気がつけばぼくは温かい腕の中にいた。まだ何もわからない。けれどその腕の中の心地よさだけはわかる。息ができないほど強く抱きしめられる。生きている自分を実感する。激しく狂おしい感覚ではない。穏やかな流れにいつの間にか乗っていた。ゆるゆると時間が流れていく。ぼくの中で静かに何かが始まっている。癒されていくのを感じながらぼくからあふれ出る愛がぼく自身をしっかりと包んでいく。