| 2001年12月20日(木) | 
全ての人間は究極の能力を持っている。だから、元気出せ。PS. | 
  
覚え書き。
 
 
  あのさ。
  もし。アンタに子どもがあって。 アンタが死んで。アンタの子どもの面倒を見てくれる人間が。
  一人も居なくなっちまった、とするよな?
  縁起でもねーけど。たとえばの話。
 
  そうなった時。そんな風になった時。子どもっていうのは。
  一体どんな能力を身につけてたなら、この世界を幸せに生きていくことができると思う?
 
  桜木にも居る。 まだ小さい。笑うこと。食うこと。探り出すことばかり巧みになって。 まだまだ小さい。
 
  そんなアイツらが。
  こんな世の中にほっぽりだされたとして。一体。
  どんな能力を持ってたなら。幸せに。笑いながら生きてくことができるんだろうナ?
 
 
  究極の能力。
  そいつを。アイツらに与えてーよ。
  究極の能力。
 
  それが何なのかを。わかりてーと思う。
 
 
  あー。何だろうナ。
  金を作る能力? 他人に媚びて取り入ってく能力? ま。親なし子が生きてくためにはナ。そういうもんも、必要には違いない。
 
  けど。 桜木は思うんだよナ。
 
  人間に必要な。究極の能力ってのは。さ。
 
  ただ。
  いつでもテメエの目の前にあるモンを見て。 それを受け入れ。
  それでいて、それが全てじゃねーんだ、てことを理解する…、その、心とも言えない。 考えとも言えない。価値観とも言えない。
  なんとも言えない…。感覚のような、そんなもんじゃねーのかな、って。
 
  春。あったかく湿った地面に、種を蒔く。 そこにあるのは種。湿った地面。空気と太陽と。それだけ。
 
  けど。 やがて芽が出るよナ。茎が伸び、つぼみが出て花が咲き。また種をつける。
  そいつを。
  種を蒔く人は知っている。だから種をほじくり出したり。 ジッと見つめてても芽が出ねーから、なんて。
  腹を立てたりしねーよナ?
 
  人間の究極の能力。 それは。
  いつでもテメエの目の前にあるモンを見て。 それを受け入れ。
  それでいて、それが全てじゃねーんだ、てことを理解する…、その、心とも言えない。 考えとも言えない。価値観とも言えない。
  なんとも言えない…。感覚のような、そんなもんかもしれない。
 
  人は、いつ。種はやがて芽を出し花を咲かせるんだ、てことを知る? 誰にそれを教わる? 誰にそれを教わった?
  はは。もう、覚えちゃいない。
  そう、それは知らねーうちに。誰かが必ず、教えてくれるコト。
 
 
  けど。それなら何故。なのに何故。 今テメエが生きている現実だけを見て。
  テメエには未来もシアワセも永遠にやって来ねー、なんて言う?
 
 
 
  桜木は。 アイツらが、もうちっと成長したら。きっと、そのことを、伝えるつもり。
  目の前にあるものをしっかり見ろ。
  けど。それが全てじゃない。
 
  だから元気を出せ。
 
 
 
 
  もうじきクリスマス。 恋人も。金も、仕事も。何にもねーかもナ。ああ。何にもねーのかも。
  けど。 そいつが「種」じゃねーって。 誰に言える?
 
 
  なあ。 春に種を蒔いて。
  ジッと見てても芽が出てこねーからって。諦めちまうのはガキんちょだけ。
 
  究極の能力ていうのは。 そう。
  他人に媚びる力でもない。 金を作る力でもない。 他人を見下す傲慢さでも。他人に食い荒らされる優しさでもない。
  多分。
  「今は、いつも、蒔いたばかりの種」
  て考える気持ちだと思うヨ。
 
 
 
  もしもアンタにも、子どもが居るのなら。 アンタの子どもたちに、ヨロシク伝えてほしい。
 
  一緒にいい未来を作っていきてェな。て。
  ウチの子どもらからの、伝言を。伝えてほしい。
 
 
  いい寝顔だろ?
  そう。
  いい寝顔だよナ。
 
 
 
  ps./
 
  私信はヤラねー方針だが特別。 そう。アンタの解釈と桜木の解釈。同じと思うヨ。
  蒔いた種の行く末を見守っていくためには。 生き続けねーと、ナ。
  ただその意志。その能力のねー人間が居るモンだから。 日に日に自死遺族が増えていく。
  チクショウ、だ。
  けど、まさに。生き続ける意志。アンタのその究極の能力に、乾杯。 
 
 
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