即興詩置き場。

2003年11月10日(月) 40.小指の爪


小指の爪


小指の爪は
ときどき泣いているが
誰にも気づかれない
ことに泣いているのではなく

誰にも気づかれないことに泣くのは
もっと大きなものだ

小指の爪はときどき
小指の爪でなくなる
誰も見ていないときに
よくなる

親指の爪のことはよく知らない
小指の爪が好きだ

小指の爪は
自分の名前が欲しい
小指がなければ
小指の爪もない
小指の爪は小指に属している らしい

上腕二頭筋みたいな
おおげさな名前はいらない

何かの役に立つことは恥かしいと思っている
何かの役に立つことは恥かしいことだと以前
鼻クソが言ったのを真に受けている
小指の爪は
他に友達を知らない



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