夢見る汗牛充棟
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2007年12月29日(土) 歳三 往きてまた 秋山香乃 他

文芸社  四六判……でいいのかな?

図書館で借り。

以前、話題になってたなぁと思いつつ、今になって思い出したように
借りてみた。

読了。

◇歳三……
愛と萌えをふんだんに惜しげなくこれでもかと込めました。
本当は優しくて繊細で不器用な人だと思うんです的な夢に
溢れた一冊かなぁ、と。でも文章が淡白でぶつぶつしている。
だからむしろ、こういうシチュ好きじゃね? っぽく思えた。

池波さんの幕末小説など同じく萌えなんですけど(私見)
読者がこういうの好きじゃね? ってより、愛が筆を走らせてるようで
池波さんは伊庭さん大好きなのねーとか土方さん大好きなのねーと
えらく微笑ましく感じるのとなんか対称的でした。

あと過去に戻って気がつけば回想だったりするのがやや混乱を呼びました。
さっぱり気味に萌えシーンを数珠繋ぎ或いは寄木細工にしたような
印象でした。

だが、畜生! ツボだったよ。最後らへんの伊庭八さんと歳三さんの
場面とか。ホロリとしちまったよ。萌えてしまいました。負けー。

◇獅子の棲む国 秋山香乃(文芸社)

こちらは、敗北以降の会津の話。
斉藤さんが出ていたので、というか出てあたりまえですが。
つい借りてしまったです。まだナナメ読み。
どうやら山川さんが主役……なのかな。

◇晋作 蒼き烈日 秋山香乃(NHK出版)

タイトル通り高杉晋作が主役。
高杉晋作ものはそういえば、読むの初めてです。
幕末で長州で奇兵隊で三千世界の~くらいしか知らんかった。
ついでに銀魂で松下村塾の人だと知ったくらい。
おかげで、これはけっこう楽しく読めました。



なんか、幕末の人々は自分とは死生観がえらく違うって点で時に
宇宙人ほど隔たって思えるのが、例外なく繊細で実は寂しがりやで
わかり難い優しさをもった不器用な男ばかりだったんです、とか。
夢見がちでも、希代の悪人よりかは、幾分そういう面があったほうが
現在の価値観に照らして親しみを覚え、理解しやすいのは事実だな、
と思う。今も昔も根本的なところは違わないかもしれないのだし。
実際、人間なんて多数の面があるのだから、ほんとにそうだったかも。
……とか思っている時点ですでに負けなのか? わたし。



新撰組関係の小説で大好きなのは

①新撰組血風録(司馬遼太郎)TVドラマの方も好き。
②新撰組三部作(子母澤寛)
③明治無頼伝(中村彰彦)
④西郷暗殺行(新宮正春)※短編

あたりです。

微妙に偏っているのは、私が山口一さん斉藤一さん山口次郎さん
一戸伝八さん藤田五郎さんが好きだからであります。
天寿を全うし、謎めいていて強いのが良い! と思います。
ですが、いろいろ死をもたらし、かつ死を眺めてきたその精神の
有様はどのようなものだっただろうとか考えてもてんでわかりません。

あと新撰組では芹沢さんも好きだったです。
「雪霜に色よく花のさきがけて散りても後に匂う梅が香」
という歌が好きだなと思ったせい。
ありがちな心理ですが、実は繊細な人なんではないかと思ったのでした。

新撰組以外ではダントツに坂本龍馬さんが好き。


恵 |MAIL