岸部・・・?
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槍の使い手が、相手の打ってきた下段槍を払う技を応用して、ベッドから落ちて倒れた人を簡単に立たせる「添え立ち」という技をあみだしたらしく、モノホンの槍の使い手(介護に興味があるらしい人)が伝授するという興味深い10分テレビ番組(NHK)を見たので、横にいた彼女で試してみようと思い、「ちょっとこっちに来て足を伸ばしてごらん」と言ってみた。
テレビの槍の使い手は楽に「すっ」と起こしていたので、「ハハン、力じゃなくてある原理で簡単に起こせるわけやね」と思い、「すっ」と声に出して起こしてみたところ、途中まではそれでいけるものの、3分の2以降は力を出してしまって「ふんっ」てなる。「すっ」でいきたいのに「すっ……ふんっ」てなる。これでは「寄り切り」なのです。
おかしいな、と思いもう一度やってみたところ、あやつり人形のように完全に脱力しきっている彼女をあと少しってところでどうしても完璧に立たせることができず、またもや詰めのところで「ふんっ」て持ち上げたら腰がギクッつって、これなんかやばいってまじで焦ってきて即座にベッドに横になったけどどんどん痛くなってきたので、うつ伏せのまま「今すぐネットでぎっくり腰について調べろ」と言った。
それから丸一日介護スタイル。周りのちょっとした世話をする彼女が自ら「かいがいしいやろぉ~う?」と言ってくる。かいがいしいやろぉ~う?と言ってくる姿勢が全然かいがいしくないと思った。ベッドでじっとするしかない間、下段を払う技はどこで応用されてるのか、ってイライラした。くしゃみで腰がくそ痛くてくしゃみするのが怖い。それにしても近日の自分の体の衰えにはまじで目を見張るものがある。
で、丸一日経った今日何かテレビないかなーってチャンネルごろごろしてたら、昨日の「添え立ち」をまたやっていた。おれ行動パターン変わらん。で、もう一度二人でチェックしてみると、起こされる側の人間も一応少しは自分で立とうとしている気配がみられたので、昨日の「絶対に自分では立つまい」と首まで完全に脱力しきった彼女の感じが無償に腹立たしいぜと思っていたら、彼女が「腰に不安がある方はやらないで下さいって書いてあるよ、よく見ろゲラゲラ」などと笑っていた。
ヒマだったからとはいえ、こないだの文は長すぎた。読む気がせん。
今日は夢に出てきた人が気になってしょうがない。 どういう人か紹介するので、それ私ですって人連絡ください。
小学校か中学校の頃の同級生じゃないかと思ってアルバムを見たけど載ってない辺りからすると、きっと、小4ぐらいの時に東京から引っ越してきてまたどこかへ引っ越して行ったあの女の子じゃないかって気がする。でも違う気もする。背はそこそこ高くて、目がプリッとしていながら切れ長。
どうもその子は僕のことが好きみたい。 実は僕も好きなんですよね。 なんでもっと早くその魅力に気づいてやれなかったんだろう! 僕はなんてバカなんだ! 今更遅いかい?……ええ?本当かい?いいのかい? 嬉しいよ!
