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■ 黄色いマスクをした神が降臨した その3
忘れていたが、何気に22歳になった。これを書き始めて3度目の誕生日だが、初めて異郷で迎えることとなった。同じ誕生日で有名どころ(自分が知ってる人だけど)を拾ってみると、生まれた順に、吉田松陰、ソフィア・ローレン、麻生太郎、守屋浩、村井国夫、小田和正、石川ひとみ、山口美江、高橋真美、ハルイチ、J.P.モントーヤ、一青窈、堀江由衣、安室奈美恵、杏さゆり、とまぁ、幕末の志士から女優、俳優、政治家、タレント、歌手、ミュージシャン、F1ドライバー、声優、アイドルまで幅広いジャンルの人たちがいた。お亡くなりになった方は岡倉天心、鈴木梅太郎、林家三平、中村汀女、徳間康快の各氏といったところであろうか。
閑話休題。 いったん6時目がさめて2度寝。どうやら同室人の誰かがもう出発するようだった。
9時起床。未だに寝ている人がいる。自分も人のことは言えないのだが、一応チェックアウトは10時だし、札幌ドームで野球を見るということしか予定がとりあえずはなかったので遅く起きた。とある人から言われていたモエレ沼公園や芸術の森や支笏湖なども宿で調べてはおいたのだが、どうなるかはまだわからない。15分発。今日も泊まるので貴重品だけ持って出る。
朝飯をどうしようかと思っていたがとりあえず自転車に乗るので近くにあるセイコーマートへ。パンと飲み物を買い、近くの公園で食べる。老人たちが会話をしていた。交通量はまあまあな祝日。
そのあと、豊平川まで行き、とりあえず河川敷を走ってみることに。とりあえずサイクリングロードといおうか、遊歩道といおうか、そういう感じになっていて、老若男女、いろいろな人が歩き、自転車に乗っている。周りは基本的に芝生で、テニスコートやグラウンドゴルフ場、野球のグラウンドなどが整備されていて、祝日だけあり、どこも人がいっぱいだった。このような立派な設備がある札幌市民がうらやましい。これまでは、街の中の雰囲気などで札幌はいいなぁと思っていたのだが、このように、生活環境も整っているのはいいと思う。とりあえず、北へ向けて快調に飛ばす、平均で25,6Km/hくらいだっただろうか。
電車の鉄橋を越え、サイクリングロードの看板があったので立ち止まってみてみると荷台につけておいた鍵が落ちてしまったようでどこにもない。ってなわけで、来た道を戻り、憎しみと嫉妬を込めて追い越したカップルとすれ違い、ランニングしている中学生たちともすれ違い、ようやく発見した。そして、また看板に戻ったのだが、相変わらずふらふらしている。
看板を見て考えた。支笏湖までなら30kmそこらだし、ずっと自転車道はあるみたいだし、行って帰ってきてだいたい夕方でそれからドームでいい感じだろう、ということで今度は反対方向へ向けて走る。
が、なんだかペダルが重い。最初がんばりすぎたのか、向かい風だからかはわからないがとりあえず重い。まぁ、とにかくテニスコートを過ぎ、道が石畳になり、藻岩山らしき山が見えてくるところまで来たのだが、そこで気持ちが消えてしまった。こんな状態であと30kmも走れるわけないと結局来た道を戻ることにする。市内に行けば何かあるだろう。だいたい決めるのが15kmも走ってからなので遅すぎた。
今度は快調にスピードに乗って走れる。やはり、気づかないながらも風の影響は強いようだ。と、何かをしようとしてバランスを崩して転倒!かなりのハイスピードだったので結構派手に転んでしまう。近くに人がいないのが幸いだった。とりあえず、受身もろくに取れない状態だったので、右腕の肘の近くを思い切りすりむいた。あとは外傷はないようだ。自転車を起こすとチェーンが外れていた。おそらく変速機も結構な勢いでぶつけただろう。なんとかチェーンをはめ、少し走って変速してみる。とりあえず問題はないようだった。
と、別のところで問題が発生。鍵、しかもあけるほうがなくなってしまったのだ。いざとなったらどこかで購入すればいいのだが、なるべくそういうことはしたくない。というわけで、変なところに自転車を止め、何もない草の中を捜索する非常に不審な人物の図となった。幸い、コートなどからは離れていたのでたまに自転車や歩行者が通るくらいで助かった。
しかし、なかなかみつからない。そう遠くへは行ってないのになあ、と思いつつ、草を足で蹴りながら探していくと、なんとか小さい銀の光を見つける。よかったぁ…
