カンラン 覧|←過|未→ |
友達と別れた途端に 陰り始めるかえりみち 早く帰らなきゃ 早く帰らなきゃ 早く 早く 家へと急ぐかえりみちは いつもより遠く いつもより長い ランドセルの金具がごとっごとっと重たい音をたてる ぼんやり暗くて静まり返った家の中 ほんのちょっと前まで夕飯の支度をしていたような お母さんのいないキッチン ポーちゃんまでだらりとしていて 私のひとりごとのような訴えかけにも耳を心持ち動かすだけ だんだんと暗くなる窓からの光を 少しでも長く浴びようと カーテンと窓との間に入り込んでいるうちに カーテンは私の涙を拭うタオルハンカチになる 涙の染みがこんなに大きくなってるよ 早く帰って来てよ そんな不安な夕方を呼び覚ます夕方が いまでも時々あります
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