充分な調査も行なわず「お詫びと反省」の談話を出し、宮沢首相も日韓会談で謝罪した。さらに良く平成5年に慰安婦募集の強制性を認めた河野談話が出された。当時朝日新聞など日本の一部マスコミも慰安婦問題追及キャンペーンを展開した。この中には、慰安婦と工場などに動員された女子挺身隊と混同した記事もあった。朝日新聞は今回、誤用したと認めた。
事実が日韓の信頼を築く
朝日は今回の特集記事では、吉田氏の証言を他紙がどう報じてきたかという記事も掲載し、産経新聞が平成5年に大阪本社夕刊の連載「人権考」で吉田氏を大きく取り上げた、とした。しかしその後、本誌は取材や秦氏らの実証的研究をもとに、証言が作り話であることを何度も報じている。朝日の報道が日韓関係悪化のきっかけになったにも関わらず、「自国の名誉を守ろうとする一部の論調が日韓関係のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因を作っている」と、ここでも責任を転嫁している。
しかし、産経新聞がこれまで河野談話の虚構性や吉田証言が偽りであることなどをただしてきたのは、事実を重ね歴史認識を正しく伝えることが、長期的に日韓両国の信頼につながるからだ・菅官房長官は「客観的事実に基づく正しい歴史認識が形成されることを望んでいる」とした。その通りである。事実を歪めては国際的な信用は得られない。
『産経新聞』 主張 2014.8.6
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