続き
「ごめん、無理」で帰るか、最後まで見て判断を下すか、考えた。
相手は、真に善意で薦めている様子。これがビルマの怖いとこ。「是非あなたにも知ってもらいたい」って思っとる。十年前から知っとるわ。
考えてみれば、すごく嫌なことが起こる予感はするが、何が起こるのかについて、まだ具体的には確定してない。予感だけでビルマを否定するのは良くないと思い、とにかく何の勧誘なのか、最後まで見てみることにした。
観ている最中、一時はもうダメかと思ったが、頑張れおれ!そう励まし耐えた。観てて何がきついって、説明している人の、明らかに十代相手の幼稚な説明を真剣にしている感じとか、十代に受け入れられようとしている感じがきつい。
DVDも終盤に差し掛かった1時間半ぐらいでニュースキンの勧誘ビデオと確定。十年前と少し違うのは、ニュースキンは大元の母体の一枝にすぎず、これからこの十倍規模の支部が二つ日本に入ってくるから、これまでのニュースキンの規模とは比にならないということだった。壮大なスケールでありながら、一方で十代にわかりやすい説明をしているため、アメリカから世界制服軍が日本に乗り込んできますよ、これは乗っとかない手はないでしょう(長いものには巻かれるに尽きる)みたいに言っていた。
内部者ほど詳しくはないけど、ねずみ講系ビジネスのシステム自体にはそんなに否定的じゃない。理論的に彼らが説明するようになると思う。ただ、自分の友達を巻き込みたくないし、こんな風に勧誘するのはまじで御免。現におれは勧誘されて嫌な気分。
とりあえず見終って微妙な空気の中帰ることになったが、さらにこの後、クライマックスが待っていた。
帰り道は言っていた通り送ってくれることとなったが、先にDVD返したいからちょっと寄り道すると言い出し、ファミレスへ。嫌な予感がしたので「車で待ってていいよね?」って言ったら、いいよというので待っていたら、スーツの男登場。「どうでした?」とか言って近づいて来る。
なんかもうこの辺りでイライラしてきたが、適当に受け答えしていたらしつこいので、さっき見たDVDのいくつかについて「あれってああいう風に説明するのおかしいですよね?」ってことをいくつか言ってみた。そしたら案の定食い下がってきて、翌日行われるセミナーに誘われ始めたのでもう帰らせてくれ。
帰りのビルマがまだ言うかって感じで翌日のセミナーに誘い続けており、明日はスケジュール的に無理だと言ったらちょこちょこ文句言い出す始末。おれはそんな風になりたくないから断ってる。
そんなわけで、すごく辱められたわけですよ。
「今回は2時間あるから、あたしの彼氏んちで見よう。」と言ってきた。
貸せよと思ったが、やっと借りられた状態で、当日すぐに返さないといけないらしい。その日にしたのも、数週間前から何度かおれのあいてる日を確認して抑えられた日だったので、今更ずらすわけにもいかん。彼氏は不在で承諾済みとのことだったのでそうすることにした。
ビルマは車で迎えに行くと言った。そういうのめんどくさがる奴やったのにおかしい。しかも、終わって用事があるからバイクで行くと言ったが、どうせだから全部車で送ってやるということだった。におうぜにおうぜ。
怪しいとは思いつつも、これから起こりつつある非日常な感じに惹かれる面もあった。変な感じの根源がわかるまでつっこみたいと思ってしまう、どうもそういう悪い癖がある。
そのまま連行され、彼氏の部屋に入る。変な緊張感に包まれたまま、DVD鑑賞に突入した。
「えー皆さんこんにちは。今回はですね、皆さんの将来に役立つ……」って、変な講師みたいな人がマイクもって喋っているので、チャンネル違うなと思いリモコンで操作するが、どうもそれで合ってるらしい。
さっきの変な緊張感が一気に嫌な緊張感に変わり、おれはすぐに聞いた。 「摂理の勧誘じゃないよね?」
「何それ?違うよ」とのことだったが、摂理ではなくとも、少なくとも何らか宗教か、ねずみ講などネットワークビジネス、そこいらの勧誘ビデオに違いないと思ったおれは、その後も不安は抑えられず、嘘だと言ってくれって気持ちで 「まさかこれ2時間?」「この人まだ喋ってるけど?」などと続けたが、 「まともな話だからちゃんとまじめに聞いて」とか言う。まじかっ!さらに、ノートとペンを渡してきて、メモれという。なんと、ビデオを観てメモれという。パブロどこだパブロ!