でも、結局11時を過ぎてしまったし、もうおとなしく札幌ドームに向かう方向になった。どこかに行って帰ってきても、どこら辺にあるのかはっきりしなければ迷ってしまい意味がないからだ。とりあえず、下見がてら場所を確認して、どこかへ行った後また戻ってくればいいかという気持ちで行くことにする。
途中、立ち読みで場所を確認すると国道36号沿いということがわかった。ということは、この道をずっと行けばいつかドームに着くだろう、ということで気が楽になる。が、実際走ってみると月寒あたりからずーっとすごい上り坂になった。でも、両脇には店がびっしり。これは関東平野に住んでいると実感できない。行きがこれなら帰りは楽だろうという一念でなんとか坂を登る。なんとなく、この時点でドームの周辺で時間をつぶそうという気持ちになる。
30分くらいでドームに到着。すでに人が結構歩いている。自転車を止め、敷地内に入ると並んでいる人たちが既に100人200人単位でいた。指定席なのに並んでいる人もいた。その人たちはほぼ例外なくファイターズのユニフォームなりTシャツなり着ている熱心なファンだ。ちょっと店を物色などしたあと当日券売り場に行く。発売は13時半からだというが、既に10人くらい並んでいた。内野、外野、どちらも自由席があるのでどっちにするか悩みつつ列に並ぶことにする。1時間少々待ち、切符を購入。内野自由席にした。そもそもここの試合を見るのは初めてだし、外野席に行っても応援の仕方などわからない、なら内野である程度ゆっくり見よう、という結論になった。でも、やっぱりファイターズ側で見たいなぁ。切符も買ったので、近くにあるヨーカドーに行き、ビッグマックの昼食とする。
戻ってくると14時近く、既に列はかなり長くなっており、ざっと目算で2000人近くになっていた。パリーグだからゆっくり試合が見られるなというのは甘い考えだったようだ。スト明け、プレーオフ進出への正念場、おまけに休日とくれば人は集まるよなそりゃ。東京ドームの巨人戦を思い出した。とりあえず列に並ぶ。
そしたら2人前に並んでいた年の頃も顔も声も奈美悦子に似た人に「よかったら座りませんか」とシートに座らせてもらった。1人前にいた小学生の少年も。最初、この少年はこの人の息子かなと思っていたのだが、しゃべり方からして違うと判明。後ろは、どうやら看護師らしい2人組の女性で、音楽聴くのに飽きたら彼女たちの話を聞いたりして飽きなかった。
で、かなりのファンと思しき奈美悦子似の人に、北海道移転しての人々の関心とかどうして札幌ドームは3塁側がホームチームなのかいろいろと質問してみた。やはり、地元の関心は高く、試合毎に人が増えている感じがすること、ここは3塁側のほうがダッグアウトが広いのでそうではないかということなど現地での生の声を聞くことができた。どんどん列は長くなり、テレビ局まで現れる。人々はラジオで遠く埼玉の地で行われている西武ロッテ戦の結果を聞き、みんなに伝え喜んでいる。おまけに新庄が何かしらやらかすと宣言したとスポーツ新聞に載っている、これは人々の関心が集まらぬわけがない。
ということで、会場時間が若干早まり16時くらいに入場できた。後に見たところでは2万人が列を作っていたとのこと。3塁側の外野内野はほぼ売り切れてしまったようだ。お礼を言おうとしたのだが、その人は入るなり一目散にレフトスタンドに消えてしまい何もいえなかった。
とりあえず、3塁の斜め後ろの前から5列目に座る。まだまだ内野やライトスタンドは人はいないが、レフトスタンドは既に9割以上埋まっていた。しかも真っ白、ユニフォームもしくはTシャツ率98%である。他の色を探すほうが難しい。
トイレに行ったり写真を撮ったりしているとファイターズのノックがはじまった。と会場は一気に沸く。新庄だけではなく外野全員が覆面姿をして登場!これも後に見たところではゴレンジャーだったとのことだが、とりあえずさすがやらかしてくれるなぁ、といったところだった。
弁当を買い、表彰式や子どもたちのベースランニングなどを見て時間は過ぎていく。どんどん席は埋まってきている。バックネットの高いところと1塁側のベンチのすぐ後ろあたりを除いてはほとんど東京ドームの巨人戦状態、つまり超満員になっていた。福岡ダイエーも応援のすごさでは定評があるが、ここではせいぜい500人くらいしかいず、スタンドは白一色状態になっていた。ここまですごい状況で試合を見たことがないので俄然テンションはあがってくる。
