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2005年09月04日(日) スーパーピアノレッスンを見て思うこと…

こちらでもご案内した、NHK教育の『スーパーピアノレッスン ショパン編』の放送が始まって一月が過ぎました。
取り上げている曲目もポピュラーだし、生徒さんも日本人で、ルイサダ先生のフランス語の中にも日本語が時々混じったりして、ご覧になった方の中には、強い親しみを持った方も少なくないようです。

レッスン中に、ほんの一節をルイサダ先生がお手本で弾かれるだけで、生徒さんの演奏とはまるで違うことに、驚き、感動された方もいらっしゃることでしょう。
「ルイサダ先生にレッスンを受けてみたい!」
という声も聴こえてきます。
でも、余りのレベルの高さに、あのようなレッスンはご自分には役に立たないのではないか、あるいは、役立てたいけれど、どこをどう参考にしたら良いのかわからない…という方も、いらっしゃるようです。
確かに、レベルが物凄く高いし、そう思うのも無理はないかも知れません。

しかし、あのレッスンの中には、様々な角度からの音楽についての奥深い内容が含まれていて、レベルが高すぎると、切り離してしまうのは、余りに勿体無い。
きっとルイサダ先生もそんな風に思わないで…とおっしゃるに違いありません。

例えば、ルイサダ先生のピアノの上手さの1つに、カンタービレがあります。
打弦楽器であるピアノで、音の響きをつなげて音楽を歌っていくには、良い耳が不可欠。
TVからの音なのにも関わらず、短い部分を片手で弾くだけでも、生徒さんと先生に違いが出るのを目の当たりにできるのは、カンタービレの奏法に触れる、良いチャンスです。

また、ルイサダ先生の演奏を、よく楽譜どおりではない…という人が居ますが、そういう方は、楽譜の表面しか見ていないことを、自ら告白しているようなものです。
ピアノを真面目に勉強した経験がある方なら、楽譜を読むというのは、楽譜の後ろに隠れている音楽を読むことだ…というのは良くご存知だと思いますが、そういう意味では、ルイサダ先生の演奏はショパンの楽譜にかなり忠実です。
(ウソだと思う方は、他の何人かのピアニストの演奏とルイサダ先生の演奏を、信頼できる楽譜を見ながら、よく聴きくらべてください)
忠実ではないように見えるところも、レッスンでお話をうかがうと、ショパンの直筆譜を見て研究した結果だったり、ヨーロッパのピアニストに伝わっている弾き方だったりするので、決して自分勝手に感情の赴くままに弾いているわけではありません。
それをそのまま弾いてしまっては、説明がましい非音楽的な演奏になってしまいますが、ルイサダ先生のすごいところは、楽譜に忠実な音楽をご自分の中に落としこんで、新たにそこで生まれたような音楽として再現している点です。
そういう点で、ルイサダ先生の演奏は、ファンタジーに溢れているにもかかわらず、いえ、だからこそ、楽譜どおりに…という言葉の本当の意味を教えてくれる演奏だといえます。

他にもいろいろありますが、またの機会に。
11月末まであと3ヶ月。今月末からは、滅多にみられない、ショパンのピアノ協奏曲のレッスンも見られるそうです。
まだご覧になっていない方も、是非、ご覧になってみてください。


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