摂理を「何それ」というあたり、この辺りがこいつ特有の変な感じなんです。とにかく話していて通じないことが多く、説明し終わる頃にはその話がどうでもよくなることが多い。
ねずみ講関連の勧誘は十代の頃にだいたいみんな経験してるか聞いてるかで、抗体はできてるはず。何をこいつ今更、と思ったが、それがビルマの怖いとこ。おそらく「何それ?」なんやろう。
あの賢いパブロと鈍臭いブルーノが恋しくてたまらんかったけど、「パブロもブルーノもちゃんと出てくる?」とはもはや聞けず、即刻打ち切るか、最後まで見続けるかの二択に悩んだ。
続く
で、パブロ&ブルーノの日
なじみの店での食事もそこそこに、DVDを貸してくれるのかと思いきや、「十数分やし、喫茶店でノートパソコンを開いて見よう」という。しかも本人も見たいからイヤホンを片ッポずつしようと言い出す始末。一応嫌だと言って受け入れた。向かい合いに座りノートを横にして眺める。
内容は、水汲みの仕事を与えられたパブロとブルーノのやり方を比較するもので、力持ちのブルーノは効率悪くもクソ真面目にあくせく自分の身体で運んでいるが、それはバカのやることで、時間はかかったが水のレールを引いたパブロは寝ている間も水が流れつづけることになって賢いということをアニメにしたものだった。後にブルーノは身体を壊して全てが台無しになる。
実にわかりやすい。
タイトルからしてイタリアアニメかと思っていたが、これは絶対アメリカやろう。そう思った。すると、あと少しで全部終わるってとこでビルマが電源を切った。続けて、「こういう話。面白いやろ?」げな。いや待てよと。何故そこで切る?そう感じたおれは、お前の行動はおかしいということを数分訴え続けたが、ビルマは聞き入れないばかりか、おれの話を遮るようにこう言ってきた。
「面白かったやろ?この話はシリーズもので続きがある。続きは2時間ものだけど、それがまた入手困難。そこにはパブロのように賢く時間と金を手に入れる方法が描かれている。借りれたら見せるね!」
特許か印税に違いないと思ったおれはそう聞いたが、にやけながら「違う」とだけ答えるビルマに、なんかもうどうでもいいしちょっとこいつ気持ち悪いって思ったけど、それでもビルマのにやけた態度の真意がつかめなかったので、そんなに必死なら見てやってもいいぜと答えた。
続く
先日、そこそこ長く付き合っている友達(コードネーム:ビルマ)に、ニュースキンの勧誘ビデオを見せられるという衝撃的な事件があった。
そういった類の勧誘といえば、十年ほど前に流行、十代の頃皆いったんは経験しているであろうものを、今更喰らうとは、夢にも思いませんよ。 ヒマなのでそのときのことを克明に報告したい。
まず、ビルマ情報 ①昔すごい美人やった。今はブスという意味ではない。 ②同時にちょっと変な感じの子でもあった。詳細は追々。 ③共通の友達も数人
最初、そんなビルマからの久々の電話で近況などを話したあと、「アニメやけど、パブロ&ブルーノってDVD観たことある?」と聞かれ、知らんと答えると、「ええ~まじで?今世界的に流行ってるのに遅れてる~」などと完全に小学生のセリフで批難される。ちなみにこのパブロ&ブルーノが勧誘ビデオというわけじゃない。詳細は追々。
ちょっと変やったのが、そのパブロ&ブルーノの情報。
①十数分ぐらいの短編 ②にもかかわらず、世界中で人気爆発中で入手困難 ③しかし、幸運にも来週友達から借りることができる
さらに、そんな代物を久々のおれにわざわざ見せたいと言い、そのビルマの必死ぶりがにおうところはあった。におうところはあったが、久々の友人の猛烈な推薦をむげに断るほど無粋な話もないので、そんなに見せたいなら見てもいいと答えた。
安易に観てみようと思ったのは、ちょっと前のとある思い出のせいもあった。それは、ある事情から、外人3人・日本人3人(うち初対面4人)でお茶するという考えるだけでうんこしたくなる状況に立会ったときのこと。
そこは、想像どおり英会話が飛び交い、たまに通訳役が通訳をして同じ話を繰り返し、やっとわかったところで、「へえ~」ぐらいしか返す言葉はないという、かなりひきつる状況。当初、おれの好きなバンドを多く輩出しているグラスゴーから来た青年がおるってことで個人的に一筋の光と期待していたが、その青年がまた極度のニヒリストで、話しかけんなオーラを最大限に発しており、さらに好きな音楽はグラスゴーとは無関係のゴリゴリのテクノorハウスということで、それはそれでどうでもいい情報であり、まじで食えん状況やった。
そんな状況のなか、フランスのアニメDVDが流行ってるって話になっており、そのメンバー中、外人と日本人とを問わず4人が観ていてすごく良かったということだった。結局それを借りることになり(探りあいの状況においては、えてしてそういうハメになる)、それはそれで観てみるとなかなか良かったという過去の思い出があった。
そういうわけで、ビルマの薦めるやつもその類かと思い、今度会うときに見せてもらうことになった。
続く
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