試合の内容については割愛するが、途中で母娘連れから柿ピーのようなものをもらい、娘さんから「がんばって応援しようね!」と言われた。娘さんはおそらく30歳くらいだと思うが、独身か結婚してるかはわからない。親子の会話からいって完全に実の親子だ。結構母娘とも上品な感じがしてこういうものにこない感じがしていたのだが、娘さんは派手に応援していた。というか、もうこの日は内野外野関係なくとにかく勝ってプレーオフへ、という気持ちが強く、最高6点差離されたのだがそんなことはお構いなし状態だった。
そして、6回ついに逆転するとスタンドは大熱狂、まるで優勝したかのような騒ぎになった。最初は冷静に試合でも見ようと思っていた自分だが、乗せられてすごい大興奮。娘さんとハイタッチしてやった〜の大歓声。どっちがどうというものではなく自然とやってしまった、そういう感じだった。もはやこの熱狂はツインリンクもてぎを遥かに越えた。でもまだ6回だ。
結局その後3点差をまたつけられてしまうのだが、なんとなく展開からいって9回裏に試合が動く予感がしていた。点は12点取られていたが、投手陣はこれ以上はまずいというところでは何とか抑えていたし、打線もとられたらとりかえす感じで来ていたので、7,8回と無得点だった打線がここでやってくれるだろうという感じはあった。
9回に入るところで、混むことを見越してか親子は席を離れ、上へ行った。9回表、ダイエーを0点に抑えたことでそれはほぼ確信となった。9回裏、予想通り驚異的な代打層とゴレンジャー(?)の活躍、で2アウト満塁となり新庄が出てきた。やはりこの男か…、と思った瞬間打球はなんとレフトスタンド一直線!さっきの逆転劇どころではない絶叫がドームにこだました。やっぱりあんた千両役者だよ!!
既に娘さんはいなかったがさっきがハイタッチだったので、おそらくいたら抱きついていたかもしれない。そうとはいかなくても手を取ってやったやったの大合唱だったのは間違いないだろう。2時間くらい前にただ隣に座って食べ物をくれただけの娘さんに触れる、それが許される状態であった。今になってこそこういうことは冷静に考えられるが、この現場では下心とかそういうものはまったくなく、ごくごく自然な行動だったといえる。それくらいダイエー応援団を除く全員といっていい人たちがヒートアップしていた。
が、なぜか新庄が2塁を回ったところで場内がしーんとなった。よくわからなかったが、ともかくホームインし、場内はまた大歓声に包まれた。そしてヒーローインタビュー、聞いた人も多いと思うがまさに真のエンターティナーである。そして〆は「明日も勝つ!」これで札幌ドームはすさまじいことになり、人々の歓声はとどまることを知らず、泣いているおねーちゃんも多数見受けられた。
ここまで劇的な試合はそうはあるまい。何年ぶりかに見たプロ野球はすごかった。槙原の敬遠ボールを打ったときのヒーローインタビューで「明日も勝つ!」と言った翌日はぼろぼろに負けて非常に笑わせてくれた新庄だったがついに明日も勝つことができるのだろうか?
さて、そして帰りである。相当混んではいたが、自分は自転車だったので人の波を横目に車道を走る。信号待ちしていたらこれまた自転車の外人に「Nice bike!」と言われた。とりあえず「Oh,thank you!」と返しておいた。今となってはそのあとに「yoo too!」とつければ気の利いた返しだったかなと思うが。
行きは登りだったので帰りは楽な下りだ。矢のように坂を下り、あっという間に宿舎に着く。今日野球を見に行ったとフロントに人に話すと、ニュースで新庄はランナーに抱きついて追い越してしまいアウトになった、とやっていたというのを聞かされ、ここではじめて場内が静まり返った謎が解けた。とにかく大興奮でそんなことはぜんぜん見てなかった。
そしたら、ロビーにいた人も見に行ったといい、そこから野球の話、旅の話をいろいろした。旅先での困った人の話の実例なんかは面白かった。だいぶ話も進んでしまったのだが、既に2時近くなってしまったのでいい加減引き上げ、風呂に入り、3時近くに就寝。今日の同室人は1人だけだったが、もちろん既に寝入ってしまっていて誰が誰だかわからなかった。
本日の走行距離 約32.8km
2004年09月20日(月)
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