「いらっしゃいませ おタバコ吸われますか?」
「吸います」
「はい じゃあ こちらへ どうぞ」
私たちは 角のコーナーに座った。 久しぶりに二人きりで。
でも 私の目の前の 見慣れた人は どこか遠い人にしか 見えなかった。
《そっか~ そうだよね~ 結婚してても 所詮 他人だもんね》
醒めてた。不思議なくらい落ち着いていた。 さっきまでの ばくばく感もどきどき感も まったくなかった。
なにを言おうか なんて考えなくても すらすらと 台詞のように 言葉が出てくる。
まるで 女優になったかのように。
「パパ パパにいくつか 謝らなきゃいけないことある」
「まずは パパの携帯、勝手に見ちゃいました。ごめんなさい。」
「それから 今までのこと・・・・随分 パパのこと
ないがしろにしてたなぁって。言いたいことバンバン言って 傷つけただろうなぁって。。。。ごめんなさい。」
煙草をくゆらせながら ちょっと驚いた顔を見せる。
その顔を見て 私は思った。
随分 変わったなぁ~ 昔の面影は全然ないなぁ~ でも この人は 昔から優しくて穏やかな人だった いい人だった
「パパ パパは本当は いつも優しくて 穏やかで すごくいい人。なのに わたしが こんな性格で わがままだから それが 原因で 喧嘩になってたと思う。ごめんね」
なんでかわからないが 私は 謝っていた。 素直に。それは 偽らない心からの言葉だった。
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