更新とつぶやき
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見てきたぜー!!イヤッホーウ!!
でもなにが悔しく腹立たしいかって、さっさとチケット買わなかったから、指定が全部売り切れて、自由席しか残ってなかったのよ… あたし、鳥取の狂言人気を侮ってた…
仕事が終わってマッハで会場に向かいました。 開場は6時だったんですが、5時半過ぎの段階でもう並んでたので、アタシは駐車場でご飯食べようと思ってたのですが、もう全然、ダッシュだよオイもう(泣) その甲斐あって、自由席の最前列の席をゲット。隣りが来賓席だけど気にしない。
席を確保してから、本やDVD販売コーナーへ。 探していた『狂言三人三様茂山千作』が山積みだったのでくらりと。初版だったし、買っちゃった。あと、ぴあから出てる『狂言日和茂山狂言の世界』も。 DVDも欲しかったんですが…なにを買えばいいのやらー。
舞台には、少しだけ高くして能舞台が作ってありました。でも柱はじゃまだからかとってあって、ああ、親切、と思った。
で、開場間際になって隣りの来賓がいらしたのです。 だーれだ、と思ってたら…お、おい!県知事さんじゃねえか!!ビビった… ち、知事さんと並んで狂言鑑賞です…
最初に千三郎さんが、狂言の解説を。西洋の踊りは天へ近づこうとするし、日本やアジアは地面に入ろうとするかのように腰を落とす、と。武道もそうだよね、腰が座ってるものね、と思ってたらそうおっしゃってた。
さて最初は千作さんの「萩大名」ああん、千作さんかわいい〜。 千三郎さんが「アンケートで18歳の女の子が千作さん可愛いて書いてきはる」と言ってらしたのですが、いや、もう愛嬌があってねえ… 私はつねづね、日本人にとっての最高の価値でありほめ言葉は、「かわいい」だと思っているのですが、もう、なんなのあのかわいさ。近づいていきたいようなかわいさ。 「なんじゃっ」 っていうあの絶妙さ。泣けるほど素敵だよう〜。 歌が思い出せなくて必死で帰ろうとするとことか、ああんもう、笑えてしょうがなかったわあ。
次は、ふだんあまり演じられない「延命袋」(本当は「引括」とかいうそうですが、縁起が悪いので茂山家では名前を変えていらっしゃるそうで)。 「わわしい」(口うるさい?)奥さんに離縁状を届ける話なんですが、その奥さん役が茂さんで。どんな女を?と思ってたら、なんか最初こそ「ん?」と思ったけれどそんなの一瞬で、本当になんか、声とかも気にならなくなってきたのよ!すごすぎる茂さん!!腰の引けてる七五三(しめ)さん演じるだんなさんもかわいい(笑)
最後は「仁王」。 博打で身を持ち崩した二人が、仁王の振りしてそのお供え物でもう一勝負もくろむ話なんですが、それにお参りに来る人たちのお願い事って、アドリブでいいみたいなのね。オペラの「こうもり」みたいね。 「茶飲み友達でいいので私にも後添えを」とかさ〜(笑)なにいっとんじゃ。 その人たちが、「うちの隣りの足が悪いものにもお参りさせてやろう」ってんで連れてきたんですが、そいつが仁王の足をさすってその手で自分の足もさするもんで、くすぐったくて仁王が動いちゃう。それでばれる、という話なんですが。
あのねえ、今回、どの話も本当に面白くて最高だったんですが、私が今回この鳥取で演じてもらえて一番嬉しかったのはこの「仁王」です。
なんでかというと、はっきりと片輪が出てくる話なわけです。 「かたわ」という言葉を使うことが正しいとはいいませんが(ほかのもそうだけれど)、でも、そういう言葉を遠ざけるということは、そういう人も遠ざけることにつながると思うので、目をそらしてはいけないんだよ、当たり前に、普通に、あなたの隣に存在するんだよ、受け入れて一緒に生きていくんだよ、ということを見せてくれたような気がするのね。 なんで鳥取でそれが嬉しかったかというと、やはり田舎はねえ、厳しいわけですよ。障碍者に対する目が。隠してしまう家族も多いし。 理解を求める前に隠してしまう、あるいは接触を持たないので、本当に差別より酷い状態になっていると思うのね。 養護学校に通う生徒に対するあからさまな偏見を、平気で子ども達は態度に出したりしているわけです。それを誰も止めないようなところなわけです。
嫌だこんなところ。
なので、「仁王」であからさまにびっこ引いてる男が 「足の悪い物を置いていくなんて〜、せめて草鞋置いていけ」 とベソかき足引いて戻っていく様に笑っちゃうのは、ある意味とても健全でよかったな、と。
そんな意味でも、茂山狂言最高でした。
中国で見た演劇鑑賞会で、有名な役者が、 「この芝居には老若男女はもちろん、障碍者も出てきます」 と言ったように、狂言もそうなわけですよね。それってとても正しい。 善人でも悪人でもない、片輪が出てきて、笑いをとって、というのは、今の日本に欠けていやしまいか。 やたら純粋だとか神聖だとか、英雄視しちゃったりして、じゃあ普通に生きる障碍者は価値がねえのかよ、とさえ思ってしまう。ほんっと、差別より酷いよ。
まあそんな、最後は深々と頭を下げたいほどに素敵な感じで終りました。 ああん、来年も来てくださいねえ〜!
そんで外に出ようとしたら、え、主任、なにをやって? 「娘が逸平ちゃんのファンで、妻と三人で見にきた」そうです。 イヤン、娘さん、私も逸平ちゃんは素敵だと思ったよ〜!!「延命袋」で太郎冠者やってらしたんですが、本当に素晴らしかった〜。お若いから大丈夫かちら?と思った自分、土下座すべし…
千作さんにはメロメロなことはもちろん不動なわけですが、どの方も魅力的でさ〜! 逸平ちゃんも素敵でしたが、茂さんのあの怖い奥さんにもしびれたわあ(笑) なんか、茂山姓の方では、千之丞さんとあきらさんと童司さん以外は皆さん来てらして…すごい豪華だったんですが、こういうもんなんですか?ものすごい贅沢な…
しかしこの時期にいらっしゃるのは、もしや、カニのためかしら?
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